この記事は、アニメ業界を目指すあなたに見てほしい文章になっています。

「アニメ制作進行はやめたほうがいい」多くの経験者がそう語る理由とそれでも制作進行を選ぶ目的をご紹介します。

労働環境最悪!?

アニメ制作進行の仕事内容を徹底解剖したいと思います。

アニメ制作の仕事はどんな仕事?

制作進行とは、その名の通り「制作」を「進行」するために動く人のことです。

自分が受け持つ話数の各種打ち合わせ、アニメーターの確保と発注、作品のスケジュール管理、予算など多岐にわたる作業を一手に担う作品作りの責任者です。

アニメの制作はとにかく激務です。

1話30分の一般的なアニメの制作期間はおよそ2か月程度。

その間にシナリオ → 絵コンテ → コンテ撮影 → 演出打ち合わせ → 作画打ち合わせ → レイアウト → 演出チェック → 作画監督チェック → 監督チェック → 原画 → 演出チェック → 作画監督チェック → 動画作成 → 原画撮影etcと大まかに分けても沢山の工程があります。

もちろん制作進行は全ての工程に立ち会わなればなりません。

しかし、制作進行は作画が得意でなくてもアニメ業界に携われる貴重な職種のひとつです。

アニメが好きで物作りが好きな人にとっては、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。

アニメ制作の仕事の大まかな内容

制作するアニメの内容と納期、予算を把握する

アニメの内容と納期、予算はプロデューサーや監督、メーカーが決めて制作の依頼が制作進行に回ってきます。

その中で予算の割り当てなどを考慮して制作進行はアニメーターの確保を行います。

作画スタッフの確保・発注・仕事内容

作画スタッフの確保は基本的にアニメーターのことを指し、直接依頼の電話をかけるのが一般的です。

電話内容は依頼するCut数、単価、納期です。

「Cut数」とはシーンの数です。

シーンとはカメラのアングルが変わることで、業界ではCutが変わると言われることがあります。

ちなみに30分のアニメだと250~400ほどのCutになります。

「単価」とはその名のとおり作業料です。

1枚ごとではなく1Cutごとで料金を計算します。

ですのでキャラクターが同じアングルで動くほど1枚の価値が低いことになります。

1Cutは3000~5000円程度で1アニメータにつき5~20Cut依頼します。

新人のうちは確保に少し手間取ることもありますが、何度も仕事をするうちに見知ったアニメーターさんだったりアニメスタジオができてくるので心配いりません。

依頼を引き受けてくれた作画スタッフは大事にしましょう。

一口に作画作画スタッフといっても様々な工程があります。

仕事をする順序は 絵コンテ作家 → 演出家 → アニメーター(レイアウト) → 演出家 → 作画監督 → 監督 → アニメーター(原画) → 演出家 → 作画監督 → 動画マン となります。

絵コンテ作家

シナリオを絵になおしてCut分け(シーンごとに分ける作業)を行います。

絵コンテがいいとアニメーターがレイアウトを起こしやすくなる重要な作業になります。

絵コンテの質が納期に与える影響はとても大きいです。

アニメーター(原画家)

アニメの作画はアニメーターが一人で行うものではありません。

いくつかの工程が存在します。

まず絵コンテを元にレイアウト(L/o)と呼ばれる下書きを作成します。

レイアウトは演出家がチェックし、それを作画監督がチェックと修正を行い、重要なCutであれば監督もチェックします。

それがもう一度アニメーターのもとで清書され、初めて原画(二原)としてアニメ―ションに起用されます。

もちろんチェックが通らなければリテイク(やり直し)作業も必要です。

演出家

1話数の監督とも呼ばれ、絵コンテやレイアウト、背景などアニメーションに起用される絵に演出指示を出す方です。

カメラアングルからキャラクターの仕草までシナリオをアニメにするための指示を行います。

アニメーターから演出家になった人もいれば制作進行からなる人もいます。

重要なのは絵をかけることではなく演出指示が出せることです。

演出家は作業量がとにかく多いです。

まず打ち合わせです。

演出家抜きで打ち合わせが行われることはほとんだありません。

作画スタッフへ演出指示を出す打ち合わせはもちろん、背景打ち合わせ、撮影打ち合わせ、進捗打ち合わせなど多岐にわたります。

そして演出家は全ての原画に目を通さなくてはいけません。

代わりの利かない演出家の作業の遅れは全体の作業の遅れを意味します。

作画監督

アニメーターのレイアウトや原画を演出家の指示のもと修正を加え、作品のクオリティを維持するのが作画監督です。

主にベテランアニメーターが行い複数人で担当します。

アニメ作画の最後の砦です。

いわゆる作画崩壊は作画監督の作業時間が確保できない場合に起こります。

スケジュール管理はとても大事なことなんです。

動画マン

動画マンは原画のセルとセルの間の細かな絵を担当する方です。

主にアニメーターの卵の方が行い、動画スタジオや作画スタジオに在籍しています。

動画一枚の単価はおよそ200~300円ほどです。

模写に近い作業になるので単価は低めです。

最近では海外に原画のデータを送って仕事の依頼をすることもあります。

クオリティを維持するためには時間が必要です。

しかし、納期あるのも事実です。

そのバランスを調整し作画スタッフが気持ちよく作業に集中できる状況を提供するのが「デキる制作進行」と言えるでしょう。

Cut回収

制作進行になって最初にする業務は「Cut回収」です。

Cutとはアニメに使用されるワンシーンごとの絵です。

一般的にこれを繋ぎ合わせる撮影を行いアニメーションが作られています。

アニメーターの仕事場は作画スタジオから自宅までバラバラです。

担当話抱えている間はアニメーター、演出、作画監督の間を何度も行き来しなければなりません。

完成したレイアウトや原画はこまめに次の工程に進めないと納期間際でパンクなんてことになるかもしれません。

効率は悪いですが、何度も往復する必要があります。

Cut回収は取り立て?

Cut回収はしばしば取り立てと揶揄されることもあります。

納期までに原画を回収するためにはアニメーターとのコミュニケーションは欠かせません。

アニメーターは手持ち無沙汰にならないよう常に複数の仕事を抱え込んでいます。

当たり前の話ですがアニメーターも人間です。

好きな仕事嫌いな仕事があり、優先順位があります。

「依頼を受けたんだから放っておいても大丈夫」ではないのです!

制作進行から連絡のない仕事は優先順位が下がり納期に間に合わないことも多々あります。

それを防ぐために仕事を依頼した制作進行はなんとか自分の依頼を優先してもらうため、なまじ取り立てのような口調でアニメーターに当たってしまうこともあります。

撮影日が納期

全てのCutを回収すると撮影を行います。

撮影日は撮影スタジオを抑えて行いますので業界では撮影日が納期だと言われています。

撮影は主に絵コンテ撮影、レイアウト撮影、原画撮影、リテイク撮影の4回行われます。

撮影にはすべてのCutが必要になるので回収はいち早く行わなければならないわけです。

ですので制作進行はクオリティと納期のバランスを考えて仕事を割り振らなければなりません。

地獄のリテイク作業

作品作りにはやり直しはつきもの、業界ではリテイクと呼ばれる作業があります。

納期に余裕があれば書き直しを依頼、発注するだけで済みます。

しかし、納期が近いとそうはいきません。

撮影日の当日までリテイクCutが回収されないこともしばしばです。

その場合はアニメーターの自宅の前で待機しなければなりません。

それが夜通しということも・・・

制作進行は24時間営業?

何度も言いますが、制作進行は激務です。

なぜなら制作進行各話数に一人。

納期前の制作進行には昼も夜もなく寝る間も惜しんで仕事をしなければなりません。

作画スタッフへの追い込み、動画作成依頼、進捗の確認など電話対応もひっきりなしです。

アニメ制作の仕事に必要なスキルや経験は?

未経験の求人も多く見受けられる制作進行ですが、あると便利なスキルや資格をご紹介します。

普通自動車運転免許所

これは必須です。

これがないと新人は何もできません。

夜間の運転も多いので、資格だけのペーパードライバーではなくしっかり運転技術を磨いておくと安心です。

Excelスキル

自分の知る限りアニメ制作会社は全てExcelを導入しております。

スケジュール管理や指示書など使用は多岐にわたりますので習得しておくとスムーズに業務に携われるかと思います。

コミュニケーションスキル

制作進行は多くの作業スタッフを取りまとめる責任者です。

クリエイティブな仕事をされておられる方は特徴的な人が多いのでコミュニケーションがしっかりとれないといけません。

アニメ制作の仕事が得意な人の5個の特徴 

アニメ制作進行の仕事の向いている人の特徴を5個ご紹介します。

体力に自信のある人

上記の通り、制作進行は激務です。

徹夜も覚悟で仕事をしなくてはならないので体力に自身のある方が好まれます。

コミュニケーションが得意な人

円滑に制作を進行するためには沢山の方とコミュニケーションが必要です。

どんな人とでも仲良くなれる方が向いているでしょう。

計画性のある人

スケジュール管理など納期を考えて行動する計画性が必要です。

順序立てて物事を考えることのできる人が向いています。

アニメが好きな人

これは言わずもがなですね。

せっかくアニメの仕事をするわけですからそれが好きじゃないなんてもったいないです。

作品作りが好きな方、興味のある方

モノづくりが好きな方にもおススメです。

作業工程を楽しめる人、達成感を味わえる人に向いています。

アニメ制作の仕事をするメリットとは?

作画が苦手でもアニメ業界で仕事ができる

好きなことを仕事にできるって憧れますよね。

やはりアニメ業界にはアニメが本当に大好きな方が非常に多いです。

そういった同じ価値観を持つ方々と共にモノづくりができるのも魅力的な点です。

演出家や監督などキャリアアップが見込める

意外かもしれませんが、演出家や監督の中には制作進行の経験者が多いです。

演出家の方と一緒に仕事する時間も長いですのでそこからコネを作ったり、直接作り手の「技」を見れるわけですから、学ぶこともできるかもしれません。

本人のやる気次第ですが未経験からのキャリアップを目指すのも良いかもしれません。

声優とお近づきになりたい方

最近制作進行になる方に多いのがこれです。

下心丸出しですがこれもれっきとしたメリットと言えるでしょう。

しかし制作進行が直接声優の方と接点を持てるわけでは決してありません。

アフレコ現場に演出家やプロデューサーのおまけで辛うじて見学ができる程度です。

それでも「ちょっとでいいから声優さんを生で見たい!」という方も多いのではないでしょうか。

アニメ制作の求人の見つけ方

大手求人サイトで見つける

一番見つけやすいのがこの方法です。

業界は常に人手不足ですから大手求人サイト探せばいつでも募集があるでしょう。

自分の勤めたい制作会社のHPから

大手制作会社は自社HPで募集を呼び掛けていることがあります。

しかしその多くは経験年数の壁を設けています。

入社したい制作会社に勤めるためにグロスと呼ばれる制作協力会社で経験を積む方も多くいます。

もし興味のある方は好きなアニメの制作会社を一度調べてみてはいかがでしょうか。

その後のキャリアについて

この仕事についた後のキャリアアップの道は?

制作進行はやる気と技術で多くのキャリアアップが可能です。

プロデューサーや制作会社を立ち上げるなど制作進行の知識を活かすも良し。

演出家から直接ノウハウを学び演出家、ゆくゆくは監督を目指すもよし。

狭き門ではありますがあなたの情熱次第でいくらでも道は開けるかと思います。

他の仕事にもこの経験を活かせる?

コミュニケーション能力が活かせる業務ですので、接客や営業経験のある方はその経験を活かせます。

その他にも進行業務の経験や事務職の経験も活かせる場所があります。

デキる制作進行とは

激務に追われるあまり制作進行はクオリティよりも納期を優先する傾向があります。

もちろんそれが悪いことでありません。

しかし忘れてはいけないのが制作進行はあくまで裏方だということです。

アニメは作画があってこそ。

いくら納期がきつくてもそれをやりくりし、作画スタッフにできるだけいい仕事をしてもらうのが制作進行本来の業務です。

自分本位に考えず、作画スタッフを第一に行動できるのが「デキる制作進行」というものです。

まとめ

アニメ制作進行はとてつもない仕事を処理しなければならない大変厳しい仕事です。

しかしそれだけに大変やりがいにあふれている仕事といえます。

制作進行を一度こなせば、「自分がこのアニメ作ったんだ」という大きな達成感を得られます。

アニメが好きな方はさらにアニメが好きになることでしょう。

アニメ制作進行は激務で薄給ですが大変魅力のある仕事であると私は思います。