2018年8月、東京医科大で、女子受験生の入試結果を減点して、女子の合格者数を3割以下に抑えようとしていたというとても衝撃的なニュースが飛び込んできました。

これは、女性には医師のような体力的に負担の大きい仕事は務まらないことや女性は妊娠・出産・育児などで現場を離れてしまうなどという、明らかに女性差別ともいえる理由からくるものだと報じられています。

世間的に大バッシングが起きている中、現役の看護師である筆者から見た医療現場、そして女医がもっと増えたらよいと思う理由を考えてみたいと思います!

皆さんはこの問題、どのように考えますか?

現役看護師が語る!逆に女性医師がもっと増えると良いと思う2つの理由

女性は受診しやすい

やはり女性にとって、診察で身体を見られたり、身体のことを相談するときに、女医さんのほうが診察を受けやすい、というのはあります。

同性ですから、同じ悩みを抱えているという場合もあり、患者さんが「自分の気持ちをわかってくれる」と思うことも多いようです。

診察が丁寧

女性のほうが、女性目線でよく気が付く、というのはあるかもしれません。

細かい作業も、女性のほうが得意だったりします。

女性は、重たい人の股関節脱臼を背負うのが難しくても、縫合がとてもきれいにできるということもあるのです。

もう10年ほど前になりますか、私が整形外科病棟で働いていたときのことです。

そこでは側弯症の手術も多く行われていました。

患者さんの大半が10代の若い子たちです。

側彎の度合いや手術方法にもよりますが、手術をするとどうしても大きく手術痕が残ります。

ある中学生の女の子が側弯症の手術を受けました。

術後の回診には私も一緒にいたのですが、担当した女医の先生が「大丈夫、傷跡が残らないようにテープできれいにしたからね。ウェディングドレスを着たってわからないよ。」とにっこり笑ったのです。

大抵の場合は針と糸を使って縫合するところを、その先生は代わりにテープを使って傷跡が残りにくくしたのです。

もちろんメリットデメリットがありますが、当時まだ新人で視野を広く持てなかった私にとって、とても衝撃の一言でした。

患者さんはまだ中学生。

病院へは病気を治しにきているのに、先生はそんなところにまで気がまわるのかと、とても感心したものです。

東京医科大の問題を受けて看護師の私が感じたこと

女性男性でできること、得意なことが違うのは当たり前です。

それはお互いにフォローし合えばいいだけの話です。

男性がセンシティブな相談を女性の先生には話しづらいのと同様に、女性だって胸に聴診器を当てられるのは男性の先生だと抵抗があるのです。

ちなみに私は現在歯医者に通院していますが、そこは女医の先生で、スタッフも全員女性。

そこの歯科医院はそのことをアピールポイントとして前面に出しています。

私個人としては、やはり同性のほうが受診のハードルは下がります。

妊娠・出産・育児をサポートする制度と、その実際

女性が敬遠されてしまう最大の理由としては、やはり妊娠・出産・育児というものがあると思います。

これは医師だけではなく、社会で働くすべての女性に言えることです。

では社会において女性は迷惑な存在なのでしょうか?

この問題を解決するには、かなりの時間がかかるでしょう。

むしろ完全な解決は訪れないかもしれません。

それほど難しい問題だからです。

10人の職場で5人がそれを理由に休まれてしまっては、現場が悲鳴を上げるのは当然です。

昔に比べれば、女性の社会進出、男性の育児参加が、行政による子育て支援サポートなど、様々なことが謳われるようになってはきましたが、日本はまだまだ仕事が第一優先の国です。

男性の育児休暇取得が権利としてあっても、実際に取得しているのはまだまだごくわずかでしょう。

子どもが熱を出したとしても、仕事を休みづらい、休めない人もいるでしょう。

海外では、日本よりも女医の割合は大きい

海外では家庭優先な考え方が主流だと聞きました。

例えば、手術が終業時間を超えそうであれば手術日自体をずらすということもあり得るといいます。

日本では考えられない話ですが、医療者側も患者側も「仕事とプライベートはきちっと分ける」という考え方があるからできるそうです。

私も看護学生の頃や新人の頃は、「勉強をしてこういう看護師になりたい」「そのためにはどんなに時間を使っても惜しくない」と仕事に燃えていたこともありましたが、今ではいかに定時で帰れるかが大事ですし、子どもの病気の際には心苦しいですがお休みをもらいます。

これは決していい加減に働いているのではなく、オフの時間はきちっともらう、その代わりできる時間は精一杯働く、ということです。

ですから、周りのスタッフが急に休んだり早退をしたとしても、それに対して不満には思いません。

現場は忙しくはなりますが、お互い様です。

海外では、例えば終業時間のために仕事内容を変更したり、勤務日数や勤務時間を減らす分給料も減らすなど、いろいろな「工夫」をして女性が働いています。

経済協力開発機構(OECD)によると、日本の女医の割合は約20%程度。

もっとも多いエストニアが約73%で、加盟国の平均は約40%というデータをみても、いかに日本の女医の割合が少ないかがわかるかと思います。

日本人は真面目なので、どうしても家庭より仕事が優先になってしまいます。

日本人として、そういった責任感の強いところは誇りでもありますが、やはり女性が社会進出していく上では、もう少し柔軟な考え方をしていかなければならないと思います。

様々な制度は整ってきています。

次に必要なのは、その制度を快く使えるような環境を整えることが必要なのです。

まとめ

今回の問題は、「点数を操作して合否を決める」ということについては決してあってはならないことですが、その理由を紐解いていくと、そんなに単純なものではありません。

医療の現場に限らず、これから女性がどのように社会で働いていけるかを、もっと深刻に考えていかなければならないことが浮き彫りになりました。

女性は妊娠・出産・育児があるから社会ではお荷物だ、という考えは、今の時代には合いません。

女性が自信を持って社会で働いていくためには、社会全体の意識改革が重要です。