ハローワークの職業訓練について、耳にしたことがある方も多いことでしょう。

この職業訓練、実は色々お得な制度なのです。

どんな内容のものがあるのか、どうすれば受けられるのか、職業訓練を受けるメリットがなんなのかをお伝えします。

ハローワークの職業訓練ってどんな内容?

実に多岐にわたって展開されているのがこの職業訓練です。

2016年11月に「ハロートレーニング」という愛称も決まり、その内容はますます充実しています。

ハロートレーニングは、求職者が就職やキャリアアップに必要なスキルや知識の習得をするために受講できるものになっています。

雇用保険の受給者が主な対象になっている公的職業訓練と、雇用保険を受給できない求職者が主な対象になっている求職者支援訓練があります。

基本的に無料で受講できますが、テキスト代などは実費で負担する必要があります。

また、対象となっているのは失業状態にある求職者だけではなく、在職者や学卒向けの能力開発・教育コースもあります(ここでは取り上げません)。

具体的な訓練内容としては、Word、Excelなどのオフィスソフトや簿記・会計や総務などを学ぶ事務的な内容のもの、機械加工や住宅リフォーム・建築などの工業系のもの、ヘルパーや介護福祉士など介護関連のもの、トリミングなどのペット関連のもの、エステやネイルなど美容関連のもの、デザインや情報処理などとても書ききれないほど幅広く展開されています。

アロマテラピーや観光サービスなどといった変わり種もあります。

ハローワークで職業訓練を受けるまでの手順とは?

まずは最寄りのハローワークへ行きましょう。

求職登録を行います。

基本的に手続きはすべて、ハローワークで行います。

1.求職登録

ハローワークに行って、求職登録をしましょう。

求職申込書(OCR)に記入のうえ、窓口にて詳細を聞き取り、求職登録をします。

職業訓練の申し込みだけではなく、窓口での職業相談やハローワークを通じて求人に応募をする際にも求職登録をしている必要があります。

現在在職中で、転職を検討しているという場合にも、今後、失業期間が生じれば雇用保険を受給する可能性があります。

その際にスムーズに手続きを進めるためにも、早めに求職登録までは済ましておきましょう。

2.訓練窓口

職業訓練の受講の希望がある時、申し込みはどのハローワークでも構わないのかというと、実はそうではありません。

必ず、住所地で決まっている管轄のハローワークに申し込む必要があります。

「ハローワーク 管轄」等の検索ワードで調べることができます。

または、厚生労働省のホームページの都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧に都道府県単位でハローワークの所在地が掲載されていますので確認をしてみてください。

雇用保険の受給手続きと、職業訓練の申し込みについては管轄のハローワークで、と覚えておきましょう。

管轄のハローワークの訓練窓口で申し込みをします。

公共職業訓練受講申込書には写真貼付欄がありますので写真も用意します。

認め印も持参してください。

訓練開始時点で離職者であることを問う、「職業訓練受講申込時の就労状況等申告書」、職業訓練を受講するにあたって、積極的に技術や知識の習得に努め、かつ就職活動にも積極的に取り組むことに同意する書面も併せて提出します。

これは、職業訓練の受講によって就職の可能性が高くなることを必要とする求職者に受講させ、実際に就職してもらう必要があるためです。

ほかに、職業訓練によっては託児サービスなどが利用できることもありますので、希望がある場合は利用申込書を提出します。

3.雇用保険受給手続き

すでに離職しているという場合には、必ず雇用保険の受給手続きも終わらせておきましょう。

離職の理由が自己都合であれば、通常は給付制限が3ヶ月ありますが、給付制限期間中に訓練の受講がはじまれば、給付期間が短縮されるなど雇用保険受給者にはメリットが大きいです。

訓練受講中に支払われる基本手当は、雇用保険を普通に受給した場合と同額になります。

さらに、基本手当とは別に、受講手当と通所手当が支給されます。

受講手当は訓練を受講した日数分給付を受けることができるもので、1日当たり500円、通所手当は訓練施設に通うための交通費にあたります。

距離により金額の多寡があるのは当然ですが、通所の方法(公共交通機関を利用するのか自家用車なのかの別)によっても金額は異なります。

同じ距離を通うとしても、公共交通機関を利用する場合が一番高く、実費の分が出ます(上限はあります)。

また、雇用保険が支給されるまでの期間が短縮されるだけでなく、訓練が終了するまで支給は続きますので、訓練の期間によってはかなり長く雇用保険が支給されることになります。

4.求職者支援制度

雇用保険の受給資格がない求職者が、職業訓練を受けてスキルアップを図ろうとするときに利用できる制度が求職者支援制度です。

この制度は、簡単に言うと一定の要件を満たす求職者が、職業訓練受講給付金の支給を受けながら職業訓練が受けられるという制度になっています。

民間の訓練機関が厚生労働大臣の認定を受けて実施する求職者支援訓練を受講する際に、月額10万円が支給されます。

ほかに、通所手当や寄宿手当などの支給もあります。

ただし、無条件に支給されるわけではなく、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 本人の収入が月額8万円以下であること
  • 世帯全体の収入が月額25万円以下であること
  • 世帯全体で所有している金融資産が300万円以下であること
  • 現在居住している所以外の土地・建物を所有していないこと
  • 訓練実施日にすべて出席していること(やむを得ない場合も、支給単位期間ごとに8割以上出席していること)
  • 同時に同給付金を受給して訓練を受講する者が世帯にいないこと
  • 過去3年以内に虚偽や不正行為によって特定の給付金を受けていないこと

以上の7点をすべて満たしていれば職業訓練受講給付金を受給できます。

この給付金制度は、安定した就職を目指すために、生活の不安を軽減するために設けられている制度です。

給付金制度の意義は雇用保険と非常によく似ていると言えますね。

給付金の支給を受けるためにはまず、事前審査を受けなくてはなりません。

職業訓練の受講申し込みと同時に事前審査の申請をします。

その際には添付書類が必要になります。

マイナンバーカード等の番号確認書類、運転免許証等の身元確認書類、ハローワークより交付される書類、そして預金通帳や賃金の明細など本人および世帯の収入や金融資産を証明する書類が必要になります。

雇用保険と国庫から支給される給付金ですので、申請は厳密に、そして審査もかなり厳しいものになっています。

5.選考会

募集期間内に申し込みをしたら、そのあとは選考会があります。

訓練によって異なりますが、訓練の受講が可能な程度の知能を有していることを確認する内容の筆記テスト(基礎学力を問うテスト、知能テスト)などを実施しています。

また面接では、受講によって就職がしやすくなるかどうかを見ています。

特に服装の指定はありませんが、就職試験と同様、スーツで行った方が無難です。

6.訓練合格→受講指示・受講推薦・支援指示

選考会を突破し合格したら、ハローワークに行って公共職業安定所長の受講指示・受講推薦・支援指示のうちどれかを受けることになります。

職業訓練を受講することが適当であるという意味のものです。

受講指示

雇用保険受給者が対象です。

雇用保険の受給期間が延長になり、また、受講手当と通所手当が受けられます。

指定の日時にハローワークへ行きますが、この際、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書、認め印を持参します。

説明会に出席し、受講指示を受けてください。

雇用保険受給資格者証は、ハローワークに預けることになります。

訓練を修了し、退所する際に返却されます。

受講推薦

受講指示にならなかった場合、受講推薦ということになりますが、雇用保険の受給が延長されなかったり、通所手当の支給がなかったりと、受講指示に比べて受けられるメリットが少なくなっていると言っていいでしょう。

受講推薦の場合、雇用保険の給付を受けるために失業の認定日(失業状態にあることを確認する日)に管轄のハローワークに行って認定を受ける必要があります。

受講指示を受けて訓練を受講する場合は、認定日にハローワークへ行くことが免除されます。

支援指示(求職者支援指示)

求職者支援制度を利用しての受講についての指示になります。

職業訓練受講給付金を支給される対象になっている場合、この支援指示が出されることになります。

この支援指示をもとに、月額10万円の職業訓練受講手当や、通所手当が支給されます。

7.入所

職業訓練の初日には入所式が行われます。

受講料は基本的に無料ですが、テキスト代は実費になります。

入所時にテキスト代などを支払わなければならないことが多いですので、いくら必要なのかを確認しておきましょう。

職業訓練後、どのように仕事を探す?

職業訓練を修了しただけで就職が決まるというワケではありません。

どうやって就職活動を進めていけばよいのか、どのように仕事を探せばいいのか解説します。

職業訓練校で探す

職業訓練校には、当該の訓練を受けている人にピッタリ合った求人をまとめて掲示してあったりします。

講師陣が選定しているものだったりするので、膨大な求人の中から自分検索するよりも楽に条件に合う求人を探すことができます。

また、訓練の受講についての情報を含めた情報公開をすることもあります。

訓練で身についた技術や取得した資格などについてですね。

職業訓練校に、事業所の方からスカウトのような形で応募を希望する案内があることも。

ハローワークで探す

訓練によっては、終了の時期が近い後期に入ると就職活動の時間を設けていることもあります。

ハローワークに赴いて求人検索をしたり、窓口で職業相談をしたり、応募した事業所の面接に行ったりするのです。

就職活動も、カリキュラムの中の単位に含まれますので、この時間をフルに活用して仕事を探すようにします。

ハローワークで仕事を探す際には、やはり訓練で得た技術や知識が活かせるような仕事を優先的に探しましょう。

職業訓練を終えたばかりというのは、いわばその訓練内容について「旬」の求職者なのですから、利用しない手はありません。

その他

もちろん民間のエージェントを利用したり、派遣会社に登録をしたり、求人情報誌などを活用したりして仕事を探す人もいます。

職業訓練校の就職支援

職業相談はハローワークだけではなく、職業訓練校でも受けられます。

訓練内容=特定の職業に関することに特化した相談ができたり、ほかにも、書類作成についての助言や模擬面接等の支援が受けられることも。

キャリアコンサルティング

職業訓練校では、キャリアコンサルティングを受けることもできます。

ジョブカードの作成などもできます。

ジョブカードはそのまま応募書類として提出もできる書類になりますので、作成しておいて損はありません。

キャリアコンサルティングなどの支援によって、就職活動の基礎的な部分をしっかり築けるので、その後の就職活動の進め方が楽になります。

細かい支援

訓練内容=特定の職業に関することに特化した相談ができたり、ほかにも、書類作成についての助言や模擬面接等の支援が受けられます。

また、自宅にパソコンを持っていないという方もいるでしょう。

そういった方が応募書類を作る場合、手書きが苦にならないのであれば構わないかもしれませんが、職業訓練校のパソコンを使って書類の作成などができることも。

なぜ支援が厚いのか

職業訓練校は国の行う就職支援の制度です。

国(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)が直接実施しているものと、各都道府県が実施しているものがあります。

各都道府県の委託を受けて、民間の教育訓練機関が実施する訓練もあります。

いずれにせよ、雇用保険料や国庫などを投入して実施されていることに変わりはなく、職業訓練の目的である訓練を受講することで就職がしやすくなるという基本的なことを事実としてアピールしなくてはならないのです。

職業訓練の意義は、受講終了した求職者が就職を決めることで初めて証明できるというワケなのです。

そのため職業訓練は、実践的な内容だけではなく、支援の厚さでも求職者を就職に結びつけるのにたいへん有用になっているのですね。

まとめ

就職を希望する人の技術や知識をアップさせて、就職を実現させようとする職業訓練。

どんな内容のものがあるのか、受講したいなと思ったらどこへ行ってどんな手続きをすればいいのかといったことを解説しました。

訓練の内容もさることながら、求人を探すことや、キャリアコンサルティングや書類作成などの支援も厚い、職業訓練。

長く続けられる安定した仕事につけるよう、ぜひとも職業訓練を上手に利用してください。