保育士は辛い仕事と言われています。

いくら保育のスペシャリストだからといっても、やはり複数人の子供を相手に仕事をするのは限度があります。

静かになってくれたと思ったら、数人が同時に泣き始めたり、他の職員さんからできない仕事を頼まれたり、保護者から難しい要望があったりと、自分のペースで仕事を進められない上、ちょっと気を抜くと見ていないところでいたずらをやらかしていたり・・・現場は毎日、地獄絵図のような忙しさです。

子供の命を預かるという重い任務の割には保育士の人数もお給料も足りていません。

更には雇用の改悪、財政難から民間に委託される園や非正規職員の増加にともない、雇用が安定しない中で働くのなら、もっと条件のよい仕事に転職するというのも当たりまえの選択だといえるでしょう。

私もそうやって他の仕事に転職してしまった元保育士なのですが、実際の保育園はどんな感じに仕事が進んでいくのか、どんな業務があって、どんな理由で転職していくのかを書き出していってみようと思います。

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私が保育士の仕事に就いたきっかけは

私の子供時代、辛い経験がいっぱいあったのです。

だから、今の子供たちに子供としての時間を楽しんでほしくてこの仕事を選びました。

保育士の仕事の体験談

先にも書きましたが、長時間労働と低賃金の世界で、大勢の人間の将来を預かる立場にあります。

子供の安全を第一に見ますが、それだけではなく、保育園が楽しいところであってほしいがゆえに、イベントや季節に合わせた行事(クリスマス会や七夕など)を企画して子供たちの情緒を育てます。

絵心のある人なら壁面装飾や手作りの紙芝居などを手掛けたり、音楽が得意な人ならダンスや歌、楽器の演奏を子供が出来る形で行ったり、植物と触れ合えるよう、園庭でお花やサツマイモを育てると言ったワークショップのようなことも行います。

私が働いていた保育園では焼き芋大会という、園庭で育てたサツマイモをたき火で調理するという原始的なイベントもあり、子供たちが大喜びしていたことを覚えています。

子供たちに協調性を持たせるため、ルールのあるゲームを教えたり、順番を守らせたり、規則的な生活が出来るよう毎日の日課を覚えて自発的にできるようになってもらったりと、大人も子供も結構大変な任務を遂行しているというのが、私の見解です。

副園長、園長レベルになると、保育園の経営と直接関わってきますので、経理や報告書などを仕上げ、上の機関(社協や自治体の福祉課)に提出したり研修、出張もあり、子供と遊ぶ時間を事務に充てていたことが多かったです。

予算内でできることを職員会議で話し合ったりするのですが、園によっては行事が難しいくらい予算がなかったりと、厳しい状況であったりすることも珍しくありません。

また、園児一人ひとりを認識して、保護者と連携することや子供や家庭の相談を受けることもよくあります。

つまり、マルチなタレントといつでも寄り添えるような子供の専門家として働くことが求められます。

想像よりも専門性の高い仕事なのですよ、お給料は安いのに。

子供の様子にかなり左右されるので、一日のスケジュールが思い通りに進まないのが当たり前の世界です。

上手くいかない具合に、資格を取って働き始めた保育士さんが辞めて行くのを見ていると、自分もいつか・・・という気持ちが拭いきれませんでした。

また、職員同士のちょっとした派閥や男性保育士は珍しくはなくなりましたが、それでもやっぱり女性の比率が高く、そこには女性特有の妬みや嫉みの世界が広がっています。

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保育士の仕事で辛かったこんな経験

職場の人間関係が大変なのは、どこの職場も同じだと思いますが、そこに子供たちとその保護者が関わってきますから、更に複雑になってきます。

学校や講座で習ったことも生身の子供たちには教科書通りには行きませんから、頑張って勉強した人ほど、挫折しやすいかもしれないです。

もっと余裕が欲しい!

朝から晩まで抱っこをねだる子、自分だけに注目してほしい子は沢山います。

一人ひとりの話をじっくり聞いて一緒に共感してあげたいのに、先生にはやることが山積みになっているのです!

連絡帳のチェック、子供の様子を見ながら行事に使う小道具を作ったり、怪我や病み上がりで激しい運動を控えなければいけない園児を傍に置いて静かな遊びをさせるなど、いろんなところに意識を分散させながら仕事をこなしていかなければいけません。

自分の分身が欲しい!と、これほど思ったことはないくらい、一人で同時に行うお仕事が多いのです。

運動会など保護者が見に来るような行事では企画やそれに伴った装飾、小道具などは休憩時間や休日を使ってまで制作することがありました。

子供たちとの日々はハプニングだらけですから、思うように作業が進まず、余裕を持って始めてもいつも大体ぎりぎりに完成することが多いです。

行事などで残業、早朝出勤をするのは日常茶飯事でしたが、少なくとも私が働いていた園では、そういうことに対しての手当をもらえることはなく、だからといって定時に出勤、退勤しようものなら、精神論で生きてきた年配保育士から陰口をたたかれます。

人手が足りていないのが原因なのですが、もともと国が定めた保育士の配置人数に無理があるんです。

3歳児なら20人、4、5歳児なら30人に最低でも1人の保育士が必要だという基準となっているため、そのように配置されているのですが、どう考えても足りなくないですか?

お散歩は命がけ

お天気の良い午前中に園児が散歩をしている姿をみたことがありますか?

いつも同じ園で過ごしていては飽きてしまうので、ポカポカ陽気の日には、園児を連れて近くの公園や学校の校庭へ連れて行きます。

子供たちも外出を楽しみにしているのですが、中には外遊びが苦手だったり、ちょっと機嫌を損ねたりしたりしている子は乗り気ではありません。

そんな子たちを置いてお出かけ出来るような先生の数が多い保育園だったら問題ないのですが、基本的に人手不足なので、強制的にお出かけとなります。

ぐずぐず泣き出したり、他の子に八つ当たりしたり、また、予想もつかないような行動に出たりとハラハラが止まりません。

私はビビりな性格なので、遠くの公園に行こうものなら、先に地図を見て危険なポイントをイチイチ確認せずにはいられませんでした。

列が作るのが苦手な子、目的地まで歩けないと抱っこをせがむ子、手を繋いでいたって、気を抜いたら脱走されます。

気を付けるのは車や自転車だけでなく、全てです。

子供は好奇心の塊なので、民家の花壇や道端の雑草、蟻さんの行進などにも足を止めて観察してり、道に落ちていたものを収集したくなったりするのです。

先生同士も仲良くして!

先生方の中には、上下関係をはっきりさせたがる人や新しく赴任してきた先生に辛く当たる人もいます。

きちんと仕事を教えずに、ミスを指摘しては長々とお説教したり、自分の育児論が絶対なので、他の意見を聞き入れずに自分のやり方を無理強いすることがあります。

この構図は嫁姑のような感じでしょうか?

特に若い女性の保育士に対して、年配の経験豊かな保育士が行うことが多かったです。

悲しいのは未だに残る年功序列という制度を引きずり、若いことを無知だと思い込んで、自分に都合の良いことを吹き込もうとすることです。

私も一年目は年配の先輩保育士が怖くて、心にもないことを随分受け入れざるを得ませんでした。

逆に勤務経験が長くなると、新人を使って自分の業務の負担を軽減させるを覚えるのかもしれません。

私の勤めていた保育園では休憩所も休憩時間も他の先生と一緒でしたから、苦手な人と同じ時間に同じ空間で過ごすのは辛かったです。

あなたの普通を押し付けないで!

保育士など、家庭と関わる現場で押し付けられる“普通”という言葉。

ゆとり教育では個性が重視されましたから、今では随分とましになった方だと思いますが、それでも根強い家族信仰と集団に埋もれることを良しとする生き方、離婚やシングルペアレンツの存在が信じられないという人までいましたから、どれだけ狭い価値観の中で生きている人が保育士をしていたか、怒りを通り越して恐怖すら感じます。

そういった頑張っている片親さんたちに対して支援しようという気持ちは持てないものかと、当時はイライラしたりもしました。

また、独身であった私に対して、やたらと見合い話を持ち掛けたり、男性保育士や社協の相談員など、独身を聞くと私との縁談を進めたがる職員さんがいたりして、辛かったです。

これはある種、女性によるセクハラと言ってもいいかもしれません。

児童虐待

子供や保護者の様子から家庭での虐待が疑われるケースは度々ありました。

顕著だったのは、ネグレクトを受けている子と過干渉で大人が怖くなってしまった子でした。

前者は家族がギャンブル依存症で、お迎えの時間を忘れて賭博にふけっていたことが何度もあったり、季節に合わせた服を着てこなかったり、お着替えの服が赤ちゃん時代の小さなものだったりしたことや園児の行動にも不審な点がいくつかあり、他の園児の保護者からも心配だという意見が出ていました。

こちらは、社協に連絡して何度も訪問してもらったのですが、解決策が児童養護施設に入所という家族から切り離す方法しかなかったのが辛かったです。

それに関して、私たちは正しいことをしたのか悩みました。

まだ保育園に通っているような子が親から引き離されて、生活するということは本人からしてみれば、とても辛かったでしょう。

こんなに小さいうちから住み慣れた環境を離れなければいけなかったのかと思うと今でも心が痛みます。

後者は両親が子供に期待をかけすぎてしまったケースでした。

幸運にもそれに気づくことが出来たので、英才教育を受けさせるのをやめ、地元の保育園でのびのびしてもらおうと、途中から入園してきた子でした。

母親からのお願いで、この情報を職員がシェアでき、最初は親子でうつろな目をしていましたが、通っているうちに笑って話をすることが出来るようになりました。

育って行く子供たちのことは忘れて

毎年三月が辛い・・・。

年度末で忙しいです、そして、慌ただしいです。

暖かくなっていく空気と膨らんでいく花のつぼみ、小学校へと上がっていく年長さんたちとお別れする季節です。

小学校へ期待を寄せる年長さんたち、無事にここまで育ってくれたという喜びと、四月からは登園して来ないことを思うと泣けてくるのです。

特に小さいときから預けられていたり、延長保育や土曜日にも来るような子たちには、とりわけ愛着がわいてしまうのですが、子供たちは人生のステージを進めなければいけません。

私たち保育士のことは忘れて、学校に行ってもらいたいのです。

新年度には、また泣きべそかいた新入生が入ってくるのですから、私たちも忙しくて感傷に浸っている暇はありません、ありませんよ・・・

なーんて、いえいえ、どんなに忙しかろうが、旅立って行った子たちのこと、決して忘れません。

たまに大きくなって訪ねて来る子がいますが、嬉しさのあまり泣いてしまいます。

保護者の皆さん、そんなに忙しいですか?

毎月発行している月報やお知らせ、読んでくれましたか?と、言いたくなるほど、こちらの要望にはあまり答えてくれない保護者の方がいます。

“持ち物には名前を書いておく”、“着替えは○着用意する”、“水遊びが始まります水着の準備をお願いします”、’’○日は給食はありません、お弁当を忘れずに”など、月報でお知らせしていても、知らなかったと言う保護者が一定数いるのです。

月報には子供たちの様子も書いているので、必ず読んでほしいと思います。

また、保護者の仕事が休みで家にいるなど聞かされると、どうして一緒に過ごさないのか疑ってしまいます。

もちろん、保護者の方々も育児を休みたいのでしょう、欧米では夫婦が二人きりで外出するなどの理由で子供を預けたり、ベビーシッターを雇ったりするので、保育園の利用で、より良い子育てに繋がるのなら、どうぞと言いたいところですが、子供を負担に思ってほしくないというのが正直なところです。

私が保育士を辞めた理由

仕事はハードでした。

よっぽど体を鍛えていないと体力が持たないです。

健康診断では貧血を指摘されていたので、治療しながら働ければよかったのですが、疲れやすい程度の症状では通院できるだけの時間的余裕をもらえるよう言いだすことができませんでした。

フラフラ、クラクラのまま仕事をするのは体がきつかったし、辞めてしまっても保育士の求人は幾らでもあります。

なので、一度退職して体調を整えてから戻ってくればいいと思っていましたが、その後、結局現場には戻らず、もっと条件の良い事務職に就いてしまいました。

保育士の仕事はつらいけども、それを乗り越えるために。

仕事の内容は忙しい上、毎日同じ作業の繰り返しで飽きてしまったり、逆に一日のルーティーンワークが定まらずに毎日小さな出来事が立て続けに起こって何か月働いても仕事のリズムがつかめないなど、保育士の悩みは尽きないでしょう。

長時間労働は、法律の整備を待たないと難しいですが、気持ちよく仕事をこなす工夫はいくつかあります。

人間関係を少しずれた視点で考えてみる

これは私も上手ではないので、上手くはアドバイスできませんが、苦手な職員さんと少しでも共感できる部分を探してみませんか?

全員が敵ではありません、オープンマインドな方や児童心理学などで日々努力をしている方もいますし、中には年齢に関係なく味方になってくれそうな職員さんだっています。

大変だと思う気持ちを共有することができれば、仕事をするにあたって精神的に楽になれますよ。

これは仕事を続ける上でとても重要な要素だと思います。

もし、職場に相談を受けるところがあれば、匿名で改善点を指摘するのも有効な手段です。

情報は常にシェア

保育園での出来事、保護者との会話、子供たちの様子など、日誌で確認できることでも口頭でシェアしておきましょう。

何かあったときに、既に情報が頭に入っていると対処しやすく、協力も得やすいです。

園児の問題点は職員会議でも議題に入れて、解決策を職員全体で探していくこと、問題を共有することで保護者に伝えるべきことがあった場合など、ベテランの保育士さんが協力してくれるでしょう。

逆に情報共有ができない、話し合えないような保育園だったら、人員の入れ替わりがない限りは仕事でトラブルが頻発することも考えれるので、早いうちに社協など相談できるところで相談して対策を練ってください。

子供は一人の人格を持った立派な人間

私が保育士を始めた頃、子供は子供として扱われることがほとんどで、あまり疑問にも思っていなかったのですが、北欧などの福祉を勉強してから、子供の人権について、考えさせられました。

大人は子供に対等に接すること、問題行動は何かしら意味を伴っているので、子供の声(行動)に耳を傾けて見守っていきたいですね。

余裕はどうやって生まれるの?

こればかりは対策が難しいですが、ないわけではありません。

日ごろから同僚の保育士さんとコミュニケーションを取ることで、仕事を手伝ってくれます。

一人でやりなさいという職員さんもいるかもしれませんが、それが難しい状況であることを説明しても精神論で通してくるなら、こちらはスルーしてお手伝いしてくれる同僚に甘んじてください。

そして、自分も誰かのお手伝いを買って出ましょう。

そうすることで、サービス残業が減るかはわかりませんが、少なくとも心に余裕が生まれます。

あとは、自宅から近い保育園で働けば、通勤にかかる時間を短縮できますよ。

時期を待つ

勤務する保育園にもよりますが、あまりにも居心地の悪い職場であった場合、異動を希望しましょう。

自分の居場所ではないと思ったなら、意向調査で徹底的に異動の意思を書き込んでください。

年度末まで待てないくらい辛いけど、仕事が好きであったなら、思い切って休職し、時期を待ってみるのも手です。

逆に仕事自体が自分に合っていないと感じているなら、転職をおススメします。

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保育士の先生は園児

子供たちには特殊能力かと思えるような素晴らしい力が備わっています。

ひどいことを言われても許せる心、怒られても忘れてくれる能力、ただの紙切れが空飛ぶ絨毯になってしまう想像力と“消費税”など、意味もよく分かっていない単語を使って急に現実に戻すだけの語彙力・・・同じ人間なはずだけど、やっぱり大人から見ると人智を超えているようにも思えます。

そんな子供たちから教えられたことは、数え上げたらキリがありません。

理想は・・・

保育士同士助け合うこと!

絵が上手な人は壁面装飾を、音楽が得意な人は歌やダンスを、パソコン操作が得意な人は月報や経理を・・・といった具合に園の職員で得意分野を分担したり、苦手なことを補い合えればいいんです。

皆が苦手な業務なら職員が協力し合って進めて行くなど、子供たちの見本になるような人たちであってほしいのが本音です。

ですが、ほとんど強制的に苦手な仕事を押し付けられることも多いのではないでしょうか?

まとめ

仕事を続けて行くには、コミュニケーション能力が求められます。

辛いと言われる仕事の大部分は保育士同士の人間関係だったりするので、そこをうまくやって行くことが出来れば、乗り越えられることも難しくはないでしょう。

人手不足の問題に関しては、今のところ社会的な意識が変わらないとこの問題の解決は難しいかもしれません。

多様性という言葉が使われる現在の現場では、一人ひとりの個性を重視した保育が望まれているのに、それに見合った数の保育士は足りていませんし、厳し目に見て、保育園での仕事は生活に関わること全てといってもいいくらい幅が広いので、その中に一つ得意なことがあったとしても、それ以外のスキルが低いとやはり仕事自体が辛くなります。

公立の保育園も民間に委託される時代ですから、利益を出すために職員の待遇がよくなかったり、非正規での雇用も増えています。

専門性を求められるのに、不安定な雇用では保育士さんの心が折れてしまうのも無理はありません。

せめて、そういうところからでも改善していければ、仕事を続けていけるのではないかと思います。

20年前に比べて見直されてはいますが、まだまだ改善すべき点が数多くあるというのが印象。

逆に、制作が好きな人には工作や飾り付けなど、子供たちと楽しめますし、良い同僚に恵まれれば、協力し合いながら進んでいくお仕事と、目に見える形で成長していく子供たちから充実感を得ることのできる仕事といっても良いでしょう。


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