塾講師の仕事は、勉強を教えることだけではありません。

もちろん中心になるのは「授業」であることは確かです。

苦労も多い職場ですが、しかし様々なスキルを学び、活かすことで、自分の成長が促される。

そんなやりがいある仕事であると感じています。

今回は塾講師のお仕事について紹介します。

未経験の方もぜひ参考にしてみてくださいね。

塾講師の仕事とは?

塾講師は「先生」ですので、中心となる業務は「授業」になります。

たとえば都心部などの大規模学習塾や予備校であれば、受付や事務の担当職員がおり、先生は授業とその準備のみに集中することも多いかと思います。

しかし小規模の塾においては授業以外に実に多くの業務が付随してきます。

今回は、小学生~高校生が通う、比較的小規模な学習塾を想定してお仕事内容をご紹介させていただきます。

塾講師の仕事内容は?

仕事に関しては、一般的にはこのような形になります。

  • ①午後の時間帯に出勤後、授業準備
  • ②随時電話対応、来客対応
  • ③夕方以降~ 授業

曜日や時期ににより多少違いはありますが、基本的な流れはこのような形です。

しかし、実際に行う業務に関しては、実に細分化されています。

実際に私が複数の学習塾でアルバイト・正社員として働く中で経験したことを基にご紹介いたしますので、実情は勤務する校舎により異なることをご了承の上、参考になさってくださいね。

出勤、授業準備

学習塾は、学生たちが学校から帰宅する夕方以降が業務のメインですので、夏休みや冬休みなどの講習期間を除けば午後からの出勤となります。

浪人生を受け入れる予備校であれば午前中から授業がありますので、校舎の形態に合わせて変化します。

その日の時間割を確認し、各々が授業の準備をします。

教科書チェックをしたり、該当する範囲のワークブックの問題を解いておいたり、必要に応じて授業前後に行うチェックテストを準備したりします。

担当教科やそれぞれの授業スタイルにより様々ではありますが、どの講師にとっても大切なのは「板書の計画」をしっかり練っておくこと。

板書は、生徒たちがノートに写し学習の参考にする大切なものです。

あらかじめ板書の計画をノートに立て、授業に持参する先生が多くいます。

電話対応、受付業務

授業準備をする傍ら、随時かかってくる電話に対応します。

電話の内容は新規入塾希望者への案内が多く、希望に応じて資料の送付や授業見学の提案をしていきます。

また、授業を欠席する生徒の家庭からの連絡が入ってくることもあります。

しっかりと用件を聞き、その場に応じた対応を適切に取ることがとても大切です。

このあたりは事務のお仕事をされている方の心がけに通じるものがあります。

また、飛び込みでの来客もあります。

資料や説明を求めて来られるお客様への説明をしたり、入会への案内をします。

校舎の顔として、適切且つスマートな対応が求められますし、その際の印象でその後の入塾につながるかどうかが決まります。

非常に大切な業務です。

保護者懇談、生徒面談

時期により、保護者の方とお話をする機会を設けます。

普段の塾や家庭での学習の様子を共有し、これからの指導方針を決めていく大切な時間です。

受験生のお子さまのいらっしゃるご家庭とは、進路相談などを行うことで、今後の目標設定を明確にしていきます。

生徒と話をする機会を設けている学習塾もあります。

何か困ったことがあったり、学習に関しての悩みを抱えていたりする生徒たちは多いのですが、なかなか自分から相談できないというパターンがほとんどです。

こちらから耳を傾け、生徒の悩みを聞き取り、やる気を引き出すアドバイスをすること。

モチベーションをしっかり持たせることも、塾講師にとって大切な仕事です。

授業

塾講師にとっていちばん大切な仕事である授業。

しっかりと準備をして臨みます。

授業時間についても塾により異なりますが、50~90分程度であるパターンであることがほとんどです。

校舎の授業時間の実情に合わせて、1回の授業を組み立てなければなりません。

授業自体は週に1回ペースになるパターンがほとんどだと思いますので、計画していた内容が終わらずに翌週に持ち越すことは避けたいです。

できるだけキリよく、1回で完結させられるのが理想です。

授業の流れとしては要点を解説し、問題を演習させるという流れが一般的だと思いますが、問題を演習している生徒ひとりひとりの様子をじっくり見ることも大切。

生徒のつまずいているポイントを確認し、後ほどじっくり解説する…ということも適宜行います。

しっかりとした事前準備が必要ですが、その場の生徒の様子に応じて流れを少し変更することもあります。

柔軟な対応力が求められる仕事です。

参考:テストや書類の作成がある場合も!

私の勤務している学習塾では、全県で実施される学力テストを主催しています。

この問題の作成も職員の講師に割り当てられることになっています。

その他、校舎で配布するお知らせプリントなどの作成などもあります。

担当を任された場合は、日々の業務の中で時間を見つけて適宜対応していかなければならない仕事です。

しかし、このような作問や書類作成に関しては講師が対応しない塾も多くあるかと思いますので、参考程度にとどめておいてください。

未経験塾講師とベテラン塾講師の違いとは?

私もはじめは未経験で、ベテランの先輩方から学ぶことも多くありました。

しかし、生徒からしてみればベテランであろうと未経験であろうと「先生」であることは変わりません。

そのため、授業という点においては大きな違いはありません。

ただ、やはり日々の業務内容に少々違いが出るところはあります。

未経験のうちはまだまだ業務を覚えるのに精一杯かもしれませんが、経験を重ねるうちに任される業務も増えてきます。

その心構えのひとつとして参考にしていただければ幸いです。

「校舎長」「教室長」という仕事

経験を積んだベテランの先生は、その教室の責任者を任されます。

塾により呼び名は異なりますが「校舎長」や「教室長」と呼ばれます。

ベテランの先生と新任の先生の大きな違いは、今までに見てきた生徒の数。

入塾の際の面談や、保護者懇談などは、主にこの校舎長が行うことが多いです。

今までの経験を頼りに、より的確かつ適切なアドバイスが可能だからこそです。

教室運営のリーダー

教室の責任者である先生は、様々な教室内行事の計画を立て、それを進めるリーダーとなります。

私の勤務している学習塾においては、夏期講習や冬期講習などの日程などの企画を立てます。

それを基に講師全員での話し合いを経て決まりますが、受験や模試の日程、講師の配置などは責任者の先生に一任されることが多いです。

未経験の講師は、その計画・運営のノウハウをしっかり学ぶことが必要です。

未経験でもスムーズに塾講師の仕事を始めるポイント

研修をしっかり受けること!

当たり前のことのようですが、大切なこと。

特に授業研修です。

授業の流れや上手に進めるコツなどを、ベテランの先生方に教えていただく大切な機会です。

授業の組み立て方を教わったら、実際に模擬授業を見てもらってください。

人前で話すのに慣れるためにも大切です。

私も、非常勤の先生の授業研修を担当していますが、本人は無意識にしてしまっていることが他人の目から見ると気になることが、よくあります。

板書の仕方だけでなく、聞きやすい話し方、目線の配り方…あらゆることに対する助言を、いろいろな人からもらうことを心がけてください。

授業準備は早めに行う!

未経験の講師の場合、日々の業務に慣れることもまた大切なこととなります。

そのため、なかなか授業の準備に時間が取れないという方もいます。

とにかく先を見越して、早め早めに準備をすることが大切です。

毎日少しずつでも構いません。

しっかり準備をしていきましょう。

また、学校の授業の進度は前後することも多く、ペースも学校によりそれぞれ。

生徒は学校で勉強した、わからないことを質問してくることがあります。

そういう時、しっかり準備ができていないと答えられませんよね。

早めの準備は不測の事態に対応するためにも、とても大切なことなのです。

コミュニケーションを大切に!

塾講師は、人と常に接している仕事です。

授業外でも保護者対応や電話対応など、気を抜く暇はありません。

そして対応のひとつひとつが、校舎全体の空気や評判に影響してくることを忘れてはいけません。

単純に「明るく、元気な」先生でいることを心がけてほしいと思います。

あまり難しいことではありません。

生徒と先生は友人関係ではもちろんありませんので、行き過ぎた干渉はいけません。

しかし、話しにくい先生だと感じられてしまうと、いつまでも警戒心は解けないもの。

笑顔で、生徒にたくさん声をかけてあげてほしいものです。

塾講師のやりがいとは?

塾講師は大変なことも多いですが、やりがいを非常に感じる仕事です。

常に生徒を見守り、成長を実感することができるからです。

生徒の喜びの声を聞けること!

生徒たちは「勉強で困っていることがある」から塾にやってきます。

学校の授業ではわからないことを理解したくて、私たち講師を頼ってくるのです。

私たちはそんな生徒たちの困っていることに対して寄り添い、時にはひとりひとり、わからないことに対応します。

「なるほど!わかった!先生ありがとう!」と笑ってくれる生徒がいることが、何よりの励みです。

自分自身の成長のきっかけになる。

私たちは生徒たちに勉強を教えることが仕事ですが、同じ人間であるという点では対等な関係だと考えています。

日々塾や自習室に通って学習し、目標に向かって努力する姿からは、学ぶところも多いです。

自分で目標を設定し、それに向かって努力する姿勢が大切であるということを、努力する彼らの姿から学ぶことができます。

彼らから学ぶことも非常に多く、刺激になっています。

様々な人との出逢いが刺激になる!

各校舎には文系科目(国語・英語・社会など)を教える講師と理系科目(数学・理科)を教える講師が常駐しています。

私は文系の講師ですが、理系の先生方は私とはまったく違う考え方や経験を持っています。

学生時代の過ごし方や趣味など、自分とは全く違う人たちとの出逢いが多く、学んだり刺激になることが非常に多くあります。

また、講習の時期など人手が必要な際には、学生アルバイトを募ります。

彼らの学生生活や日々の経験の話を聞くこともよくありますが、新たな世界が開けてとても楽しいです。

生徒、保護者、そして同じ現場で働く講師たち…幅広い人たちと出会うことができるのも、この仕事の魅力であり、やりがいのひとつだと考えます。

塾講師の大変なところは?

大変なことは、挙げれば尽きません。

日々の業務量も多く、プレッシャーに感じることも多いです。

特に大変だと感じることをご紹介しますが、乗り越えれば充実感を感じることもできますよ。

生徒の成長に繋がる方法を考えること

残念ながら、「成績が上がらなかった」と退会される生徒さんもいらっしゃいます。

塾に通っているということは、やはり成績を上げたいということです。

しかし、いくら塾で勉強の仕方を教わったとしても、実践するのは生徒さん自身。

彼らのやる気を引き出すことができなかったということに関しては、大いに反省が必要です。

せっかく塾に来てくれたのだから、「成績が上がった」「勉強が楽しくなった」という喜びを感じてもらいたいと思っています。

この喜びややる気を引き出す授業作りを工夫するのは、簡単なことではありませんが、だからこそやりがいを感じてもいます。

失敗を次に活かすため、日々私たちも勉強しなければいけません。

講習期間の長時間勤務

講習というのは、夏期講習や冬期講習、または春期講習と言った、生徒たちの長期休業中に行う特別編成の授業のこと。

いつもは週1~2回ペースの授業ですが、休み中の学習習慣をしっかりつけるために、1日3~5教科ずつ毎日授業が行われます。

講習期間は朝から教室を開けて授業をし、また自習をしていく生徒たちのために夜まで教室を開けています。

普段とは異なるリズムでの生活になってしまうため、体調管理をしっかりしなければなりません。

いつもより授業時間も拘束時間も長いため、体の疲労感は強くなりますが、生徒たちの頑張る姿にいつも励まされています。

塾講師の仕事で身に付くスキル

さまざまな業務、または趣味などに結びつくスキルは様々に身につきます。

いくつかご紹介していきます。

ライティングスキル

最近の試験問題に於いては、「論述問題」と呼ばれるものが多く登場するようになりました。

200字~500字程度で自分の考えや解答を書くというもの。

私たち講師はそれを読み、添削し、アドバイスをするという仕事もしています。

その作業の中で文章表現のコツを学び、わかりやすく明快な文章を書くためのスキルを手に入れることができます。

コミュニケーション能力

私が学習塾で勤務を始めて、一番身に付いたものがこのコミュニケーションに関するスキルだと考えています。

コミュニケーション能力と言いましても、あまり難しいものではありません。

「相手の目を見て明るく話す」。

これは日本人である私たちが、意外と苦手にしていることです。

塾で働く人間は、大切なお子様を保護者様からお預かりする立場です。

そういう立場の人間として信頼していただくため、明るいコミュニケーションができることは必須。

最初はとまどいもあると思いますが、積極的に来客対応をすることで慣れてきます。

お客様や生徒たちの警戒心を解き、信頼していただくために「明るく、笑顔で」話す能力は必須です。

パソコン、電話対応のスキル

日々の業務に必須のものです。

WordやExcelを使ってお知らせの文書や掲示物を作ることも多くありますが、その仕事を通じパソコンに関するスキルが身に付きます。

わからないことはアドバイスをしてくださる先輩方に聞きながら覚えていけます。

電話が苦手な人も増えているようですが、これもたくさん経験すること。

はじめはうまく話せないこともあるかもしれませんが、応対していくうちに慣れてきます。

ベテランの先生方のやりとりを近くで見て学ぶこともまた大切です。

実践の形で身につけられるスキルが多く、とても役立つと感じています。

まとめ

塾の仕事は大変です。

これは正直に申し上げておきます。

ですが、普通の人にはできない経験が多くできます。

難しいことを考えず、自分の学生時代を思い返してみてください。

「こういうふうに教われば、もっとわかりやすかっただろうな」、「こういう先生がいたらよかったな」そういうイメージを思い描き、自分をその理想に近づけていくのです。

日々の努力が肝要なお仕事ですが、だからこそ、自分の成長を強く感じることのできる日々を過ごせます。


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