日本に住んでいる大部分の方は、健康保険証を持っています。

この健康保険証を発行しているのは、みなさんが保険料を支払って加入している団体です。

健康保険証は生活の中でとても大切で身近なものですが、一般企業とはちょっと違う、あまり聞きなれないこの健康保険組合という団体についてや、そこで働く人はいったいどんなことをしているのかについては、あまり知られていないと思います。

ここでは、健康保険組合で働く職員さんのことや、仕事内容について、そしてどんな人に向いているのかをお伝えしたいと思います。

健康保険組合ではどんな仕事をするの?

まずは健康保険組合の仕事について知っておきましょう。

大企業であればひとつの企業が単独で、また同業種の企業が複数加入することで成立するのが、この健康保険組合です。

通称、「健保組合」「組合健保」と呼ばれています。

そこでの仕事は大きく分けて「保険給付」と「保険事業」があります。

保険給付は、被保険者が病気やケガをして病院に通院・入院した時に、自己負担分以外の治療費を負担します。

保険事業は、被保険者が出産した時や病気になり仕事を休職した時、亡くなった時に手当金を支給する業務になります。

この2つの事業が、健康保険組合の主な仕事になります。

健康保険組合の大まかな仕事内容

基本的に、健康保険組合の仕事は事務職となります。

  • 被保険者の審査、加入、資格喪失などの手続き
  • 医療機関への医療費の支払い(支払基金を通して支払います。)
  • 保険証の発行
  • 診療報酬明細書のチェック業務

などが仕事内容となりますが、実際の仕事は、パソコン業務や電話応対などが多く、健康保険に関する知識が必要となります。

仕事上の役割とは?

健康保険組合での仕事上の役割は、いくつかに分けられます。

各健康保険組合でどのように役割を分担しているかは異なると思いますが、基本的には上記で書いたような仕事内容に即して、それぞれの役割が与えられます。

どの業務を担当するにしても、的確な判断と疑問点などは相談することが重要となります。

自身で進めていける仕事はどんどんこなし、相談が必要だと思うことは自己判断せずに他者に相談することが基本となります。

健康保険組合の仕事はどんな人に向いている?

健康保険組合の仕事は、被保険者の個人情報を扱います。

住所や生年月日、勤務先などにとどまらず、家族構成、給与、病院などの受診歴、疾病名など、人に知られたくないと思われるようなかなりプライベートな情報を扱うことになります。

中には、知人などが被保険者である場合もあります。

必要以上にそういった情報を入手できないようなシステムが取り入れられてはいますが、どうしても業務上そうした情報が必要となるため、守秘義務が必要となります。

口がかたい人

先に述べたように、個人情報を取り扱います。

個人情報の中でもかなりデリケートな情報でもあるため、他者に「○○さんが、△△病院に通っているよ」などと口外してしまうような人はこの仕事はできません。

守秘義務に関することは、在職中だけではなく退職後も引き続き守らなくていけません。

うっかり言ってしまったでは取返しがつきません。

もちろん、自分の家族にも話すことはできません。

仕事で知り得た情報は一切話さないといったことを遵守できる人でなければいけません。

これは例えお酒が入って、その勢いで言ってしまったということも許されることではありません。

冷静な人

被保険者の方と直接話をする機会は少なく、ほとんどの場合は被保険者の勤務先の担当者とのやり取りが多いです。

しかし、時には被保険者から直接電話がかかってくることもあります。

会社の担当者であっても、被保険者本人であっても同じですが、よくトラブルになるのは「なぜ家族が扶養に入れないのか」などの問い合わせが多く、入れないことに納得ができない方は、少し強い口調で話をする方もいます。

そういった場合でも、冷静に一旦電話の相手の話を聞き、そしてなぜ入れないかの説明をしなければいけません。

その際に、こちらも強い口調で言ったり、不愛想な応対をしては、話はこじれるだけです。

こういったケースに、冷静に対応できる能力が必要になります。

なかなか冷静さを保つことは難しいですが、冷静な方は仕事をスムーズにこなすこともできます。

勉強が苦にならない人

健康保険組合の仕事は、法律や国の政策によりこれまでの知識だけでは足りない、もしくは変更になるといったことがよくあります。

そのため、新しい政策や変更点に対して、柔軟に対応していく必要があります。

この仕事はそうした変更などの内容をしっかり理解していなければ、こなすことができません。

日々、受験のように勉強をしなくてはいけないわけではありませんが、勉強は必要になります。

言い換えれば、自身を必要に応じてアップデートしていかなければいけません。

それが苦にならない方が向いていると思います。

デスクワークが好きな人

基本的には、1日の大半はデスクワークになります。

大げさに言ってしまえば、昼休みやお手洗いに行く以外は、ほぼパソコンや書類に対峙しつつ、電話応対がほとんどになります。

外に出かける機会もあまりありません。

仕事の大半をこのように、座って過ごすことが好きな方には、とても向いていると思います。

逆に、健康保険組合の仕事が向いていないのはこんな人

先に、向いている方についてお伝えしましたが、簡単に言い換えれば、向いている人の真逆の人が向いていないことになります。

健康保険組合だけではなく、どこの会社で働くにしても、社会人として守らなければいけないことは同じかもしれません。

時間、期限にルーズな人

日々、たくさんの書類やデータが送られてきます。

特に保険証の発行などに関しては、被保険者は早く処理をしてほしいと思っています。

それの手続きを後回しにしたり、期限を守らないというのは、とても迷惑をかけることになります。

時間、期限を守ることは最低限のマナーです。

また、仕事に慣れてきた際には、優先順位をつけて仕事に取り組む必要があります。

この際も、やはり期限などを守れないようでは、優先順をつけることもできないと思います。

口が軽い人

口が軽い人、おしゃべりな人、守秘義務が守れない人、こういった方はこの仕事に就くことは難しいと思います。

就いても、後から自分が苦しむことになります。

人は秘密を知ると話したくなるかもしれませんが、これを我慢できない、守秘義務を守れないといった方は、きっと長く勤めることはできないと思います。

個人情報の中でもデリケートな内容を多分に含むため、「言ってしまった」では済まされません。

このことを十分に理解しなければいけません。

デスクワークが苦手な人

先にもお伝えした通り、仕事の大半はデスクワークです。

そのため、体を動かさないと耐えられないといった方には、向いていません。

ひたすら黙々と自身の業務を計画立ててこなしていかなければいけません。

パソコンと書類と向き合っていかなければいけないため、長時間のデスクワークが苦手と感じる方は、難しいかもしれません。

健康保険組合の仕事をするために活かせる、今までの経験は?

健康保険組合の仕事をするにあたって、持っていなくてはいけない資格は特にありません。

しかし、この仕事をする上で、持っていればかなり再就職の面接で有利になったり、実際に業務にあたる上でとても役に立つ資格や経験というものはあります。

働くうえで活かすことができる資格や経験についてお伝えします。

医療事務

医療事務の資格を持っていると、かなり就職する際に有利になります。

また、実際に診療報酬明細書をチェックする際にも、この医療事務の知識があるのとないのでは、作業効率も大幅に異なります。

健康保険組合で長く働いている方は、特に医療事務の経験はないけれど、働いてから自分でこの医療事務の資格を取るという人もいるくらいですから、この医療事務の経験や資格は、かなりの武器になると思います。

国家資格ではないため、通信講座などでも手軽に資格をとることができます。

企業の総務、人事課での勤務経験

健康保険組合とやりとりを行う企業の担当課は総務課や人事課が多いため、この課に所属しており、健康保険組合とのやりとりをした経験がある方は、その時に得た知識を十分に活かすことができます。

健康保険組合で働くことになった場合、相手の対応(ここでは企業の担当課)の仕方なども把握しやすいため、業務もスムーズに運ぶことができると思います。

健康保険組合で働くとこんな力が身につきます!

健康保険組合で働いていると、いざ自分の家族が被保険者になる場合や家族を扶養に入れたいけれど、どうしたらよいのかと悩むことがあるかと思います。

また、病院にかかったけど、過剰な治療や投薬をされているのではないかと不安に思ったことはありませんか。

そういった、普段の生活ではなかなか知り得ることができない知識を、身につけることができます。

家族の扶養について判断ができる

家族が退職をした、もしくは自分が退職をした、親を扶養に入れたいなど、世帯内で扶養義務が生じたり変化したりすることがあります。

そうした場合に、誰を誰の扶養に入れることができるのかを判断することができます。

ごくまれに、本当は扶養に入ることができるのに、入れないと言われてしまうというミスが起こることが0ではありません。

そうした時に、知識を持っていれば的確に説明を行い、そうしたミスから身を守ることができます。

過剰な医療行為かどうかを調べることができる

医療事務の資格を持っていても、数多くある診療内容やルールを覚えているわけではありません。

しかし、ある程度のルールは頭に入っているので、過剰な医療行為や過剰な投薬がなされていないかと不安に思った時に、調べることができます。

こうした知識がなければまず、「過剰かも」ということに気づくこともできないのではないでしょうか。

自分や家族の健康を守る上でも、知っておくとよい知識であると言えます。

その後のキャリアについて

この仕事についた後のキャリアアップの道は?

健康保険組合の職員数はそれほど多くありません。

それもあり、長く勤めると役職が付きやすくなることがあります。

一般企業でキャリアを求めるよりも、容易にキャリアを積むことができます。

時には、病院の事務局長や主任などに引っ張られることもあります。

それくらいこの健康保険組合で身につけるスキルやキャリアは有効であると言えます。

他の仕事にもこの経験を活かせる?

キャリアアップとしての転職先で一番多いのは、病院の事務局です。

ここでは、医療事務に関連する知識を存分に発揮することができます。

ある程度の経験を積むと、病院でも役職をもらう可能性があります。

また健康保険組合は、データ入力や書類を処理することが多いため、事務職のスキルは高く、こうした面でも経験を活かすことができます。

健康保険組合の役割はとても重要で、また仕事量も多いため、かなりハードな日々を過ごすこととなりますが、毎日忙しいわけではなく、忙しい時期は決まっています。

ここでのスキルは、今後の自分の成長に必ずつながり、もし退職した場合でもここでの知識を活かすことができます。

まとめ

健康保険組合の仕事は、一見すると簡単なように感じるかもしれません。

また、一般企業とは異なった公的機関に近いといった印象もあると思います。

やはり、知られたくないようなデリケートな個人情報を知り得ることから、それを口外しないなど自分を律する必要もあります。

知り得た秘密を誰にも言わずに自分の中にだけしまっておくことが絶対となっており、徐々に慣れて仕事としてしっかり割り切ることができるようになります。

しかし、やはりおしゃべりが大好きで、他者に口外しないということができない方は、後に自分で自分を苦しめることになるため、お勧めはしません。

自分の成長を促す意味でも、自分はしっかりと守秘義務を守ることができると断言できるという方は、ぜひチャレンジしてみる価値があると思います。

さらに医療事務などの資格を持っている方や、就職してから必要に応じて取得しようという前向きな方、日々の勉強が苦にならないという方もこの職種に向いていると思います。

常に日々勉強といった感じなのですが、とてもやりがいのある仕事です。

実際にハローワークなどでも求人数もあまり多くはありませんが、興味があって求人を見つけた時は、面接だけでも受けてみることをお勧めします。