収入がいいからと塾講師という職業に就いてみて、意外と塾講師の仕事内容は多岐にわたり、収入が良いのもわかると感じる方も多いのではないでしょうか。

塾講師の仕事を始めてから戸惑うことがないよう、やりがいや大変なことも交えて、塾講師経験者が仕事の魅力について詳しく、熱く、ご紹介します。

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塾の形態は大きく分けて2つ。その違いは?

集団指導

集団指導は、塾講師ひとりで5名以上の塾生を指導します。

授業時間はだいたい60分から90分、教える科目は英・数・国の3教科が中心です。

「授業」と「授業で教えた内容の理解度を測る」ことを交互に進めていくのがスタンダードな指導方法です。

「授業で教えた内容の理解度を測る」方法はいくつかありますが、

  • ①授業中に解ったかどうか訊ねる。授業終了前に質問があるかないか確認する。
  • ②授業の一環として小テストをする。
  • ③宿題として少し難易度の高い問題を解いてきてもらう。

などしています。

やりがいを感じる点

進学塾もあれば、学校の予習や補習をする塾もあるように、塾生が塾に通う理由は様々です。

ですが、どのような理由で塾に通っていても、知らなかった事や理解できなかった事を理解することが塾生と塾講師の共通の目標です。

その結果、成績がアップすれば言うことはありません。

そのように考えると、自分が説明した内容を複数の塾生が「理解できる授業」をすることにやりがいを感じます。

また、理解できたことにより、塾生が学習や学問に対して興味を持ち、塾生の勉学に対する可能性が広がることに喜びを感じます。

大変だと感じる点

集団指導をしていて一番大変と感じることは、複数の塾生が理解できるわかり易い授業をすることです。

わかり易い授業をすることはやりがいでもあるのですが、複数の塾生に一度の説明で理解してもらうというのが難しい点です。

なかには嫌々通っている塾生がいるかもしれませんし、何度も同じところで間違える塾生がいるかもしれません。

そんな問題を抱えている塾生に理解してもらおうと指導すると、ほかの塾生にとってつまらない授業になります。

そのようにならないよう、心掛けていますが、やはり難しいです。

個別指導

個別指導は、塾講師ひとりで3名までの塾生を指導します。

ひとりひとりの塾生に対し、それぞれが理解できていないところを理解できるよう指導します。

講義形式と自習形式があります。

自習形式は塾生が質問したことに答えるというものです。

やりがいを感じる点

私の場合、初めての指導は個別指導でした。

授業をして理解できないところを塾生に尋ね、理解できていれば次へ、出来ていなければ理解できるまで指導するということを繰り返します。

集団授業とは違いダイレクトに塾生の理解度が伝わってきます。

理解できると塾生の目が輝いたり、表情が明るくなったりします。

そんな様子を見ると、こちらまで嬉しくなり、やりがいがあると感じます。

大変だと感じる点

やる気が無い塾生を指導するのは正直大変です。

一対一もしくは一対二なので見過ごすこともありませんし、スルーすることも出来ないからです。

また、集団指導と比較すると、より塾生と近い立場から指導するので親身になります。

親身になる分余計に、塾生の成績が上がらなかったり、志望校に落ちたりすると、責任を感じます。

保護者との距離も近くなるので、指導が上手くいかなかった場合、保護者に対しても責任を感じます。

個別指導塾求人を探す時は、こちらの記事を参考に!

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塾講師の具体的な仕事内容

集団指導・個別指導、また授業以外にしなければならない仕事内容を具体的にご紹介します。

授業の準備

個別指導の場合より集団指導のほうが圧倒的に事前の準備を必要とします。

  • 1コマどのように進めるかの時間配分
  • 授業の内容
  • 授業内容とそれに関連する知識
  • 塾生の理解度を測るテストをする場合の問題の選定

もちろん、担当する学年や科目、また自分の得意分野かどうかなどにより費やす時間もまちまちです。

①②③は関連しています。

担任制であれば、年間を通して計画をたてますが、担任制でなければ、前回の授業の内容を確認して、どのように授業をすすめるか決めます。

もっとも、担任制であっても塾生相手に授業をしていると計画どおりにいかない場合の方が多いので、前回の授業内容は必ずチェックする必要があります。

だいたいどのように授業をすすめるか決めると、自分自身の授業内容の理解度の確認をします。

同時に、塾生が理解しにくい箇所をいかに説明するかをシュミレーションします。

また、塾生から質問があった際、答えることができるよう、関連する項目をチェックしたり問題を解いたりします。

その上で④の、敢えて説明しなくても宿題で済ませる項目に関する設問などをセレクトします。

宿題の添削

その日事前準備どおり授業が進まなかった時、だいたいみんな解っているから説明しなくてもいいなと思った時、授業をしていても理解できているかいまいち手応えが無い時など、宿題として設問を解いて来てもらいます。

当然、次の授業では宿題の答合わせをしなければなりません。

○×のものならば、授業のなかで答を示して、各自答合わせをしてもらえますが、○×でないものや、解いていく過程が重要なもの、文章やスペルをチェックしなければならないものなどについては、提出してもらって添削します。

当然提出してもらった場合は、授業中に添削は出来ないので、授業が終わったあと、時には自宅に持ち帰り添削することになります。

添削の際、塾生が低学年なら、やる気がでるようなコメントを残すことにも気を配ります。

各生徒への学習指導

学習指導というとなにか特別な指導のように思いますが、決して特別なものではありません。

ただ、勉強する気を持っている塾生は、目標もはっきりしているので指導し易いのですが、やる気がない塾生に対する学習指導は正直言って疲れます。

あまり細々と指示して、さらに嫌気が増すと逆効果です。

かといって放任しておくわけにもいきません。

アメとムチではありませんが、塾生の性格なども考慮して学習の面白さを教えるのも塾講師の仕事と思っています。

模試などの試験監督

塾によっては模擬試験や実力試験の試験監督という仕事があります。

服装は当然スーツです。

模試などの試験を受ける生徒は塾生の場合もあれば、塾生以外の場合もあります。

問題用紙と解答用紙を配り、試験に関する注意事項を説明します。

試験中は、時間管理と不正がないかの監督をします。

試験が終われば、解答用紙を回収します。

場合によっては、採点をすることもあります。

採点に関しては、マニュアルもしくは配点ポイントの指示があるので、それに従います。

塾や保護者向けの報告書の作成

授業のあと、報告書の作成があります。

授業月日時間、塾生の人数など基本的なデータと、担当科目・テキスト名・具体的な授業内容・宿題・次回のポイントを記入し、困ったことやつまずいた箇所などを残しておきます。

これは、次回、自分以外の講師が担当になってもスムーズに授業をすることができるようにするためのもので、引継ぎ的要素が多分にあります。

それとは別に塾生個人の学習の進捗状況や授業中の態度などを記入する場合もあります。

遅刻や落ち着きが無い、居眠りをするなどマイナス部分を書くことを躊躇することもありますが、何度か続くと書くようにしています。

ただし、マイナス部分が解消された時は即座に記載しています。

保護者にとっては個人の報告書に興味があるので、保護者向けにこの報告書を送付する塾もあります。

また、保護者面談をする時はこの報告書を必ずチェックします。

進路指導や受験対策

進路指導に関しては、進学塾や予備校の場合、必ずと言っていいほど担当しなければならない業務です。

塾生の学力・今後の伸び代など把握し、塾生の希望を聴き、判断することが要求されます。

従って、塾生が志望する学校の偏差値だけではなく、学力以外の(例えば沿線など)基礎データも熟知しておく必要があります。

また、もし難しいと判断した場合の伝え方等も事前に考えておいたほうが良いです。

受験対策は、学習指導の延長線上にあると考えています。

ただし、塾によっては受験対策講座など通常の授業とは別枠で設定している場合があり、塾の運営面からその特別講座を受講するようすすめることもあります。

プリントや掲示物などの作成

私の場合、プリントは宿題として持ち帰ってもらうために作成しています。

したがって授業する内容と時間配分を考えてから、授業前に作成することになります。

また、図を用いて説明したほうが理解し易い課題もあります。

その場合はプロジェクタを使って説明するのですが、塾に共用のスライドがある場合はそれを使用します。

もし無ければ、前もってパワーポイントでスライドを作成します。

保護者対応

通常年に2回、三者面談もしくは保護者との二者面談で保護者と面談をすることになります。

それ以外でも、成績のことや、授業態度のことなど、保護者から依頼があれば対応することになります。

時には電話で状況説明をしたり、保護者の意見を聞かなければならないこともあります。

どんな場合でも保護者は大切なスポンサーですから、慎重に対応する必要があります。

特に電話は顔が見えない分、誤解が生じやすいので要注意です。

最近はモンスターペアレンツと呼ばれる保護者の事が問題になっていますが、ほんの一握りの特異な事例ですので、萎縮せず保護者対応しています。

電話応対

保護者から講師あてに架かってきた電話応対をするのは当然ですが、それ以外、事務員として電話応対をする必要がある塾も少なくなりません。

また、電話で塾の勧誘やPRをするといった営業面でのサポートをする必要がある場合もあります。

教室の清掃

教室の掃除を塾講師がしなければならないという話は聞いたことがありません。

もしかすると個人経営の塾で教室の掃除が仕事内容に含まれていることがあるのかもしれませんが、私にはなかったです

塾講師に関する素朴なギモン

教えることは未経験だけど、大丈夫?

私も初授業の前はドキドキしましたが、「一度目は誰でも初心者です。」と先輩講師に言われ、度胸が付きました。

とはいえ研修や事前準備は必要ではないでしょうか。

まれに契約後研修無しの塾もあると聞きますが、経験者ならそれもありですが、未経験者には無謀なスタートのような気がします。

研修は塾によってまちまちですが、おおまかに言うと、座学と模擬授業(ロールプレイ)に分けることができます。

座学では、「塾の方針」や「塾生に教科を教えることの意味」などの塾講師という仕事に関する観念的なものと、塾と契約したことなど仕事をするに際しての実務的な事を学びます。

模擬授業(ロールプレイ)は教壇にたって、授業をします。

塾生は他の講師がする場合もあれば、研修生同志の場合もあります。

声の出し方や視線などまで細かく指摘や指導が入るとこもあると聞いています。

しかし、ロープレか実践しか授業をする機会は無いので、不明な点は納得できるまで訊き、指摘があった点は真摯にうけとめ改善する姿勢で臨むべきだと思っています。

研修に関しては、学科に関する知識や塾講師としてのモラルに関するものなど、定期的に行っている塾や予備校があります。

自分のスキルアップのためにも、積極的に受講することをお勧めします。

初めての塾講師なら、集団指導と個別指導のどちらがおすすめ?

「初めて塾講師をするのですが、集団指導と個別指導とどちらがおすすめですか?」というご質問をうけることがあります。

個人的には「個別指導のほうが指導し易いですよ」とお答えしたいのですが、「どちらも難しいです。でも、生徒と一緒に頑張りましょう」とお答えすることにしています。

自分が教えたい科目や学年などの希望は聞いてもらえる?

もちろん人にはそれぞれ得意分野と不得意分野があります。

したがってある程度、希望はとおると思います。

塾講師には、どんな人が向いているの?

塾には、学習意欲を向上させるための塾と入試など合格するためのテクニックを教える塾の2種類あると思っています。

一方、褒めると頑張る子や叱咤激励すると頑張る子など、塾生の個性はバラバラです。

それは塾講師然りです。

ここからは感情論になり、論理的ではないかもしれませんが。

塾の持っている使命と塾生の個性と塾講師の個性を総合的に考えると、塾生の期待にこたえることができる授業をする意欲を持っている人が、塾講師に向いていると信じています。

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経験者だから分かる、塾講師として必要な心構えとは

教員や教師と違い、資格が無くても塾講師を職業とすることができます。

でも、教師や教員と同じくらい子供達に影響を与える職業だと思っています。

心構えというか私自身のモットーは、「持っている知識や情報は全て塾生に伝え、渡す」です。

塾生が主役で、講師は脇役だと思っています。

主役は脇役がいるから輝くのだと信じています。

塾講師になりたい人へ

思っていたよりハードな仕事と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

私自身、アルバイトで塾講師を始めた時、授業だけすればいいと思っていました。

それが実際は、授業だけではなく、その他諸々の業務があり、また、塾生の成績があがらなくことに自信を失くし、辞めたいと思ったこともあります。

ですが、志望校に落ちた塾生が落ちた報告をするために塾に来て、「ありがとうございました。」と言ってくれたことを思い出して。

また塾生の勉強したいという意欲に応えなければいけない使命感が、辞めることを押しとどめてくれました。

塾生達には未来があります。

その未来が塾生達にとってベストのものになるようこれからもサポートしていくつもりです。

ちょっと哲学的になってしまいましたね。