企業には様々な職種の人が集まり働いています。

営業部、生産管理部、設計部、広報部、経理部、人事部などがあります。

それらの部署で働く人々は各々が会社存続、繁栄のための役割を担っています。

部署は企業によって設置されるため、統合されていたり、名称が違ったりする場合もあります。

その中で、経理と混同されやすいのが財務という仕事です。

財務部の仕事と聞き、具体的にイメージが掴める人は少ないかもしれません。

あまり耳にしたことがない財務の仕事ですが、実は企業が存続し、発展していく上でとても大切な役割を担っています。

例えば、黒字倒産という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

企業はその商流のなかで企業規模に応じた運転資金が必要です。

いくら営業が成果をあげて、損益計算書上で黒字となっていても、手元に現金がなく支払いが出来ないとなれば、最悪倒産になることもあります。

このような最悪の事態を阻止するためには、企業全体のお金の流れをつかみ、過不足なく資金繰りを行う必要があります。

その資金繰り、資金調達を行うのが財務という存在です。

今日は財務と経理の違いをまじえながら、財務の業務内容や役割を解説します。

財務の仕事は大きく3個の役割に分けられる

予算の管理

今あるお金、調達したお金を、どのような目的でいくら使うかを決め、管理していきます。

この時、大切なのは財務という観点から、企業の利益に貢献するということです。

単純に予算を引き締めるのではなく、企業がより発展するための予算を作る必要があります。

そのためには、経営や経営企画部などが作成した事業計画から企業の方向性を知ります。

その上でその目的のため、各部署がどのような取り組みをし、それにより幾らの資金ニーズが発生するかを把握しておくことが求められます。

資金の調達

財務の一番の目玉の仕事といっても過言ではないのが資金の調達です。

企業の活動にはお金が必要不可欠です。

企業が在庫をもち、売掛金と買掛金の回転期間のギャップを埋めるためには常時運転資金が必要です。

また企業の事業計画に沿い、新規事業たちあげのために設備投資を行う、新商品開発を行うために研究を行うなどには、元手となる資金が必要です。

財務部は予算管理で計画をたてたら、資金繰り予想をたて、不足する金額を外部から調達しなければなりません。

外部からの資金調達方法は、銀行借入、社債発行などがあげられます。

例えば、銀行借入の場合、「足りないから貸して」と言って、すぐに融資がおりるほどに資金調達が簡単なものではありません。

事業計画、資金繰り、収支予想、、返済計画をプランニングし、銀行側との折衝が必要になります。

お金が調達できない場合、企業の設備投資などの中断せざるをえない状況になるほか、最悪の場合、倒産します。

財務の資金調達はお金だけでなく、会社の今後を左右するほどに重要な任務です。

企業価値の向上

借入金には利子が発生します。

企業にとって有利子負債の削減は、利益となります。

無借金経営や手元流動性資金が厚い企業は、外部からの評価も高まるため、企業価値も高まります。

そのために財務は財務戦略を行い、企業の価値を高めていく役割があります。

予算の管理の2個の業務

企業の事業計画、各事業の資金ニーズに応じた予算策定

前期の決算書をまずは分析します。

そのうえで、前期の予算と実績の差異分析を行います。

そして、経営陣の事業計画をもとに、各部署の必要資金枠を決めます。

そして手元資金や調達資金を、各部署に効果的に配分します。

中期・長期の目標を設定

企業は継続的に存続していかなくてはいけません。

そのためには大まかな資金繰りは先々を見据えておく必要があります。

5年、10年先の予算目標、借入金規模などを数値で示します。

例えば、今期、設備投資を行い、借入金を行った企業であれば、その設備によりどれくらい利益が増加し、返済シミュレーションはどのようになるのかを目標として設定します。

資金の調達の2個の業務

資金計画の立案

事業計画、今期予算に基づき、いくら借入など外部調達にたよるかの計画を立案します。

資金繰りをみながら、何月にいくらの調達を行うかを決めます。

資金の調達

資金の調達方法は、金融機関からの融資(借入)、株式上場、株式追加発行、社債発行等があります。

外部調達に向け、各利害関係者と調整を行います。

例えば、融資を受けるのであれば、銀行の審査を受ける必要があります。

その過程で、リストラ、経費削減などの宿題を課されることもあります。

企業価値向上の4個の業務

有利子負債の圧縮

いくら資金が足りないからといって、外部の調達、特に銀行などの借入に大きく依存することは望ましい状況ではありません。

借入金には利子が発生します。

企業が支払う利子は、企業の利益を圧迫します。

財務担当者は、有利子負債を少しでも削減するために、企業の商流などを分析します。

そして例えば、売掛金などの現金が少しでも早く手元に入金されるよう交渉するなどを行います。

他には手元預金が資金計画と比べ、余剰状態の時は随時返済を行うなど、有利子負債を減らすことで、利益が拡大する努力を行います。

遊休資産の売却、現金化

有利子負債を圧縮したり、資金調達額を減らしたりする手段として有効なのが、遊休資産の売却です。

例えば、地方の事業所が自己物件の場合、土地建物を売却し、賃貸にするなどを行います。

売却金を借入金の返済にあてるなどが可能になることもあります。

また企業が保有する投資有価証券などを、株価をみながら売却することも検討します。

借入金の利率引き下げ

企業が支払う利子は、借入金額×利率で決まります。

当然、どちらも小さいほうが支払う利子は少なくですみます。

前述の有利子負債の圧縮、遊休資産の売却、現金化は借入金額そのものを小さくするものでした。

これらが無理な場合や既に取組み済の場合は、利率引き下げに取り組みます。

今借りている銀行に利率の引き下げ(条件変更)を依頼し、交渉します。

既往銀行で引き下げが難航する場合は、他行や新規行に肩代わりを依頼することもあります。

M&A

企業がM&Aや事業売却を行う場合、財務担当者は企業価値という観点から検討を行います。

経理との仕事内容の違い

財務の仕事と混同されやすいのが、経理の仕事です。

実際、企業によっては財務部がなく、経理のベテランが財務の業務を担っていることもあります。

または企業の存続を左右し、借入が絡むため企業の経営者自らが財務の業務を行うこともあります。

経理と財務はどちらも企業のお金に着目して仕事を行うため、同じ業務に思われるかもしれませんが、実はその目的は全く子tなります。

その違いは、<過去のお金>を見ているのか<未来のお金を>を見ているのかということです。

経理の仕事は日々商取引の中で既に発生したお金の流れを正確に記録し、最終的には決算書を作成することが目的です。

それに対して財務は、今後どのくらいお金が必要になるかを商取引の中から分析したり、今後企業のお金をどのように動かすのがベストかを検討したりする部署になります。

このように企業のお金に関する業務に特化しているという共通点がありますが、未来と過去という違う性質のお金をみているのです。

一方で財務は経理が作成した試算表、決算書などを使いながら資金繰りを行います。

経理と財務は密接な関わりがあるといえるでしょう。

財務の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

財務担当者のミスは会社の命運を左右しかねないほどの結果をもたらすこともあります。

そんなプレッシャーの大きな財務の仕事、担当者は以下の点にやりがいを感じる人が多いようです。

企業の成長に貢献できること

財務担当者は経営陣に企業の問題点を示し、解決案を提言することを期待されるポジションです。

財務担当者は決算書を財務的視点から分析し、そのデータをもとに企業の抱える問題点を経営陣に解説します。

それだけでなく解決案も助言します。

それは簡単なことではありませんが、企業の根幹に携わる責任あるポジションであり、そこにやりがいを感じる人が多いです。

実際、財務担当者の意見を経営陣が受け入れことで、借入金が圧縮したり、資金繰りが改善したりすることもあります。

数値で自分の仕事が評価されるのも魅力でしょう。

自分の特性を生かせる

数字を扱い分析することが得意な場合、財務に向いているといえます。

自分の特性を仕事に生かせる時、やりがいを感じるでしょう。

自分が成長できる

財務の仕事は経営陣や銀行との折衝が多くなります。

折衝には具体的データをもとに客観的視点からの分析が必要です。

自社の数値や商流だけでなく、税制や業界知識も必要になります。

また企業を俯瞰的にみることが求められます。

財務の仕事は高度なレベルが求められるため、自然と自分の成長に繋がるという意見も多いです。

面白いポイント

財務の仕事は数字をみて、お金の面からしか企業をみていないのではと感じ、その面白みは何かと疑問に思う人もいるでしょう。

財務担当者が面白いと感じるポイントは以下です。

業務内容の多様性

財務担当者は融資を依頼するために銀行との交渉を行います

また外部との折衝だけではなく、経理部、経営企画部などとコスト削減の打ち合わせを定期的に行います。

また販売先との条件、仕入れコストも逐次確認します。

当初たてた事業計画通りに進んでいるかの予実管理を行うため、毎月作成される試算表などを分析します。

また意外なことに、新商品の開発、販売などを行う際にも財務の分析力が求められます。

財務担当者は国内全体の景気や物価の動向を調査し、客観的データを提示します。

そのうえで開発のメリット、デメリットを財務の面から提言します。

それによりどの程度のリスクがあるのかも含めて、最悪なパターンでの収支予想をたて、経営陣に判断を仰ぎます。

財務担当者はこのように、あらゆる場面でその分析力を活用することを期待される存在です。

財務担当の仕事は緻密な分析とダイナミックで広い視野を必要とします。

他の部署に比較し、その多様性、活躍フィールドが多いのが魅力でしょう。

財務畑を歩くことが多い

日本の企業は会社の中で人事異動が頻繁にあり、営業や企画など職種の垣根が低いといえます。

しかし、経理や財務、特に財務に関しては専門性が高い職種のため、入社から退社まで一貫して財務畑を歩むという人も多いです。

財務という道のプロフェッショナルとして、その仕事に没頭できる面白みがあるでしょう。

財務に向いている性格や特性

緻密さ

財務の仕事は数字を扱います。

財務の仕事のミスは会社の命運を左右しかねません。

そのため、細かいことによく気がつき、色々な角度から物事を見ることが出来る人が財務には向いています。

交渉力をもつ

財務の仕事は、数字を扱うことと同じくらい、社内、社外の人と接する仕事です。

そして時に財務は社内のブレーキ役として、予算管理を行ったり、新プロジェクトに懐疑的意見を述べたりすることもあります。

時に経営課題の改善のために、大幅なリストラ案を提案することもあります。

外部の銀行などに対しても、融資に向けて利率や借入金額で厳しい折衝になることも多いです。

コミュニケーション力、交渉力が求められるポジションです。

会計・税務知識

財務担当者は数字に強いことが必要です。

そのうえで、自社の分析を行うためには、財務諸表知識や税務知識などの専門知識が必要です。

まとめ

いかがでしたか。

財務の仕事は、企業のお金に特化した仕事です。

経理と密接な繋がりがあり混同されやすいですが、財務の仕事は<未来のお金の動き>をみることです。

企業の活動は全て元手となる資金が必要で、財務は企業内にお金という血液を送りだす心臓のような役割を担っています。

人体の体で血液循環がうまくいかないと不調になるのと同様、財務の資金調達、資金管理のミスは企業の存続そのものを危うくすることに繋がります。

そのため、財務には企業を多角的に分析する経営者的な視点も求められます。

そのため、経理の仕事に比べて、より専門的な知識が求められる傾向にあります。

財務の仕事は企業にとって不可欠であり、仕事を通じて企業の信用や価値を高める仕事でもあります。