幼い頃から、ピアノやヴァイオリンなどを習い音高・音大へ進学、留学したりコンクールにチャレンジする人もいるでしょう。

そのように専門的に音楽を学んだ人達が「演奏家」として活動できるようになるにはどうすれば良いのでしょう?

もちろん国際コンクールで優勝して、世界的に有名になって、色々な国から引っ張りだこ・・・というような場合は除いたお話ですよ。

演奏家とはどんな仕事?

そもそも演奏家とは、演奏会(コンサート)でお客さんに音楽を演奏する人のことでしょ?とお思いの人が多いと思います。

演奏会はもちろんですが、一言に「演奏会」といっても一人で開くリサイタルもあれば、オーケストラなどの楽団員となって出演するコンサートもあります。

また、ピアニストならば伴奏者としてステージ立つこともあるでしょう。

他にはラジオやテレビで演奏したり、ドラマやCMの音楽をスタジオでレコーディングすることもあります。

演奏家の定義はまちまちで、「出演料をもらって演奏する人」と言う人もいれば、「芸術作品を愛し表現する人」と考える人もいるでしょう。

必ずこれといった決まりがない曖昧な意味合いなことが多いですが、要は一人で自己満足して演奏するのではなく「音楽作品を誰かに伝える」ことだと言えます。

演奏家になるには? 

前述したように「演奏家」という定義自体が曖昧なため、絶対に必要な学歴や資格はありません。

ですが演奏家の多くは幼い頃から日々努力を続けてきて、音楽大学や留学など専門的な教育を受けています。

そもそもクラシック音楽はもともとは西洋のもので、キリスト教や長い歴史の中で生まれ、発展してきたものです。

日本にクラシック音楽が入ってきたのは明治時代ですので、日本で学ぶ私たちは、音楽の歴史(作曲当時の時代背景を知るために世界史や文化史も大切です)やソルフェージュなどの理論を専門的に学ばなければなりません。

もちろん独学でも学ぶことは出来ますが、音楽大学では一通りの知識、そしてイタリア語、ドイツ語、フランス語も選択して卒業までに学びます。

楽譜に書かれている楽語と呼ばれる専門用語は大概がイタリア語ですが、作曲家によってはドイツ語やフランス語の場合もあるので、一通り学ぶ場合が多いです。

次では、演奏家になるために、必要なことをあげてみます。

演奏技術

これは言うまでもありませんが、ただ楽譜に書かれている音符の通りに弾けば良いというわけではなく、「芸術作品」に真摯に向き合い、聴き手に感動を与えなければなりません。

また演奏の依頼は「この曲、このプログラムを弾いてください」と指定される場合もあるので、演奏技術は常に磨いていかなければなりません。

よく子供のレッスンの際に練習を嫌がる生徒がいますが、演奏家になる人で「練習が嫌い」という人には出会ったことがありません。

日々の何時間もの練習や厳しいレッスンを何とも思わないほど、音楽が好きでなければ演奏家にはなれません。

友達と遊びに行ったり、旅行に行ったり、よりも練習が好きな人が多い特殊な人種が演奏家といえます。

くよくよしない・ポジティブな性格

演奏の難しいところは、何時間練習したから必ずうまくいく!!というわけではないところです。

どれだけ練習しても、どんなに努力しても本番が100%うまくいく保障はどこにもないのです。

残念ながら。

幼い頃から年間何個ものコンクールにチャレンジしていくなかで、コンクールに入賞できなかった・・・といちいち結果に落ち込んだり、では乗り越えていけません。

また一人で開くリサイタルともなれば、約2時間演奏しっぱなしなわけで、些細な失敗をいちいち気にしているようでは長時間の演奏は到底できません。

もちろん練習の際は、細かく細かく弾きこんでいくものですが、本番はポジティブに心強くいかねばなりません。

とはいえ、演奏家の中には躁鬱であったり、精神科に通うほどのプレッシャーを抱える人もいますし、基本的にいつも胃が悪いと言われています。

芯の強い心を持った人が演奏家に向いていると言えます。

自分をプロデュースする力

現在クラシック音楽の世界は聴衆の高齢化が進んでいて、なかなか集客に苦労する場合が多いです。

オーケストラのコンサートに出かけると、20~30代の割合はかなり低いと言えます。(私は30代ですが、いつもまわりを見渡すと自分より年上のお客様に囲まれます)

そんな中、演奏家として活動していくためには、自分をアピールしていかなければ、今後は仕事を確保していくことは難しいといえます。

SNSで情報を発信していくことも必要ですし、珍しい企画を打ち出すことも必要になってくるでしょう。

まずは、演奏家としての自分の存在を知ってもらわなければ何も進まないので、日頃から自分を表現する技術を模索しておきましょう。

演奏家の仕事の探し方 

演奏したい!と思っても自然に演奏の機会が生まれることはほぼありません。

いくら努力し続けても演奏依頼が入らず、あきらめてしまう人がいるのも事実です。

なにしろ「芸術」という正解がない曖昧な世界なので、努力だけではどうにもならない、特殊な世界なのです。

しかし、演奏の機会を自分で積極的に探せば色々とチャンスがあるのも事実です。

インターネットで「演奏者募集」を探してみる

演奏の場は以外にも色々なところがあり、病院のロビーや介護施設、商業施設のアトリウムなど随時演奏者を募集しているところもあります。

レストランやラウンジでの演奏も募集されていることが多いです。

出演料を明記している場合もありますが、病院や介護施設などではボランティアとして募集しているところもあるので、自分がどのような場所で、形態で演奏しておきたいのかしっかり確認しておきましょう。

オーディションを受ける

コンサート開催は決まっていて、出演者をオーディションで募っている場合があります。

どのような内容なのか(出演料はいくらか、チケットノルマはあるのか、演奏時間はどれくらいか、共演者はいるのか・・・)などを確認し、出演したいと思ったらオーディションにチャレンジしてみるのも良いでしょう。

一次審査が書類の場合も多いので、宣材写真やオーディション用の音源(CDやデータ)は常に揃えておくようにしましょう。

知人・友人から依頼がくる

これが、音楽大学などの専門機関で教育を受けた人の強みと言えるのですが、知人・友人から「〇月〇日のコンサート~に出演してほしい」「ピアニストを探している」「室内楽でコンサートをやってほしい企業がある」といった話がくることが多いです。

学生時代の友人が音楽関係者なわけですから、人脈があるのは当然なことです。

依頼がきて、引き受けたら、責任をもって演奏するようにしましょう。

口コミ、評判が大事な世界です。

一度嫌われたら二度と仕事は来ないので、挨拶はもちろん事前準備もしっかりとしておきましょう。

自分でコンサートを企画する

年がら年中依頼が来れば良いのですが、なかなか演奏活動を軌道に乗せるのは大変です。

また依頼の内容が自分が表現したいものとは異なる、ということは多々あります。

そんな時に、自分がコンサートを主催するという方法もあります。

会場の確保、プログラムを考え、出演者との交渉、チラシ作成、広報、スタッフの手配など、全て自分で準備しなければなりませんが、その分自分のやりたいようにコンサートを創ることができます。

クラシック音楽の世界は、これまでのように、ただ演奏さえしていれば良かった時代ではなくなってきます。

演奏家も企画力や宣伝力が求められるようになってくるでしょう。

早いうちから企画作りや交渉力を身に着けておくことが大切です。

最近の音楽大学の講義では、「マネージメント」の授業が開講されたりしています。

時代の流れに遅れないように、常にいろいろなアンテナをはっておきましょう。

音楽事務所に所属する

音楽事務所の数は大小合わせればかなりの数があります。

国際コンクールで優勝したり、世界的に有名なアーティストが所属する事務所から、音大生のうちから演奏スタッフとして所属できる事務所までさまざまです。

自分で企画をしたり、人脈や営業活動に不安のある人はまずは音楽事務所に所属して色々なノウハウを勉強しておくのも良いでしょう。

演奏家の就職先や募集状況は?

演奏一本で生計をたてるのは、なかなか難しく、教える仕事と両立をしている場合がほとんどです。

演奏活動を続けるためにアルバイトや、一般職に就職する人もいるなど、演奏家の就職事情は厳しいものとなっています。

演奏家の主な就職先

音楽大学で教鞭をとる

オーケストラで活躍する奏者、ピアニストとして活躍する人でも音楽大学に所属している場合がほとんどです。

大学で教授や准教授として所属すれば収入はかなり安定しますが、非常勤講師などでは授業数に基づいて給与が決められてしまうため、いくつも大学を掛け持ちながら演奏活動している人が多いです。

とはいえ、大学に就職できるのも限られた人数ですので、演奏との両立に選択できればかなり良い就職先となるでしょう。

プロのオーケストラに所属する

日本にはいくつものプロオーケストラが存在し、入団オーディションが行われています。

楽器の奏者はプロオケに所属したいと思う人が多く倍率はかなり高いと言えます。

また欠員が出た場合にオーディションが行われるため、目当ての楽団がなかなか新しい奏者を募集しない場合もあります。

毎年音楽大学を卒業する人数に対し、オーケストラの受け入れ数は圧倒的に少ないため、卒業後すぐに入団出来る人はごくわずかとなっています。

プライベートにレッスンをする

自宅にレッスン室や防音室がある場合、個人的に生徒を募集し、レッスンをすることもできます。

音楽大学に入学するためには、希望進学先の先生の下で学ぶことが多いですが、管楽器ならブラスバンド部の学生を個人的にレッスンする場合があります。

またピアノの場合はピアノ教室を主宰する人も多くいます。

小中高の音楽の先生になる

音楽大学では、教職の授業をとることができます。

卒業後のために、教員免許を取得する人も多く小中高校の音楽の先生を目指す場合もあります。

公立校の先生になるためには、都道府県の教員採用試験に合格することがまず必要です。

私立校の場合は非常勤として音楽の先生を雇うことも多いので、演奏活動との両立のために選ぶ場合が多いようです。

演奏家の募集はどれくらいある?

演奏家として仕事をしていくのは、なかなか難しいのが現状です。

レストランやホテル、結婚式などでの奏者募集は比較的簡単に見つけることが出来ますが、演奏のみでは収入を確保することは難しく色々なところを掛け持ちしながら生計を立てる人がほとんどです。

レストランやホテルのラウンジ

ホテルのウェブサイトで、定期的に演奏者を募集していることが多いです。

また募集中とは出ていなくても、直接問い合わせをすると、採用に関して教えてくれたり、契約している事務所を教えてくれる場合もあります。

情報は更新されていないか、など小まめにウェブサイトをチェックするようにしましょう。

音楽事務所

たくさんの音楽事務所が存在しています。

こちらも演奏者募集はウェブサイトで告知されることが多いです。

気になる事務所に既に所属している知人・友人がいる場合は、前もって事務所の雰囲気や雇用形態をきいておくのもオススメです。

一度所属してしまうと、なかなか事務所を変えるのは面倒ですし、複数の事務所に所属することはNGになる場合も多いので、事務所選びは慎重に行いましょう。

オーケストラ

楽団のウェブサイト、SNS,既に所属している楽団員の人からオーディション情報を知ることができます。

オーディションの形態は楽団によってさまざまで、公平を期すために、誰が演奏しているかわからないようカーテンやパーテーションをしてオーディションを行う場合もあります。

前述したように、1人の奏者枠に対し、何十人もの応募者が来るので、倍率はかなり高めです。

まとめ

いかがでしたか?

演奏家として活動していくためには、かなりの覚悟が必要です。

出演依頼が軌道にのり、収入も安定するにはかなり根気と努力、我慢が必要です。

あきらめずに地道に活動の場を広げていけるように常に技術を磨きながら、人とのご縁を大切にしていきましょう。