保育士の仕事内容って具体的にどんなことをするのでしょうか?
「保育園の先生って子どもと遊んでいるだけでしょ?」なんて思っている方はここで様々な業務を知るいい機会になればと思います。
憧れだった保育士の資格を取得し、いざ仕事を始めたときに「こんなはずじゃなかった!」と思わないように、保育士の公立私立の違いについてや、この職業の魅力について分かりやすくお伝えします。
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公立の保育所と私立の保育所 働く側にとっての違いとは?
公立保育所
公立保育所は各自治体が経営している保育所です。
そのため、公立保育所で働く保育士は公務員の扱いになります。
公務員なので自治体が行う公務員試験に合格して初めて公立保育所で勤務することができます。
公立保育所の良いところは、なんと言っても給料や休日、昇給といった体制がしっかりしているところです。
公立保育所の職員は産休育休から復帰しても仕事を続けている方が多く、仕事をしやすい場所でもあります。
特に男性には嬉しいことですね。
また、公立保育所は自由保育のところが多く、子供とのんびり過ごせる印象が強いです。
私立保育所
私立保育所は運営母体が、社会福祉法人、宗教法人、学校法人、NPO法人等や株式会社や個人経営と様々です。
各園によって特色があり、英語教育に力を入れたり、リトミックや体操といったカリキュラムを組んでいる園もあります。
私立保育所の良さは園によっても様々ですが、中には社宅を完備していてほとんどお金をかけずに生活することができたり、海外研修や社員旅行といった福利厚生を整えているところもあります。
各園によって方針や特色は様々なので、自分に合う保育所、合わない保育所は当然出てくるかと思います。
私立保育所は知的教育に力を入れているところが多く、保育も決まったスケジュールで過ごしているところが多いです。
保育士の具体的な仕事内容12個
園児の食事や昼寝などの基本的な生活習慣の指導
保育の中で一番大切なことは子どもの自立を促すことです。
子どもたちと生活を共にし、生活の中から人間関係や生活習慣、社会のルールを伝えていきます。
食事は月齢に合わせて離乳食や幼児食を配膳し、以上児は子どもたちと一緒に食べます。
食事の介助や一緒に食べる中で食事のマナーを伝え、食具の持ち方や簡単な配膳方法も伝えていきます。
衣服の着脱も一緒に行い自分でできるようになるよう促していき、3歳にあがる頃には基本的な生活習慣が身についているようにしていきます。
散歩や遊びを通し、園児の成長を促す
散歩や遊びも子供の成長には大切な過程です。
散歩一つとっても目的は様々で、
- 靴や帽子等の準備を自ら行えるようにする
- 長い距離を歩くことで歩行力をつける
- 公園で遊具を使用し身体全体の使い方を伝える
- 友達と一緒に歩くことで社会性を身につける
といったことがあり、様々な面で成長を促すことができます。
子どもは遊びの中で社会ルールや基本的な運動動作を身につけていくので、傍から見ればただ遊んでいるようにしか見えませんが、一つ一つ考えながら遊びを促していきます。
着替えや排泄などの身の回りのお世話
まだ自由に動くことのできない乳児はもちろん、大きくなった子どもでも身の回りのことを自分ですることが苦手な子もいるので、身の回りのことを援助し自分でできるようになるよう促してあげます。
衣服の着脱を手伝ったり、オムツを取り換えることも保育士の仕事です。
中には排便が服まで染みてしまったり、排尿が間に合わず衣服に漏らしてしまうこともあります。
そんな時でも優しく子供に声をかけ新しい衣服に着替えさせ、汚してしまった服を手洗いします。
汚いから触りたくないというわけにはいきません。
給食や補食の配膳・後片付け
給食も大切な保育の一つです。
食具(スプーン・箸等)を使って上手に食べられるようになるよう子ども一人一人に持ち方を教え、口までの運び方を伝えていきます。
手づかみ食べや食具が苦手な低年齢児は、汁物や食材をこぼすのは日常茶飯事です。
根気良く教えていき、できるようになった姿を見ることはとても喜ばしいことです。
また、食育として子どもと一緒に調理をしたり、旬の食材や行事食の紹介、食べる時のマナーを教えています。
行事の企画・運営
保育所も幼稚園や小学校のように各季節に合わせて行事があります。
毎月行われる誕生日会をはじめ、入園式、夏祭り、運動会、クリスマス会、発表会、卒園式と毎月何かしら行事があります。
各園の中で担当を決め行事を計画し、その日に向かって子どもたちを盛り上げていけるように日々の保育を考えていきます。
特に運動会や発表会は保護者も参加する大きな行事で、子どもたちの成長を知ることができる機会でもあります。
園児の安全や健康管理への配慮
保育所では毎月避難訓練を実施し、火災や地震、津波といった自然災害が起きた時を想定して避難できるように計画を立てています。
火災発生場所も予想できる場所を全て考え、調理室から出火した場合はこのルート、事務所から出火した場合はこのルート、といったように何通りもパターンを作成し、子どもたちが安全に避難することができるように考えています。
また、園庭や近隣公園の遊具などに危険はないか遊ぶ前に必ずチェックし、子どもたちが安全に遊ぶことができるよう配慮します。
健康管理は毎朝子どもが登園する際に視診をし、普段と変わりがないか確認します。
熱がありそうなときには検温をし、子どもの些細なことも気付けるように観察しています。
毎月身体測定を行い子どもの発育状況を調べ保護者に伝えることも重要な仕事です。
連絡帳の記入やお便りなどのプリント作成、保護者対応
保育所と家庭との間のやりとりで一番使われるのが連絡帳です。
子どもの様子を記入し、園で排便したか食事はどうだったかという細かいことを保護者にも分かりやすく伝えます。
園での様子は保護者は見ることはできないので連絡帳はとても大切なものです。
またお便りを作成しクラスの様子を伝えたり、保護者にお願いしたいことをプリントにして配布します。
保護者対応も重要な仕事の一つで、子どもの発育や発達面でどのように指導していくか家庭と連携しながら行うようにしています。
教室や施設内の清掃
使用する保育室や施設内のトイレ、廊下や階段といった場所を清掃し清潔を保つのも保育士の仕事です。
園庭がある園では園庭に落ちているゴミや葉っぱなどを取り除き、子どもたちが安全に遊べる環境を整えます。
保育室内も常に清潔に使えるようにし、感染症予防のために定期的に消毒をしたり虫対策をとったりすることもあります。
外部研修への参加
園以外で行われる研修にも参加します。
自治体が行うものもあれば各専門機関が行う研修等多岐にわたり、内容も様々です。
障がい児支援や手遊びや歌遊びの研修、絵を描く際の技法を学んだり、中には法律を学ぶ機会もあります。
他の人からの意見を聞くことができ、自分の保育を見直すきっかけにもなるので積極的に参加したいものです。
地域行事への参加、近隣園との交流
地域で行われる行事や近隣園と交流することで、小学校へあがる際に一緒に遊んだことがある子を見つけることができ、スムーズに移行できるようにします。
近隣園との交流は5歳児が行うことが多いですが、乳児交流や異年齢児交流を通して他園の園児や保育士の様子を知ることができる良い機会でもあります。
交流会は各園の代表が場所を決めて集まり計画を立てます。
場所や司会といったことは毎年持ち回りになることが多いです。
地域の子育て拠点として、育児相談や園庭解放
保育所は地域の子育て拠点としての福祉施設の意味合いを持っています。
園庭解放や育児相談、子育てサロンといった地域の保護者が気軽に集える場所を提供し、保護者の育児の悩みを聞いたり、未就園児と交流することによって子ども同士の発達を促すきっかけを作ったりします。
子育て支援担当の保育者が園によって決められており、その人を中心として展開していくことが多いです。
障がい児や支援の必要な子どもへのサポート
保育所には障がいを抱えた子どもや支援が必要な子どももいます。
その子一人一人の発達段階に合わせてカリキュラムを考え、どのように支援していくか話し合い保育所全体でサポートしていけるようにしています。
障がいと診断されていない子でも、クラスの輪に入りにくかったり他の子よりも遅れてしまう場合は加配やフリーの保育者がそばについてサポートする体制をとっています。
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保育士一年目 仕事はどうやって覚える?研修などはあるの?
実習を乗り越えいよいよ保育士として働くことになった一年目、保育所はほとんど乳児クラスの担任もしくは以上児クラスの副担任として先輩と一緒に組んで保育にあたることが多いです。
分からないこと、教えてほしいことはどんどん先輩に相談して沢山吸収していきましょう。
質問ができるのは一年目の特権とも言えるので、怖がらず何でも聞く姿勢が大切です。
一日の流れは生活をする中でメモをとったりして覚えていき、子どもとの関わり方は慣れでもあるので、積極的に子どもと関わっていきましょう。
新卒研修を行う園も多く、リーダーの取り方から行事の立案の仕方、子どもとの関わりや保健衛生の対応や処理まで幅広く用意されています。
外部研修は自分で申し込むものもあるので、自分の予定や内容を照らし合わせて参加するのも良いですね。
気になる「クラス担任」 担任を持たない先生とどんなことが違うの?
クラス担任は主に一つのクラスを一年間受け持ちます。
4月の入園当初は何もできなかった子どもたちが3月にはぐんと成長し、身の回りのことを少しずつできるようになる姿を見ることができ、やりがいを感じる瞬間でもあります。
様々なクラスに入る担任を持たないフリーの先生と違い、一つのクラスをずっと見ることになるので、子どもとの信頼関係も芽生え成長を間近で見ることができます。
一年目に受け持ったクラスは特に特別な存在になることが多いので、その子たちの卒園を見守りたい!という目標を持って続けている保育士も多いです。
「子どもが好き」だけじゃ務まらない ~保育士になるための心構え~
保育士は子どもが好きなだけでは務まりません。
子どもが好きだからなりたい!という気持ちだけでできる仕事ではなく、現実を知りこんなはずではなかったと去っていく先生を沢山見ます。
子どもとしっかり向き合って今何をしてあげれば良いのか、どうすれば成長を促すことができるのか、子ども一人一人に寄り添いながら保育をしていくことが大切です。
そのためには子どもや保護者相手に何か失敗をしてしまっても、また頑張ろう!と思える意識の強さと子どものために沢山のことを教えてあげよう!という前向きな気持ちが大切です。
大変だけど、やっぱり保育士がいい! ~経験者だから分かる保育士の魅力~
保育士の仕事は持ち帰ることも多く、休みの日でも子どものことを考えるくらい大変な部分もあります。
保護者や先輩との人間関係が上手く築けず悔しい思いをすることも多々あるでしょう。
ですが、子どもたちの笑顔は魔法のようで、どんなに辛くどんなに悲しい時も「先生!」という子どもの笑顔と一言で元気になれます。
子どもは一人一人性格も生い立ちも違うので毎日一緒に成長することができ、毎日が何一つとして同じ日はありません。
日々子どもの成長を感じ、共に喜び、卒園していく姿を見送れることは保育士をやっていて良かった!と思う一番の瞬間です。
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仕事に役立つ保育士以外の資格やスキルはある?
意外に必要!PCスキル
保育の仕事にPCは無用と思われがちですが、保護者宛てに作るプリントやお便りはPCで作成することが多く、技術が求められます。
また園によっては月案週案といったカリキュラムもPCで打ち込むことが多いので、知っていて損することは絶対にありません。
ピアノやギターといった音楽要素
保育所は幼稚園と違ってピアノを求められることは少ないと思われがちですが、季節の歌やお集まりの際に歌を歌うことも多いのでピアノを弾く機会は沢山あります。
簡単な伴奏でも良いので、弾けるように練習しておきましょう。
食育インストラクターや絵本検定
資格として食育インストラクターや絵本検定といったものがあります。
絶対に必要なわけではありませんが、子どもと関わる上で知っておくと損はないものなので自分の強みとして好きなものを勉強し、資格として取得しておくと保育所にアピールするきっかけにもなるでしょう。
小児救命講習
消防署で開かれている講習があります。
地域に在住している方は誰でも参加できるものなので機会があれば参加するのも良いでしょう。
子どもの体調が急変した時に知識として片隅に覚えているだけでも初動が変わり、結果も変わってくると思います。
敷居も高くないので技術として持ち合わせておくと良いですね。
まとめ
保育士の仕事は大変ですが、とても楽しくやりがいのあることばかりです。
遊びの中から子どもが学ぶように、私たちも子どもから学ぶことが沢山あります。
難しいと思わずぜひチャレンジしてみてくださいね。