皆様が良く知ってる外仕事、『現場作業員』の中でも、植木屋は一番過酷と言われることもあります。

ですがそんな植木屋にもたくさんの魅力があります。

いったい植木屋の仕事内容にはどんなものがあるのでしょうか?

経験者の私から、お伝えしたいと思います。

植木屋の仕事の大まかな内容は?

植木屋と言えばどんな事をする人を想像しますか?

頻繁にあちこちでたくさんの植木屋さんが作業してますが、意外に目には留まらないものです。

私も自分が植木屋になるまでは気にも止めたことはありませんでした。

植木屋と言えば、一番思い浮かぶ仕事はお庭や公園などの木を整える『剪定』や、『草刈り』です。

ですが他にもたくさんの作業があります。

今からその内容を紹介していきます。

植木屋の仕事は大きく5個の役割に分けられる 

1.剪定

最もポピュラーで必ず植木屋がする作業といえば剪定です。

街路樹や公園はもちろん、個人のお庭から法人の会社の周りや管理物件などに植えてある樹木などを整えます。

2.草刈り

草刈りをしている所はよく見かけるのではないでしょうか?

草刈りは植木屋ではなくても出来ますし、個人でされてる方もいますが、仕上がりが綺麗で草刈りにも刈り方があるのでそれを熟知して作業出来るのは植木屋です。

3.伐採

枯れた木や倒木しかけていて戻せない木、邪魔になるほど大きくなった木等を根元で切ってしまうことを伐採と言います。

この作業に加え、抜根をする場合もありますが、抜根は土を深く掘り返し、根っこから取り除く作業ですので、どんな木でも必ず出来るというわけではありません。

4.消毒

年に1回~3回程、消毒をします。

特に体に悪いとか劇薬を使うことはないので、主に個人のお庭のお手入れとして作業することが多いでしょう。

5.植栽

木を植える作業です。

植えると言っても、ただ穴を掘って植えればいいという訳ではありません。

では主な上記の5個の作業の具体的な内容を少しお話します。

剪定の3個の業務

公園などの公共の作業

こちらは主に管理している自治体への入札で落札した作業をします。

1年か、3年か、その管理をする期間は作業によりますが、管理を任された業者は年に数回にわけて作業をしていきます。

小さな現場なら数日あるいは人数が多ければ1日仕事ですが、広い大きな現場でたくさんの木の剪定が必要な場合は数日かかります。

どの現場にしろ、公共の作業には工期がありますので、それに間に合わせなければならなく、もし剪定作業が追い付かない場合は雨でも作業することも多々あります。

もしくは夜間でしか作業出来ない現場でしたら夜勤もあります。

ですが仕上がりは余程の価値ある公園や管理地では無い限り、通路や人の妨げになる部分を切っていく、あるいは大きくなり過ぎないように切る作業ですので、剪定自体は文化財や景観が重視される場所などでは無い限り、さほど重視されないでしょう。

街路樹剪定作業

街路樹の剪定ですが、こちらは数年前までは植木屋であれば任された業者が作業出来ましたが、今は街路樹の剪定には必ず1人、『街路樹剪定士』と言う資格を持った人がいなければならなくなりました。

当然街路樹ですので、歩道も道路も含め、日中は車も人も通ります。

万が一にも車や通行人の頭上に切った枝などを落としてしまったなら大事になります。

場所によっては夜間作業となる街路樹剪定もあり、毎年する場所もあれば隔年作業の場合もありますので、大きくなり過ぎた木などは、重機等を使っての作業となり、それもまた資格が必要となります。

街路樹ですので、ある程度見た目も良く、なおかつ素早く作業して行かなければならず、当然たくさんの人の目に入りますので、ダラダラした作業をしていると、その担当している会社の評判にも繋がりますので難しい仕事と言えます。

個人邸や法人の管理地などの剪定

法人の会社のビルの周りや個人邸となると、見栄えがとても大切になってきます。

法人だと決まった業者があり、毎年お手入れもしているでしょうが、個人のお庭となると、なかなかそうとも言いきれません。

『長年放置していたら大きくなりすぎてしまった』などはよくある問い合わせで、そうなってくると小さくして欲しいとお願いされても見栄えよく綺麗に見せるのは難しい木もあります。

ですが毎年お手入れしていようが、しばらくしていなかったとしても、やはりお庭の木ですから、下手に切って枯らすのはあってはならないことですし、訪ねてきた人はもちろん、住んでる方は毎日目に入りますから、仕上がりも綺麗にしなければなりません。

見た目も大事に素早く剪定していく、という点では難しい作業となりますし、個人のお客様ですと、ご在宅の時に作業することもありますので、多少なりとも世間話などは出来るようにならなければ、無愛想な職人だと思われてしまい、次に繋がることはないかもしれません。

入札とは違い、ご相談から始まり、お見積りをして契約を交わして初めて剪定作業が始まりますのである程度交流を深める事が出来る事も求められます。

草刈りの3個の業務

草刈り機を扱う作業

文字通り草刈り機で草を刈っていく作業です。

草刈り機を扱うには『刈払機取り扱い作業者』の資格が必要ですが、これは一般的に大きなゼネコンや大手の工場や管理地などでの作業の場合は必要ですが、個人のお庭や法人でも個人的な敷地の草刈りなどでしたら特に持っていなくても作業は可能です。

実際草刈り機自体はホームセンターで売られてますし、農家の方は自分でされてます。

安全衛生教育の一環ですので、講習を受ければ取得可能です。

草刈り機にもハンドルによって3種類ほどありますし、一般的な円形の刃もあれば、紐と言われてる硬い紐の様なもので刈る時もあります。

周りを保護する作業

草刈り機を使うと、小さな小石や土などが飛び散ります。

歩行者やお庭の近くの窓や車など傷がついたり割れたりするようなものが近くにある場合はコンパネやブルーシートで草刈り機を扱う作業者に合わせて作業する場所を移動しながら周りを保護します。

周りに何も無ければ必要ありませんが、街路樹の周りや公園、堤防など、人や車の通り道付近ではよく道路側に飛び散らないように保護してます。

刈った草の掃除

場所や広さにもよりますが、草刈り機で草を刈ってる作業者の後を追いながら、刈った草を集めてダンプや塵芥車に積み込んでいく作業です。

集めて積むだけ、と言ってもとても大変な作業ですし、植木屋の作業で一番辛いのは掃除です。

そして、草刈り機を扱ってる作業者は周りの音は機械音で聞こえないので、掃除をする場合は近づきすぎて草刈り機で怪我をしないよう、距離をあけながら、なおかつ遅れないよう着いて行きながら掃除します。

伐採の2個の業務

チェーンソーを扱う作業者

小さな木の伐採でしたら、今は片手で持てる軽いチェーンソーもありますので1人での作業も可能ですが、例えば個人のお庭や公園、庭園などで、邪魔になったり枯れてしまったなどの理由で伐採する場合、一度に根元で切って倒すという訳にはいきません。

その場合は先ずは大きな枝をある程度長さを残して切り落とし、足場になるようにしながら木に登り、上から片手で支えられる程度の大きさで切っていきます。

下に切った部分を放り投げるのも基本的にはできません。

山などでの伐採ならいいですが、地面が芝生や敷石があったり、ただの山の様な雑木林では無い限り、落とした時の衝撃で割れたり穴が空いたりしてしまいます。

ですので大きな木になると、ロープを結び、片手で固定しながら切り落とし、ロープで下へ降ろしてから少し下を切る、といった作業を繰り返します。

脚立などでは届かない、登ることも出来ない木となると重機を使って作業することもありますが、それにも資格が必要です。

また、数十メートルになる木を専門に伐採する人を『空師』と言います。

最近テレビで取り上げられたりしています。

ここまで来ると危険な作業ですので、かなりの経験を積まなければなりません。

伐採作業者の補助

大きな木になると、先程もお話ししたように、下に落とす訳にはいかないので、ロープで降ろした切り株を、ロープをほどき、ダンプに積み込んだり、1箇所にまとめて運んでおく作業者が必要になります。

誤って降ろしてる途中でロープが解けないとも言いきれませんので、確認しながら受け取る必要があり、上で作業をしている作業者に降ろす方向を指示したりする時もあります。

消毒の2個の業務

薬剤を作る

消毒は理想は年に3回~4回と言う植木屋も居ますが、大抵年に2回、もしくは1回の場合もあります。

樹木によって発生しやすい虫や病気は異なりますので、その現場に合わせた薬の調合が必要となります。

樹木に薬散する

樹木に薬をかけますが、この時木から薬が滴るほどかけてあげることが大事です。

サーっとかけて回って終わる業者も中には居ますが、基本的に虫などは葉の裏や枝の根元に卵を産み付けたり幼虫が発生しますので、たっぷりかけてあげなければいけません。

劇薬を使う訳ではなく、農家の方が使うような薬が殆どですから、木や人に害はありません。

ただ、自分にも薬剤がかかってしまうのでマスク等は必ずしましょう。

また、風の無い天気の良い日にしなければなりません。

風が強いと他の所へ薬剤が飛んで行きますし、雨の中薬散しても雨で流れ落ちますので、せめて薬散してから半日雨が降らない日を選びましょう。

植栽の3個の業務

穴を掘る

木の根鉢(根の直径)によって穴を掘る直径や深さは変わりますが、先ずは穴を掘ります。

かなりの大木でしたらユンボを使えばあっという間ですが、個人のお宅などユンボが入らない場所や人力で運べるものでしたら手作業です。

この作業はとても大変です。

土を混ぜる

例えば自分で植える時には、赤玉や腐葉土、培養土等を使ったりして肥料を混ぜて…などしますが、植木屋によっては、特に要望があったり、特殊な樹木ではない限り、バークと呼ばれる堆肥とパーライトと呼ばれる土壌改良剤のこの2つを混ぜて植える事が多いです。。

植物を植える時には本来はさほど肥料は必要ありません。

穴を掘った所にバークとパーライトを入れ、そこに掘った土を少し戻してよく混ぜます。

たまに樹木を置いてみて深さを確認しながら穴の中の土の量を確認します。

植栽

穴が用意できたら植栽です。

穴に置いたら、真っ直ぐになっているか、一番目に入る角度から見て綺麗に見える枝ぶりを確認して置く角度を確認したら土を戻しながら、よく根鉢の周りへ土を入れこみます。

そして根鉢が隠れたら、水鉢というものをつくります。

水鉢にたっぷりと水を入れていきます。

水やりが終わったら支柱をします。

この作業がきちんと出来ているかいないかで、根が張るかどうかに影響します。

植木屋の仕事に活かせる経験やスキル

植木屋の仕事は『職人』の仕事ですので、『こんな仕事の経験があるから植木屋もできる!』と言った経験はあまり関係ありません。

剪定にしろ、草刈りや植栽にしろ、今時は土木の方でもします。

それは外構工事や、建築工事の作業の一環として請け負う事もあるからです。

ですが、本当の植木職人が剪定したり植栽したものと、素人や植木職人以外の人が手がけたものでは仕上がりが全く違ってきます。

植木屋はもちろん、ちょっと庭木いじりが大好きな方でしたら一目瞭然です。

ですから、『土木で少し経験あるから』と言った安易な考えで植木屋の世界に入ると、作業のやり方の違いがありすぎて戸惑うでしょう。

ですから、特に活かせる経験と言うとはないかもしれません。

ですが、『玉掛け』、『ユンボ』、『小型移動式クレーン』などの資格はとても役に立ちます。

ですから上記の資格を持っていれば、例え素人でも、雇って貰える可能性は高いでしょう。

植木屋の仕事の大変な点や難しい点

植木屋の仕事は上記に書いた作業が主になりますが、どのような点大変でしょうか?

また難しい点は何でしょうか?

大変な点①

どんな作業にしろ、素人からもし雇って貰えたとしたら、最初から木を触らせて貰える訳ではなく、ほぼ毎日掃除です。

ですが、それは会社によって違います。

最初から掃除の傍ら、少しずつ剪定を教えてくれる会社もあれば、半年経っても一年経っても木を触らせてくれない会社もあります。

それはもしかしたら、本人の『木に触りたい!』という気持ちが伝わってるかどうか、掃除を早く丁寧にして行くことで、やる気がある事が伝わってるかによっても違うのかもしれません。

大変な点②

植木屋は職人です。

どこの会社でもそうですが、剪定や草刈り、植栽作業の時の支柱の付け方などでもこだわりを持ってます。

また、地方によっても剪定の仕上がりは違います。

その地方のやり方があります。

ですので、例えばどこかの植木屋で5年経験があって、違う植木屋に転職したとしても、そこで前の会社での作業が全て通るかと言ったらそうでは無いことが多いです。

ですので、植木屋の世界でずっとやって行こうと思うのでしたら、どんな木でもどんな作業でも直ぐに覚えて同じように仕上げられるセンスが必要でしょう。

難しい点①

やはり、職人ですから、特に個人のお客様ですと、植木屋に頼めば間違いない!と思ってますから、間違ったお手入れをして万が一枯れたり花が咲かなくなったりしたら取り返しがつきません。

『切るはずじゃなかった枝を切った』『仕上がりが少しおかしくなった』などでしたら、多少なら木は日々成長しますから、翌年にはまた仕上げ直せばなんとかなりますが、枯らしたとなると、大事です。

それが高価な木や記念樹やシンボルツリーなどでしたらなおのことです。

他の仕事とは違い、相手は『生き物』です。

ですから適当な事はできません。

親方や先輩などの作業をよく見て覚える事が大切です。

ですが、口や手で教えてくれる植木屋ばかりではありません。

『見て覚えろ』と言った、昔ながらのやり方の職人もいますから、そういった職場では、ひたすら掃除等をしながら剪定等をしている所をよく観察して『技を盗む』つもりで覚えていかなければなりません。

難しい点②

木の種類を覚えたり、植木屋独特の道具や備品の名前を覚えたり、道具の使い方や支柱、トラックへの荷物の積み方、ゴミの積み方や縛り方、掃除の手順に至るまで、ただ綺麗にすればいいというわけではないので、縛るものによってロープの結び方も違いますし、支柱や生垣、竹垣などの結束などでも結び方がたくさんあります。

鋏にしても、たくさんの種類と使い方があり、刃の長さ、柄の長さ、用途などたくさんあり、自分にとって扱いやすいもの、扱いにくいものなどありますので、それを見極めていく力も必要です。

植木屋は『生き物』を扱う仕事ですから、当然それぞれの木によって切る時期も違えば花が咲く時期も違います。

そういった知識も経験を積みながら身につけていく事が必要不可欠となります。

覚える事は無数にあり、資格も沢山あります。

『剪定に正解はない』

これは職人がたまに口にしてますが、同じ木は2つとありませんので、例えば『松』にしても、枝ぶりや大きさは無数にあり、仕上がりも違ってきます。

“これが正しい仕上がりです“という見本がない所も大変難しく、またセンスを問われる所でもあります。

植木屋の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

先程も話しましたが、同じ木は2つとないので、剪定と言っても毎日同じ木はありませんし、1年を通して、『剪定』『草刈り』『消毒』と作業も時期によって異なりますので、毎日同じ作業を繰り返す仕事ではありません。

ですから、飽きることなくできる仕事です。

植木屋が向いているのはどんな人?

この国に木が無くならない限り、植木屋は必要不可欠です。

いずれ独り立ちしたい方でしたら、丁寧な仕事をする植木屋に就職し、時間はかかりますが技術と知識を身につけ、出来れば資格も取っていけば独立自体は簡単に出来ます。

大変なのは独立してから自分にお客様が付くか、ですが、丁寧に仕事をコツコツ積み重ねれば、作業している現場だけではなく、その周りの人や通りがかった人などよく見ていますので声ががかるようになります。

ですから定年など気にせず出来る仕事をと、独立を目指している方にはとても楽しい、やり甲斐のある職人の仕事です。

ですが、植木屋の資格には必ず実務経験が必要となりますので、どの資格には何年の経験が必要なのかなど、よく調べた方が良いでしょう。

まとめ

植木屋は職人の中の職人です。

ですが、現代の流れに乗るのなら、職人気質だけではお客様は離れて行くかもしれませんし、若い世代には馴染めないかもしれません。

ですが、外仕事で唯一、お客様から喜んで貰えて、『綺麗にしてくれてありがとう』と言って貰ってお金を頂ける仕事です。

お金を貰って仕事をして、お礼も言って貰えて、気に入って頂けたらそのお客様とは今後ずっとお付き合い出来る、かけがえのない職人仕事です。

それ故に、こだわりと丁寧かつ早く、綺麗にして差し上げる事がとても重要です。

今は資格もたくさんあります。

個人のお宅だけを手がけるのか、ゆくゆくは大きな作業も請け負いたいのか、設計などもしていきたいのか、によって必要な資格も違ってきますがどれも持っていて損はないですし、品格が上がっても値打ちが下がる事はありません。

『造園技能士』、『造園土木施工管理士』、『街路樹剪定士』、『樹木医』などたくさんありますが、どの資格も未経験では受講資格すら持てません。

ですから植木屋こそ、若い頃から経験を積むことでたくさんのスキルアップに繋がる仕事と言えるでしょう。

奥が深い仕事ですが、国会議事堂や天皇陛下の皇居、お城やテーマパークなどでも、どこかの植木屋が作業しているからいつも綺麗なんだと思うと凄いことだと思いませんか?

植木屋のニーズはなくなることはありません。

とても過酷な仕事ですがとてもやり甲斐のある仕事でもあります。

是非興味があるなら、挑戦してみてください。