今の時代では地図といえば、まっ先に頭に浮かぶのは、やはりGoogle Mapでしょうか。

スマートフォンにはあたり前のように最初から入っていますし、テレビでも何かとGoogle MapやGoogle Earthの画像が出てきますよね。

スマートフォンの現在位置情報と連携すれば、ほとんど迷うことなく目的地まで誘導してくれます。

旅行中、進行方向に合わせて地図をあちこち向きを変えながらキョロキョロしながら歩く必要もありません。

非常に便利な世の中になりました。

今回はそんな「地図に関する仕事」に関して解説します。

ひと口に地図の作成と言っても、突き詰めていくと、GISや衛星画像の解析、測量など専門用語も多く非常に専門的な職種になってしまいますので、ここでは、わたし個人の経験や見解も織り交ぜながら、一般的に間口の広い求人のある主にデータ作成や入力、作図といったものの解説とさせていただこうと思います。

専門的な知識や経験はないけれど、地図の奥深さに魅了され、少なからず地図に携われるような仕事に就きたいという人や地図のお仕事に興味があるという人へ、その第一歩の道標となれば幸いです。

地図に関する仕事はどんな仕事?

現代では、定番の冊子だけでなく、インターネット上のサービスや各種資料などに地図が用いられる場面が多くなり、クライアントからの依頼でその要望に沿った地図を作製します。

地域の地図であれば、精度にもよりますが、そこ一帯の衛星画像や航空写真をもとに、それをトレースしながら川や道路といった地形や建物、地名などをコンピュータ上で入力していきます。

データをヴィジュアル化またはデジタル化した資料としての地図であれば、必要なデータを収集して、精査したものを分布させ、視覚的にデザインした地図を構成します。

ひと言でおおざっぱには、地図作成は、データ入力と言ってしまえるかもしれません。

また、地図の調査員という仕事もあり、実際に現地へ行って元となる地図やデータと違いがないかの確認をします。

地図に関する仕事の大まかな仕事内容

今回は、ベースとなる航空画像や地形データなどを組み合わせた地図データがすでに提供されてある場合を前提に、解説していきます。

用途が特殊で専門的な地図データの作成や地理情報の収集分析は、日本において地図に関するトップの機関である国土地理院や関係測量会社などが行っています。

ここでの例として具体的には、ゼンリンの住宅地図やひと昔前のカーナビの地図をイメージしていただけるとわかりやすいと思います。

必要な情報を収集し、ベースとなる地図データと、そこに付加していく図やデータをピックアップして、それらを要望に応じて組み合わせたものを地図として仕上げるというお仕事です。

データ収集

依頼内容にもよりますが、まずは、必要なデータの収集作業があります。

たとえば、指定された地域の住宅地図であれば、一帯の地図と元となる戸別データが必要になりますし、人口分布や名産品紹介等の参考資料としてならば、関連する地理情報が必要になります。

データの入力のみを外注により委託された場合は、必要な事前データはすべて準備されていることがほとんどなので、この段階は作業状況によって省略されるというケースもあり得ます。

データの分析と解析

本格的で専門的に地図の仕事に携わりたいという方のために、簡単に触れておきます。

この作業は多くの場合、国土地理院などの専門機関や測量などの専門的な知識を持った会社が請け負っており、一般的には目にする機会の少ない各省庁や市区町村などの依頼で特殊な地図を作製する際に、必要不可欠なものとなります。

都市開発やインフラのマッピングなど、簡潔かつわかりやすい地図にするには、総合的なデータの管理と分析をしなければなりません。

非常に複雑で膨大な量のデータを取り扱い、そのデータを元に多種多様な地図が作成されています。

作図

住宅地図等の作成において、航空写真などから外枠となる道路や川を作図する場合、作業としては、元となる地形図などはすでに用意されていることが多く、システム上または手書きでデータを描きこんでいきます。

しかし、コンピュータの普及した昨今では、現地でのメモ等を除いて手書きによる作図は省き、用途やデータの汎用性、保存面から、最初からコンピュータ処理による作業から始めることがほとんどです。

冊子での地図は別ですが、インターネットやパソコンのシステム上で展開することを前提に作成されたデジタルコンテンツとしての地図では、写真のように極端な拡大や縮小をしてもぼやけたりしないよう、ベクターデータと呼ばれる形式で処理する必要があるため、それに対応したCADやイラストレータといったソフトを使用して行うのが主流です。

最近では多くのグラフィック処理ソフトが存在するなか、マウスで感覚的に絵を描けるように使えるものとは使い勝手が違い、特別な資格などは必要ありませんが、コツをつかむまでは少し慣れが必要かもしれません。

専用のシステムをあつらえている場合や作業のマニュアルが用意されている場合は、それに従います。

また、資料やインターネット上での用途の場合、これに視覚的なデザインという要素も加わります。

ホームページで使用される場合、その全体のイメージに合う印象のイラストだったり装飾のものにしなければならなかったり、資料であれば、ピックアップしたデータの何がどう分布しているのか、直感的かつ明瞭に伝わらなければなりません。

しかしその場合、データ作成とデザインとで分業にするというケースもあります。

データ入力

戸別情報の掲載がある住宅地図では、全てが手書きの場合もありますが、出版用にデジタル化するため、コンピュータのシステム上に展開した地図データに建物名や個人宅の情報を1つひとつ手作業で入力していきます。

このデータ入力のみを担当する場合、必要な情報はあらかじめ用意されていることが多いです。

インターネット上での地図サービスで使用する場合、クリックすることでより詳細な情報を展開させるというアクションに備える必要性から、入力するデータの項目がアナログの地図の作成より多くなることがあります。

次の段階としてチェックの人も別に必ずいるものですが、基本的には、ミスは絶対に許されません。

地図に関する仕事はどんな人に向いている?

地図に関する仕事内容についてまとめてみましたが、地図そのものが好きな人は言うまでもありませんね。

本当に地図が好きな人は、何時間でも地図を眺めていられるといいます。

しかし、地図に関する仕事では、必ずしも地図が好きである必要はありません。

いくつか例を挙げてみますので、ぜひ参考にしてみてください。

黙々と作業に打ちこめる人

基本的には、地域や入力の担当が決まったあとは、ひたすら自分が受け持った分の仕事を消化していくことになります。

専門的な作業やよほどのことがない限り、他の人の作業を手伝ったり、1つの区分を数人で連携しながらプロジェクトのように進めるということはありません。

部屋はキーボードを打つ音しかほとんど聞こえてこないという環境の中で、その日1日、言葉を交わすことなく終業のチャイムが響くといったことも少なくないほどです。

作業環境ならびに、長時間パソコンと向かい合って黙々と仕事をこなすということが苦にならない人でなければ務まりません。

一人で黙々とコツコツ地道に単調な作業を続けることができるというのは、この仕事において絶対的に必要な資質といえます。

機械的な作業が好きな人

作図やデータ入力の仕事だけに限っていえば、仕事を覚えてある程度の経験を積むと、その作業内容は、大まかには同じ作業の繰り返しになります。

マニュアル等があればなおさらです。

逆に言うと、細心の注意を払いつつ集中して1つずつ確実に消化していける人が向いているといえます。

少し不器用なくらいの人がいいのかもしれませんね。

パソコンの操作に堪能な人

大半がパソコンを使っての作業になるはずなので、パソコンに関する基本的な知識や操作に慣れておくと、たとえ未経験の分野でも仕事の覚えが早くなります。

未経験でも慣れれば自ずと1か月もしないうちに上達していくものですし、長文を打つことがあるわけではありませんが、パソコンで作図や描画の経験がある人、あらかじめタッチ・タイピング程度のスキルを持ち合わせていると、仕事をしていく上で必ず有利になります。

タッチ・タイピングとは、画面を確認せず経験と指先の感覚だけでキーボードによる文字入力を進めていくことを指します。

単調で機械的な作業なので、精度の向上や時間の短縮など、作業の効率化はとても重要です。

仕事の信頼度や実績に直接つながることです。

作業の重要なツールとなるパソコンの基本的な操作に慣れていれば、量と質の両方を求められる仕事内容であるため、必然的に周囲の未経験の人とは結果にも差が出ます。

仕事の結果に個性は必要ありませんが、そのプロセスでそれを活かすことができます。

逆に地図に関する仕事に向いていない人の特徴は?

向いている資質で、なにか1つでもあてはまるものはありましたでしょうか?

それでは次に、向いていない人について書いてみようと思いますが、当然のことながら、単純に向いている内容の逆の人といえます。

沈黙が苦手だったり集中が途切れがちだったり、おしゃべりしながらでないと仕事が手につかない人だったり、単調な作業はすぐに飽きてしまう人に向いていないと思います。

パソコンに関しては、まったくの未経験からでも興味をもって取り組んでいれば、ゆくゆくはそれに特化したスペシャリストにもなり得るので一概に向いていないとは言えません。

では次に、それら以外で気になる人の特徴を3つ挙げます。

責任感がない人

データ入力という大きな枠組みで考えると、自分の担当として仕事を振られている以上、何かあった場合、その責任は全て自分が負うことになります。

立場や仕事内容にもよりますが、アルバイトだから、データ入力だからと単に入力すればいいという姿勢で仕事をしていると、あとあと必ずなにかが起こります。

どんな仕事でも言えることかもしれませんが、順調なうちは頑張れても、何か面倒なことがあると途端に投げだしてしまうというような人や、重責のかかる仕事は避けて通るという人は向いていません。

単調な作業だからこその重要性を忘れてはいけません。

一人で作業ができない人

よく言えば協調性があるとも言えるのですが、和気あいあいとした雰囲気を好む人や、自分で解決しようとせず、すぐに人を頼ろうとしてしまう人です。

会話をしながらのほうが落ち着くという人もいますし、他人の作業ばかり気になってしまうという人もいます。

仕事以外の余計な気遣いや人付き合いに配慮する必要がなく、一人で気楽である反面、周囲の人のサポートも多くは期待できません。

そして、環境的にずっと自分ひとりで悩んでしまいがちですが、いざというときはきちんと人を頼るという勇気も必要です。

前述したように、極端な環境である場合が多いので、なかには耐えられないという人も少なからずいると思います。

そのような人は、この仕事以外の仕事を選ぶべきでしょう。

ルールを守れない人

これは間接的に、面倒くさがりな人ということにもつながります。

地図自体が、ある一定のルールや規則にのっとって作成されています。

たとえば、作業の効率化は非常に大切なことですが、そこばかりを追求してしまうと、似ている部分はすべてコピーしてしまったり、確認を怠ってしまったり、流れや経験で自分勝手な判断をしてしまったりと、ついルールやマニュアルから逸れてしまいがちです。

ルールを無視した地図は、もう地図ではなくなってしまいます。

地図の製作では、面倒な作業が必要になる個所にあたってしまうということが必ずあります。

そんなとき、マニュアルやルールよりも自分の都合や状況のほうを優先してしまう人は、地図の製作には向いていません。

自分に合った地図に関する仕事の求人の選び方や注意点

【選び方①】職種から探す

仕事内容にスポットを当てた求人を探す場合、ざっと3つに分類して検討してみることができます。

データの収集のみで見ると、現地調査員があります。

データの分析では、国土地理院などの専門機関や測量や設計などを手掛ける企業が主流です。

作図などのデータ入力のみでは、一概には言えませんが、求人サイトではこの求人がもっとも多く見受けられる傾向にあり、下請け会社への派遣やアルバイトでの求人が公開されています。

資料などに使用するデザイン地図も考慮すると、作業はすべてを請け負う形となりますが、デザイン会社やホームページのサービスを扱うIT系の企業が、サービスの一環として地図を取り扱うこともあります。

地図を専門に取り扱うIT会社もありますが、非常に狭き門です。

【選び方②】給与や雇用条件から考える

専門機関である国土地理院は国家資格が、設計や測量の会社では測量士などの専門的な資格が必要となるがゆえに、詳しくは触れませんでしたが、参考程度に書いておくと、当然雇用は正社員で、給与は、中年期までには年収が600万円を超えます。

現地調査員の仕事は、委託である場合が多く、給与も出来高制とある求人がほとんどです。

データ入力の仕事で派遣社員の場合、地域や経験などにもよりますが、給与は時給で1000円から1400円前後の範囲が相場といったところです。

また、雇用条件としては、いずれも研修やマニュアル体制はしっかりとしている求人の中で、下請けの会社でもそれなりのコネクションを築いている企業であるケースが多いです。

少し残念なのは、経験やスキルによる待遇の交渉はできても、それが認められて大きな差が出るほどの優遇となるケースは、一般的な営業職などに比べると少ないという傾向にあります。

しかし少しでも交渉材料をお持ちの方は、ぜひ交渉してみてください。

【選び方③】エリアから考える

地図に関する仕事を請け負うような企業は、ある程度都市部に多い傾向にあるため、アクセスは非常に便利です。

業務内容が心身ともに消耗するものなので、気分転換も兼ねて片道で30分から1時間程度の範囲内で探してみるといいかもしれません。

ずっと座ったままでの仕事なので、運動不足に悩む人もいるかもしれません。

それを見越して、あまりにも遠いのは出勤前に疲れてしまいますので、自転車などで通勤できる距離というのも選択肢の1つに入れておいてもいいでしょう。

通勤時に地図が必要になるような遠方は、現地調査員の仕事に興味がある人だけにしておいてくださいね。

地図に関する仕事で身につくスキルや経験とは

地図や地理の知識

担当した地域やどのような地図に携わったかにもよりますが、特段興味や勉強する気はなくとも、毎日データを見ているだけで少しずつそこに関する知識が身についていきます。

自分でも驚くほど限定的でローカルな事柄ですが、行ったこともない道路の名前や見たこともない川の名前をいつの間にか覚えてしまいます。

地図の種類によっては、名産品や特産品などを掲載することもあるので、そこから興味が湧き、いつか行ってみたい、見てみたいというモチベーションになるかもしれません。

地理や地図に関する知識は、新しい発見などにつながったりすることもあるので、身につけておいて得になることもありませんが、損になることはありません。

ただ、いざ必要なときに知らず恥ずかしい思いをするという場面が多々あるのも、地図や地理についての知識です。

問題の自己解決能力

まずは人を頼らず自分で解決してみようという姿勢は、社会人にとって非常に有益です。

また、なにか問題が起きても、右往左往することなく解決策を模索する方向へ自然と思考が動くようになります。

パソコン操作の上達

毎日、長時間キーボードで文字を打っていると、必然的にタッチ・タイピングのスピードや精度は向上します。

パソコンを使用していれば、なにかしらのエラーはつきものですし、基本的なシステム上のエラーであれば、ある程度なら自分で対応できるようになります。

1つの目的に対してアプローチの仕方も何通りかあると認識できれば、パソコンを使用する作業への対応力の幅も広がります。

集中力の向上

この極端な環境でのデスクワークの経験は、集中力を高め、順序立てて確実に物事を片付けていくというスキルを伸ばします。

必要なときに集中力が長く持続することは、どのような場面においても役立つ経験です。

注意力が身につくということは、必要なもののピックアップが上手になり、作業の無駄を省いて結果までさまざまなルートをたどれるようになります。

その後のキャリアについて

この仕事についた後のキャリアアップの道は?

地図に関する仕事の経験を積むことで、より規模の大きな会社への就職や重要なポジションへの昇進に有利になります。

また、専門的な知識を学び、資格試験の取得ができれば、国土地理院や測量事務所など、より深く地図というものに携われる仕事へ挑戦することができるようになります。

もし測量などで独立することができれば、地図プラスαの地理的な仕事も請け負えるチャンスにめぐりあえる機会が多くなり、地図との関係性の幅も広がることでしょう。

他の仕事にもこの経験を活かせる?

データ入力という限定的な視点で考えると、さまざまな業種でニーズの高い同じデータ入力の仕事で有利となることがあります。

地理に関する知識が活きる機会としては、たとえば、旅行会社や運転手、土木関係の仕事などがあります。

集中力はどのような仕事にも活かせることですし、パソコン操作も一般的なデスクワークの事務職では有利となるスキルです。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

簡単にではありますが、地図に関する仕事についての解説はいかがでしたでしょうか?

Googleが現代地図におけるトップのお仕事ではありませんし、地図に携わるお仕事に就くにも、さまざまなアプローチがあるということが少しでもお伝えできれば嬉しいです。

情報化社会となり、容易に世界中の情報に手が届く現代では、地図情報のあり方も幅広い展開が必要となってきています。

都市の再開発や災害などによる地形の変化で地図の更新頻度が増えると、この仕事のニーズも高まります。

より深く専門的に地図と係わりたいという人は、できれば早い段階から資格取得や学ぶ必要がありますが、補助的な仕事や地図データという面では、未経験からでも十分に始められるお仕事です。

地図に関する仕事において、不安や迷ってしまっている人の少しでもお役に立てれば幸いです。

地図に関する仕事に興味がごありの人は、ぜひ資格取得なども視野に入れ、前向きに挑戦してみてください。

広がるキャリアマップの道は、それを思い描ける自分次第なのですから。