看護師というと、病院やクリニックなど施設で働いているイメージが強いと思いますが、看護師の働く場所は病院ばかりではありません。

それは、全ての患者さんが入院している訳ではないからです。

病気や障害を抱えながら、自宅で生活している患者さんもたくさんいます。

そんな地域にいる患者さんの元に出向いて看護をするのが訪問看護師です。

ここでは、訪問看護師の仕事内容から必要な経験、なり方までまるっとご紹介いたします。

訪問看護師とはどんな仕事?

訪問看護とは地域で生活している、看護が必要な人のところに出向いて看護をするお仕事です。

ここでいう地域とは、自宅やグループホームなど、病院などの施設以外を指します。

現在、国の方針で病院は機能別化が進み、病院に入院する期間、平均在院日数は短くなっています。

厚生労働省の調べによると、平成28年の平均在院日数は28.5日。

たったの約1ヵ月で退院するということです。

入院している期間が短くなるということは、地域に戻ってからも自宅や通院で治療が続くということになります。

そんな患者さんの元に、医師の指示の元、訪問するのが訪問看護師の仕事です。

訪問看護師の役割とは?

医師の指示に応じて医療処置を行う

退院後も治療が続く患者さんはたくさんいます。

もちろん入院中に病院の看護師が自宅に帰ってから、患者さんや家族が処置を行えるように指導します。

しかしどうしても医療資格がないと行えない処置や治療もあります。

患者さんや家族が正しく治療を行えているかを確認するのも仕事の1つです。

患者さんの健康状態をチェックする

患者さんが退院した後、順調な生活が送れているかを確認します。

病状が改善しているのか、悪化しているのかを見ます。

もし悪化していたり、追加の薬や治療が必要だと考えられる場合には医師に相談することもあります。

もちろん治療だけでなく、より良い生活が送れるようにサポートするのも役割です。

具体的には食事や排泄、睡眠に問題ないか、療養する環境に不便はないか、を実際に患者さんの住んでいる環境に出向くことで判断します。

患者さんと家族にあったケアを提供する

患者さんや家族が納得し希望する療養生活が送れるよう調整するのも役割です。

患者さんや家族の意向を伺います。

患者さんの思いと家族の思いが一致していることもありますが、対立していることも多い。

そんな時、家族全員が納得でき、実現できる療養生活の形を一緒に考えます。

必要があれば、医師やケアマネージャー、ソーシャルワーカーや訪問介護など、その家族に関わる他の職種も交えて検討します。

生活に密接しているからこそ、できる仕事です。

訪問看護師は他の職種と患者さんのかけ橋と言っても過言ではありません。

メンタル面のケアも重要

患者さんも病気によってメンタルが変動するのは当たり前です。

そして患者さんを介護する家族も、患者さんと一緒に一喜一憂します。

介護に疲れる時があるのも当然です。

ゴールが決まっている入院とは違い、退院後の生活はずっと続くもの。

患者さんと家族が共倒れしてしまっては元も子もありません。

患者さんと家族がより快適に療養生活を送るためには、メンタルのケアが不可欠です。

正社員、契約社員、バイト、派遣などで求められる役割は変わる?

もちろん変わります。

訪問看護は看護をしている時間以外にも移動時間が必要になります。

つまり1日に訪問できる患者さんの数に限りがあるということ。

患者さんによって訪問看護の内容も様々です。

人手という点から、正社員や契約社員だけではいくら時間があっても足りません。

但し、責任は正社員であってもバイトであっても変わりません。

もちろん最終責任者は正社員でしょう。

ですが訪問させて頂き、看護をする以上、その訪問の間、患者さんの命に係わる責任は一緒です。

正社員

正社員も訪問をしますが、特に特別な処置が必要だったり、急変のリスクが高い患者さんの訪問を行うことが多い。

長い期間、訪問看護を利用している患者さんも正社員が担当することが多いようです。

緩和ケアと言って、積極的な治療はせず、亡くなるまでの時間をより苦痛が少なく送れるようにお手伝いをする場合があります。

場合によってはご臨終の瞬間に立ち会わせて頂くこともあるので、正社員が担当することが多いんです。

また正社員は病院の看護師と同じように受け持ち患者を持つことがあります。

日々の訪問は他のスタッフが行っていますが、重要な家族との話し合いや他の職種との調整など、その患者さんに関わる全ての責任者となるということです。

もちろん緊急時の対応もします。

これは長く関わり、患者さんや家族と信頼関係を築ける正社員の役割でしょう。

契約社員

正社員を目指す契約社員の場合には、正社員と同じような仕事を行うこともあります。

契約社員の場合には決まった曜日に出勤します、その曜日に訪問する患者さんを継続的に担当することが多いようです。

信頼関係も築きやすいですし、文章では伝わらない雰囲気や性格を理解した上で担当することができます。

患者さんや家族からしても、顔を知っているお馴染みの看護師が担当してくれた方が安心ですよね。

時には正社員に助言をして、受け持ち患者さんの治療や療養計画の見直しに役立てます。

バイト、派遣

バイトや派遣は契約にもよりますが、毎回同じ患者さんを担当するのではなく、比較的に処置が簡単で急変のリスクが少ない人を担当します。

例えば、グループホームのような患者さんが集まって生活するような施設に訪問するとします。

全員分の検温をし、健康状態をリスニングします。

そしてその日入浴して良いか、運動して良いかなどの判断をします。

これは資格を持ち、ある程度の経験があれば、判断できます。

このような仕事を正社員が行っていたら、正社員の仕事量は膨大になります。

本当に必要な患者さんのところに行く時間が減ってしまうかもしれません。

このような時バイトや派遣が訪問することで、効率性も上がり、雇用も増えます。

訪問看護師の具体的な仕事内容とは?

仕事の流れ

まずは医師の指示の元、必要な看護を考えます

医師の指示書には、訪問看護の内容は書かれていますが、具体的な方法は書かれていません。

まずそこを考えるのが最初の仕事です。

患者さんや家族と話し合いながら、限られた訪問の時間で看護師が何を行うかを決めます。

場合によってはリハビリメニューを看護師が考えることもあります。

なるべく医師が必要とする治療を行いながら、患者さんが快適な生活を過ごせるようにと考えます。

実際に訪問に行きます

看護の内容が決まったら、実際に患者さんを訪問します。

そこで再度患者さんや家族の要望と実施する内容をすり合わせます。

訪問した内容や状況を記録します

看護師にとって重要な仕事の1つが記録です。

患者さんや家族の発言、様子、訪問して実施したことを記録として残します。

こちらは法的な効力を持つ記録にもなります。

それを医師や他の関わっている職種が読むことで、患者さんをみんなでサポートすることができます。

訪問看護師の1日の流れ

訪問看護ステーションにもよりますが、訪問看護師は1日に5~6件の訪問を行います。

  • 8~9時頃   出勤 朝礼や申し送り(スタッフ同士の情報共有)をし、訪問の準備もします。
  • 10時頃    訪問開始 午前中に2~3件の訪問をします。
  • 12~13時頃  昼食 昼食は訪問看護ステーションに戻る場合もありますが、移動の車の中や、訪問先の近くで済ませることもあります。
  • 13∼17時頃  訪問再開 午後も2~3件の訪問をします。
  • 17時頃    訪問看護ステーションに帰社。

記録や報告を行います。

翌日の担当スタッフに申し送りをしたり、翌日の訪問の準備をします。

訪問看護師の移動は自転車や車などで行うことがほとんどです。

ステーションから訪問先が近ければ歩いて行くこともあります。

夜間や早朝の訪問の場合には直行直帰もあります。

訪問看護師はどういう人と仕事で関わるの?

訪問看護師は多くの人と仕事で関わります。

それは医師だけではありません。

訪問看護は介護保険か医療保険によりお金が動きます。

家庭の事情も様々です。

医師

訪問看護師は医師の指示によって訪問するので、指示書を出す医師との関わりが大きいでしょう。

しかし患者さんによっては1つの科に留まらず、複数の診療科にかかっている場合もあります。

その場合には、各科の医師と関わることになります。

指示をもらうだけでなく、患者さんの状態を伝え、治療方針や治療内容を相談するのも仕事です。

ケアマネージャー

患者さんが自宅で訪問看護や訪問介護を使うときに、それらをまとめ、調整してくれるのがケアマネージャーです。

介護保険や医療保険の点数によって使えるサービスを決めたり調整してくれます。

例えば訪問看護師が、訪問中に追加の処置をしたり時間を延ばした方がよいと感じても勝手に変えることはできません。

医師やケアマネージャーに相談して、経済的や制度的に可能なのかを判断してくれます。

介護福祉士

訪問看護を使っている患者さんの多くは訪問介護、いわゆるヘルパーさんも入れていることが多いんです。

訪問看護の時間より訪問介護の時間の方が長いことの方が多い。

長い時間一緒にいるから分かる患者さんの性格もヘルパーさんが知っています。

バイトや派遣でその患者さんとの関わりが薄い看護師が行ったときには、ヘルパーさんの情報がとても助かります。

リハビリスタッフ

訪問看護と同じように、訪問をしてリハビリを行う機会があります。

看護師が行うこともありますが、理学療法士や作業療法士といったリハビリ専門のスタッフが行うこともあります。

同じ患者さんに関わるスタッフとしては情報の共有が欠かせません。

地域での療養生活には多くの人が関わります。

全てのスタッフが患者さんと家族を中心により良いケアや治療を行えるよう協働することが重要です。

訪問看護師はその橋渡し役となります。

訪問看護師になるためにはどうしたらいい?

ここまで訪問看護師の仕事についてお話してきました。

では実際に働くためにはどのようにしたらいいでしょう。

訪問看護師に就職するために

訪問看護師は訪問看護ステーションに所属する会社員です。

ですから、就職活動も病院やクリニックに就職する場合とは異なります。

訪問看護ステーションは独自に就職説明会を開いていることが多いようです。

まずは自分がどんな患者さんや家族に対して訪問看護をしたいかを考えましょう。

例えば…

  • 認知症のあるご高齢の患者さん
  • 認知症のないご高齢の患者さん
  • 何らかの病気や障害で看護が必要な患者さん
  • 先天的に障害がある患者さん
  • 障害や病気がある赤ちゃんや子ども

訪問看護ステーションによって、専門としている領域や得意な分野が変わります。

看護師としてどのような患者さんと関わりたいのかを考えて、訪問看護ステーションを探しましょう。

資格はどこまで必要?

資格は看護師国家試験に合格し、看護師免許を持っていれば、訪問看護師になることができます。

医療事務やケアマネージャーなどの資格や知識があると更に重宝されます。

必要なスキルや経験は?

最近は新卒を取る訪問看護ステーションも増えてきているようですが、病院勤務の経験を持つ看護師を採用するステーションもまだまだ多いようです。

少ない人数で多くの訪問をこなすため、長くフォロー者をつけることもできません。

一人で処置をしたり、判断をしたりする場面も多い。

もちろん上司に相談はできますが、採血や点滴など基本的な看護技術は身につけた看護師を求めるのは当たり前かもしれませんね。

訪問看護は病院のように設備が整っていない自宅や施設に出向きます。

その環境の中でよりよいケアをする対応力も必要です。

自分が就職したいと思う訪問看護の領域、例えば赤ちゃんや子どもが専門のステーションなら小児科や産科、認知症が専門のステーションなら認知症患者が多くいる病棟

などでの経験が少なくても1~3年程度ある方が、就職しやすいのかもしれません。

また転職の場合には転職サイトを使うことも方法ですが、優秀な転職エージェントに職場を斡旋してもらう方が、一般的にいい会社に勤められることが多いようです。

訪問看護ステーションは看護師が立ち上げていることも多いので、知り合いの看護師の先輩から紹介してもらったという話もよく聞きます。

知り合いのステーションなら就職前にバイトや派遣で仕事を経験できる場合もあります。

訪問看護師の仕事がおすすめな理由

患者さんや家族の希望に沿った看護を提供できる

病院では治療がメーンのため、どうしても患者さんや家族の要望を全て答えることはできません。

もちろん自宅や施設だからこそ病院のように手厚い治療ができないこともあります。

ですが自宅や施設で過ごす患者さんや家族が一番納得できる方法を一緒に探すことができるのが訪問看護です。

病院の看護では患者さんや家族から聞くことでしか、家庭の環境や家族の状況を把握することができません。

しかし訪問看護は実際にお宅に訪問するので、自分の目で言葉では伝わりきらない実際の環境や状況を把握することができ、より患者さんと家族にあった看護を提供することができます。

同じ患者さんを長く担当することも多いので、患者さんや家族との信頼関係も築きやすいでしょう。

残業が少ない

訪問看護師は移動の合間に、車の中で記録を行うことができます。

中にはネット上の専用記録システムを利用しているステーションもあります。

訪問の合間に記録ができます。

訪問の時間も決まているため、延長することはほとんどありません。

また訪問看護師には子どもや親の介護を抱えたスタッフが多くいます。

残業が少ないのは大きな魅力の一つでしょう。

様々な雇用形態がある

訪問看護師には様々な雇用形態があります。

それぞれの雇用形態で役割は異なりますが、契約社員や派遣社員でも、長く勤めれば、正社員と同じように患者さんを担当することもできます。

小さなお子さんや家族の看護で仕事ができる時間が限られる場合には、正社員よりも他の雇用形態の方が都合のいい場合もありますよね。

まとめ

訪問看護師も病院に勤める看護師の同じように、患者さんや家族がより快適に、地域での生活が送れることを祈っています。

お亡くなりになる瞬間に立ち会ったり、地域でできる看護の限界を感じたり、医療的にはもっと介入できるのに家族の意向で積極的な介入ができないことも。

もちろん気分が落ちることもあります。

しかしそれ以上に患者さんと家族にあった看護ができ、やりがいを感じることができます。

この記事を読んだ方が、看護師にもいろいろな働き方があるんだな。

訪問看護師もいいかもしれないなと思っていただけることを祈っています。


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