みなさん、五大疾病と言われる病気が何かご存知ですか。

この五大疾病は2012年までは、「四大疾病」と言われていました。

四大疾病とは、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病です。

しかし近年、職場や人間関係でのストレスにより、うつ病や気分障害を発病する方が多くなり、また高齢化に伴う認知症の患者数が年々増加していることから、厚生労働省が対策を講じなければいけない事項として重点をおきました。

それにより、2013年に精神疾患を新たに加え「五大疾病」となりました。

また近年は、悲しいことではありますが、年間約3万人の方が自殺をしており、その9割が何らかの精神疾患を患っていたというデータがあります。

それほど、この精神疾患は何も特別なことではなく、誰もがそうなる可能性がある身近な病気となっています。

精神疾患を患った時、また精神障がいを持ち生活のしづらさを感じた時、障がいはあるけれど社会復帰をしたい時に、必要な支援をしてくれるのが精神保健福祉士です。

これからの社会の中で、より必要とされる職種のひとつではないでしょうか。

今回は、その精神保健福祉士の仕事内容をご紹介します。

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精神保健福祉士の仕事は大きく4個の役割に分けられる

精神保健福祉士の役割は、患者様本人やご家族との面談、相談業務が主となります。

これが病院や施設で働く精神保健福祉士の業務の中でも核となります。

この面談、相談業務の後に、さまざまな手続きをはじめとして、ご本人様の意向を中心とした支援を行います。

相談業務

相談は主に入院前、入院中、退院直前など節目に応じて必要な面談や相談を行います。

入院中の不都合な点や、不安に思っていることなど、患者様の気持ちを聞くことが主な業務内容となります。

ご家族支援業務

患者様と面談し相談に乗ることは何よりも大切な業務です。

一方で、これまでその患者様を支えてきた家族の方は、入院や通院をするまでにもしかしたら非常に大変なことがあったかもしれません。

その病気のせいで、家族関係がうまくいかなくなることもあります。

患者様ももちろんつらい立場にあるのかもしれませんが、ご家族の方も相談することもできずに孤独を感じていた可能性もあります。

そうしたご家族に対する面談、相談業務もこの精神保健福祉士の大切な役割となります。

感情的になっている家族に対して、病気への理解を促すことや患者様について知ってもらうこと、また退院後の生活についてどのように思っているのかなどご家族の意向を聞き、本人様とご家族の意見に相違がある場合には、その調整を図る役割も非常に重要なものとなっています。

必要な支援やサービスの利用申請手続き

病気になったことにより、残念なことではありますが、職を失ってしまう方もいらっしゃいます。

経済的な不安が大きく、治療に専念できない方もいらっしゃいます。

また近年、精神障害者の方の高齢化も進んでおり、経済的なことも含め、支援できるご家族がいない場合も多くあります。

逆に、10代で発病し、社会経験が乏しく経済的にも日常生活的にも自立ができない状況の方もいます。

そうした患者様に対して、ご本人やご家族の希望を聞き、障害年金、精神障害者保健福祉手帳、障害福祉サービスの申請業務、また必要に応じて生活保護の申請など、その方が退院後に必要と思われる各種支援やサービスを受けるための手続きを行います。

医療スタッフ、外部事業所との連携業務

患者様が入院している病院には、多くの人が集まって患者様の治療にあたっています。

その医療関係者や、退院後に関わる外部事業所との連携を図ることも、大切な仕事の一つです。

相談業務

入院前相談

患者様は入院する際は、非常に状態はよくないため、不安や喪失感、もしくは病状によっては興奮していることもあります。

納得して入院ができていない方もいらっしゃいます。

入院に際して、何か困っていることはないか聞き、必要な時には相談に乗ってくれる相手がいるという安心感を与えることは非常に大切です。

精神保健福祉士には、病院の中で、患者様の代弁者となる役割があります。

入院中、退院前相談

退院が近くなると、退院後にどのような生活を送っていきたいのか、そのためには何か必要な障害福祉サービスがあるかどうか、また職場への復帰に必要なこととはなにか、金銭面での支援が必要ではないかなど、退院後の生活に必要な支援について、患者本人様、ご家族様、医師、看護師など医療スタッフとともに面談や相談を行う役割があります。

退院後により安定した日常生活を送るために、この面談は非常に大切になります。

退院した後の生活が不安定なままであれば、体調を崩し、再入院となる場合も多くあるため、そうしたことのないように話し合いを行います。

ご家族支援業務

入院前相談

入院が必要と診断されるということは、自宅での生活にはかなり支障をきたしていたことが想像できます。

一人暮らしの患者様であっても、この入院に関してはご家族が保証人になる必要があったり、同居していた場合は、入院に至るまでには家族にもかなりの負担があったと推測されます。

また、入院に際しての医療費や今後の治療方針や快方に向かうのかなど、急性期の患者様本人よりもご家族の方が心的負担が大きいことも少なくありません。

そういった、これまで支えてきた頑張りを言葉で返すことや、この先の不安な思いなどを聞くことなどが中心となります。

入院中、退院前相談

患者様本人の体調も良くなり、退院の日がおおよそ決まってくると、自宅へ戻るのか、それとも新たにグループホームなどの施設に入所するのか、一人暮らしを始めるのかなど住居について考える必要があります。

もちろんその際は患者様本人の意向が一番大切ですが、これまでの関係性などの問題から、同居はできないというご家族の方も多くありません。

どのような家族間の距離の保ち方が最適であるのかを、ご家族の意向も含めて考えていくことが必要があります。

必要な支援やサービスの利用申請手続き

経済的な支援が必要な方への申請手続き

精神疾患を患ったことにより、仕事を辞めてしまった方や学生時代に発病し社会経験がない方など経済的に不安定な方はたくさんいらっしゃいます。

アルバイトをしたが長くは続かなかったなど、なかなか就労を継続的に行うことができないという方がいらっしゃるのが現状です。

家族の経済的支援も難しい場合は、障害年金を申請することが自立への手助けになることなどの情報をお伝えし、ご本人様の希望があれば申請手続きを行います。

また、財産などもなく、家族からの支援も受けられない場合は、生活保護を申請することもあります。

申請に必要な医師の意見書やその他、申請に係る必要な書類を準備する業務も、精神保健福祉士の役割です。

障害福祉サービスの利用についての支援

先述の相談業務の部分でも触れましたが、家族との同居や一人暮らしの継続が難しいと思われる場合、グループホームに入居することもあります。

また、仕事はしたいが一般就労をするまでの自信がない、復職したいがその体力や自信がなく施設で仕事の練習をしたい、自立した生活を送るために生活リズムを整えたいという方のために、自立した生活を送るための就労移行支援、就労継続支援事業所(A型、B型)、生活訓練など、多岐にわたる訓練を目的とした事業が展開されています。

これらの事業は、障害者総合支援法に基づいて定められており、こうした事業所を利用したいという患者様に対しては、相談支援事業所というその患者様に適したプランを患者様とともに立てる事業所があるので、そちらとの連携や情報提供などを行うこともあります。

精神障害者保健福祉手帳の申請

精神障害者保健福祉手帳を持っていない患者様に対して、まずこうした手帳があることなどの情報を提供します。

この手帳を申請するか、しないかはご本人様のご希望で決まります。

手帳を持つことによって受けられる支援は数多くあり、その支援の内容や手帳を持つ意味などをお伝えし、申請に関しての自己決定を尊重します。

申請することになった際は、申請に係る書類などを準備し、申請の手続きを行います。

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医療スタッフ、外部事業所との連携業務

患者様が入院している病院、つまり精神保健福祉士の職場である病院内には、多職種が集まって患者様の治療にあたっています。

医師、看護師、作業療法士、臨床心理士、管理栄養士、精神保健福祉士など各専門分野のプロがいます。

職種に応じて、いろいろな意見や考えがあり、その意見をまとめたり、情報の共有を図るのもこの精神保健福祉士の業務となります。

また、退院後に各種手続きが必要な場合は、その機関や事業所などのスタッフを交えて会議をセッティングするのも大切な役割となっています。

精神保健福祉士のやりがいとは?

以前より、精神障害者の方や精神疾患を患ったというと偏見などが少なからずあるのが現状です。

精神保健福祉士は、そうした偏見や、どうしたらよいのか困っている方の人生のほんの一部にですが、関わらせて頂く仕事だと思います。

患者様の病状が悪い時は、つらい言葉を投げかけられることもありますが、病状がよくなるととても感謝して頂けたり、笑顔になって退院される姿を見るのは、本当にこの仕事のやりがい、醍醐味だと思います。

自分や家族以外の方の人生のお手伝いやそのターニングポイントに関わることの重要性を考えても、やりがいのある仕事だと思いますし、また高齢の患者様からは人生の先輩としてアドバイスを頂くこともあります。

助けてほしいというSOSを出せずに病気になった方のSOSに気づき、そしてよりよい生活を送ることができるお手伝いし、そうした経験を積み重ねることにより自分自身が成長できる仕事です。

精神保健福祉士の仕事をするにあたって覚えなければいけないこと

国家資格を取得すること

まずは、精神保健福祉士は国家資格です。

国家試験を合格した人だけが名乗ることができる名称独占です。

4年制大学を卒業すること、福祉系の単位を修得していることなど、受験資格には細かな規定があります。

法律や福祉サービスについて知識を深める

患者様と面談を行い必要としていることを把握したとしても、自分自身が福祉サービスや法律を熟知していないと、適した情報を患者様やご家族様に提供することができません。

自分の知識が業務のすべてです。

ただしこれは、自分一人で知識を深めなければいけないのではなく、こうした福祉の業種は横のつながりがしっかりとあり、研修や勉強の機会など、自己研鑽できる場が豊富にあります。

一方で、知識だけがあればよいのではなく、患者様を尊重し、自己決定を促すような支援のスキルが必要です。

この仕事は対人援助職です。

コミュニケーション能力や面談技法、どんな障害があったとしても相手を尊重する姿勢が大変重要かと思います。

患者様を思いやる気持ちや患者様を大切に思う気持ちがなければ、少し言葉は乱暴かもしれませんが、この仕事には向いていないのではないかと思います。

それくらい、とても大切なことです。

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まとめ

現代社会は本当にストレス社会と言われています。

また、いつ誰が精神疾患を患ってもおかしくない社会です。

精神衛生を意識し、健康を維持することは非常に重要です。

そうした予防の啓発活動などもとても大切なことです。

その啓発活動を行うのも、この精神保健福祉士の重要な役割と感じています。

困っている誰かのお手伝いをしたいという思いがある方には大変向いている職業かと思われます。

よく、「精神障害者の方と関わるのは怖くないのか」と聞かれることもありますが、怖くありません。

心の優しい方がとても多く、優しいがゆえにこの病気になった方もいらっしゃるのです。

今回は、病院で働く精神保健福祉士の業務についてお話しましたが、精神保健福祉士の活躍する場はとても増えてきています。

障害者施設、大手企業でのカウンセラー、小学校、中学校、高校など教育の場でのスクールカウンセラー、刑務所などの司法の場、保健所や市町村などの公的機関など幅広いものとなってきています。

また、この仕事は、相手の方の人生に関わり、自分自身を成長させてくれる職業だと思います。

正直大変な時もありますが、だからこそやりがいを感じています。

この精神保健福祉士の資格は社会人になり、多業種の仕事をしていた方が通信大学や短期養成学校を経て、受験資格を得て資格をとるという道もあります。

人生でいろいろな経験をし、そこからこの仕事をしようと思う方にも多く出会いました。

若い時に資格を取っていないからと諦める必要はなく、いろいろな経験から学んだことを対人援助で生かせる職業でもあります。

興味を持った方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?


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