この記事では、看護師を辞めて良かったと思う理由と、今度また仕事を始めるならどんな職場が良いかを紹介します。
看護師を辞めたいと思ってしまったことは、働いている人なら何回か経験しているのではないでしょうか。
しかし、辞めたいからと言ってすぐには辞められないのも現実です。
結局そのまま辞められずに心身共に疲れ休職に追いやられるまでに至ってしまうケースを、私は何度も見てきました。
疲れても踏ん張って乗り越えられる状況なら話は別ですが、心身共に壊れてしまうくらいならいっそのこと辞めてしまったほうが良いです。
もし今この記事を読んでいる人で同じような気持ちを持っているとしたら、どうか最後まで読んでほしいです。
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看護師の仕事を辞めたいと思うほど大変だと感じるのは、ここ!
先程、看護師の仕事を辞めたいと感じることは誰にでもあるのではないかと述べました。
かく言う私も実際に何回も、いえ何百回も辞めたいと感じていましたし、看護師ならよくあることでしょう。
ではどんな時に辞めたいと思うのか、その理由をいくつか紹介していきます。
残業がかなり多い
病棟勤務の看護師は始業時間が8:30、もしくは9:00が基本ですが、その前に受け持ち患者の情報収集をするので、30分~1時間前にはナースステーションにいます。
しかし終業時間ギリギリになって「入院」や「急患」が来てしまい、1時間以上残業をすることになってしまうことも多々あります。
部署によっては終業時間ぴったりに帰れる所もありますが、そんな良い部署は稀です。
「夜勤の看護師に任せることはできないの?」と思うかもしれませんが、夜勤の看護師には夜勤帯ならではの業務があるので、任せることはできないのが通例でしょう。
結果として、終業時間を超えても仕事をすることになります。
上司の機嫌に左右されること
先程述べた「残業がかなり多い」という件に関しては、大変ではあるものの残業代が貰えればなんとか我慢できる人もいます。
ただ「上司の機嫌の良し悪しに左右されること」に関しては、残業の件とは全く違う大変さを持っているのです。
上司も人間なので、日によって気分が違うのは当然です。
実際に私も、日によって調子の良し悪しがありました。
ただこの機嫌や調子の良し悪しに一番左右されてしまうのは、他でもなく後輩や部下です。
例えば日勤のリーダーの機嫌が理由も分からず悪かったとします。
すると特に新人看護師は「今報告すると余計だと思われて怒られるかもしれない」と感じてしまうでしょうし、ナースステーション全体の空気も一気に悪くなります。
復元の理由が分からないまま悪くなってしまった空気を良くすることは、かなり難しいと考えてください。
看護師同士の人間関係
仕事をする上で「この人とは合わないな…」と感じることがありますよね。
そんな人と出会ったとき、あなたならどのように対処しますか?
看護師に多いのは「陰口」「陰湿な嫌がらせ」です。
職場にもよりますが、嫌になるほど本当に多いのです。
あくまで私の経験上ですが、陰口や陰湿な嫌がらせをしているのは中堅レベルの看護師が多かったですし、そういう人はナースステーションの裏のボスのような人ばかりでした。
私がいた部署では特にママさん看護師に対する陰口が多かったように思います。
「あの人は時短(時間短縮勤務の看護師)だから仕方ないんだけどさ、大きな仕事だけ残して帰らないでほしいし、少しくらい残ってやっていけるでしょ」「尻拭いは私達がやってあげているのにお礼の一つもないのね」のようなセリフは当たり前でした(もっと酷い悪口があるのですが、ここでは書けません…)。
「好きで時短になったわけではないだろうし、大きな仕事を残してしまうくらい大変な受け持ちをつけてしまったのはあなたでしょうに」と言いたくなることはありましたが、そんなことを言えば次の標的にされてしまう怖さがあったので言えませんでした。
このような人間関係はよくあることですし、これよりもっと酷い嫌がらせを受けている看護師もいます。
患者さんのために働いているはずなのに、看護師同士の人間関係で大変だと感じてしまい疲れてしまうのは本当にもったいないことですよね。
患者の死の経験を克服すること
入院施設のある病院で働いている人なら一度は経験したことがある「患者さんの死」。
入院日数が長い患者さんであればあるほど看護師との信頼関係は深まっているでしょうし、多くの思い出があります。
抗がん剤を投与している患者さんであれば入院サイクルがあるので、一回ではなく数回入院することが多いです。
そのような患者さんが急変し、万が一亡くなってしまうようなことがあると、看護師も辛くなってしまいます。
ただ看護師は原則として患者さんが亡くなった時に泣くのは好ましくないので、泣くことで辛さを軽減させることはできません。
私の同期がCCUに勤めていた時、次々と患者さんが急変し亡くなっていくことに耐えきれずに死後処置などの全ての業務が終わった後に休憩室で涙が出てしまったことがあるそうなのですが、その時上司に「あなたが泣いて何か変わるの?泣いて乗り越えようとするのはやめなさい」と言われたそうです。
その上司の言いたいことはとてもよく分かるのですが「少しくらい泣かせてくれよ」という気持ちだったそうです。
このような上司もいるので、自分なりの克服の仕方や乗り越え方を見つけておく必要がありますね。
このようにいくつか大変だと感じる瞬間を紹介しましたが、特徴として肉体的な大変さよりも精神的な大変さのほうが勝っているようです。
看護師の仕事は人と接することが他の業種と比べて遥かに多いので、それだけ心にかかる負担やストレスが多いことが分かりますね。
実際に看護師を辞めてしまった人の理由には「職場の人間関係」はほぼ必ずと言って良いほど含まれています。
仕事に対しての給料が見合わない
看護師はとてもハードな仕事です。
そのため正直もっと給料を貰っても良いのになぁと思うことはあります。
残業した時や休憩が取れない時はその分も貰いたいというのが本音です。
しかし実際はそうもいきませんよね。
患者さんやその家族とのトラブル
最近は「モンスターペイシェント」と呼ばれる、人格的に問題のある患者さんやその家族も増えてきました。
看護師をまるで召使のように扱ったり、一挙手一投足全てに関して揚げ足を取ったり、逆切れして暴言を吐き相手が屈服するのを楽しんだりするような質の悪い人もいます。
常識的な患者さんであっても、病気やケガで気持ちが滅入っている時には心穏やかではいられないことが多いもの。
医師には言いにくい不満やイライラを、直接看護師にぶつけるような患者さんもいます。
「患者さんも辛いんだ、苦しいんだ」と分かっていますし、これが自分の仕事なのだと自らに言い聞かせるのですが、あまりにも度重なると辞めてしまいたいと思うこともありますね。
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看護師を辞めて良かったと思う5個の理由
ここからは実際に看護師を辞めて良かったと思う理由を紹介します。
よく看護師を辞めると一般企業には勤められなくなると聞きますが、誰がそんなことを決めたの?と訊きたくなります。
ただ現実問題として、看護師自体を辞めてしまうことで発生するデメリットも存在します。
ほぼ確実に感じることは「貰える給与が低くなる」ということ。
これは覚悟しないといけないことかもしれませんが、それと同じくらい辞めて良かったと思えることもあります。
ここでは、私が辞めて良かった理由についてご紹介します。
規則的な生活を送れるようになったから
看護師の勤務は病棟勤務だとシフト制で組まれていることがほとんどです。
そのため月の休みの数は守られていても、まとまった休みが取れなかったり土日も出勤だったりと変則的な勤務になりがちです。
更に病棟で働いている看護師なら「夜勤」「遅番(準夜勤)」「早番」などがあるので、生活はより不規則になります。
このような不規則な生活を送ると心身ともに疲れがちになってしまうため、看護師を続けていくには心と体のリズムを整える自分なりの技術が求められるのです。
そこで看護師を辞めてシフト制ではない企業に勤めると生活が不規則ではなくなります。
一般企業は土日が休みかもしくは平日のどこかと日曜日が休みという固定になっている所がほとんど。
看護師自体を辞めた経験者からすると、かなり楽ではあります。
目標に向かってどのように進んでいくか計画を立てたりすることは看護師という仕事柄沢山考えてきたことですし、固定の休みであれば余計に計画が立てやすいでしょう。
人の死を目の当たりにしなくなったから
辞めて良かったと思える理由というより、辞めてホッとしたと思えることと言ったほうがニュアンスは近いでしょう。
誰かの死を進んで目にしたいと思う人はいませんよね。
ただ看護師の仕事を続けていれば嫌でも患者の死に立ち会うことがあるでしょう。
それが耐え切れずに辞めてしまった人にとっては、人の死を目の当たりにしなくなって良かったと思えます。
人間関係に悩まされなくて済むようになったから
これは看護師を辞めた後で起業をしたりノマドワーカーやフリーランスになった人がよく思うことです。
実際に私も人間関係に悩まされ現状フリーライターとして働いていますが、看護師時代と比べると明らかに人間関係の悩みは減りました。
もちろんフリーライターになったからと言って人間関係の構築がなくなることはありませんし、私も人と関わること自体は好きです。
ただ、看護師時代に比べると圧倒的に「聞かなくても良い話を聞く機会」は減りました。
これは私にとって本当に嬉しいことの一つでした。
その分ストレスも減り、心も疲れる前の状態にまで回復したので、こうしてフリーライターとして様々な記事を執筆させてもらえています。
人間関係でストレスが全くないことはあり得ませんが、余計なしがらみや機会に悩まされる必要はないでしょう。
腰痛が軽減したから
看護師の仕事は肉体的な大変さよりも精神的な大変さのほうが勝っていると先程述べましたが、全くないわけではありません。
看護師の肉体的疲労で最も挙げられるのは「腰」です。
看護師の仕事は頭も使えば心も遣います。
しかし一番使うのは体です。
夜勤などの拘束時間が長いときに万歩計をつけてみると、数万歩カウントされていることがざらにあります。
また患者の搬送や清潔ケア、移乗時には腰をかなり使うので、慢性的に腰痛を訴える人は多くいます。
看護師を辞めれば確実に腰痛が治るとは言い難いのですが、負担は軽減するでしょう。
自分の趣味の時間を増やせるようになったから
新人看護師やまだ経験の浅い看護師のほとんどは、家に帰ってもゆっくりはできません。
今日習ったことや分からなかったことなどを復習して勉強する時間を確保する必要があるので、言わば自分の時間を削って仕事の続きをしているのです。
看護師自体を辞めてしまえば自分の趣味に時間を費やせるようになるので、仕事と趣味を両立させることは看護師でいる時よりも楽かもしれません。
以上のことから、看護師を辞めると良かったと思える理由に共通しているのは「自分の生活スタイルが楽になった」という点でしょう。
生活スタイルを犠牲にして給料をしっかり貰うか自分の体を大事にするかはその人次第なのですが、究極なのは両者のバランスが良くなることが一番ですね。
また看護師をやるなら、こんな職場がおすすめ!
看護師を辞めたけど、どうしてもまた看護師をやりたいと考えている人もいますよね。
お世辞抜きでとても尊敬します。
そんな人に、どんな職場がおすすめか紹介します。
辛い経験をまた繰り返すことなく今度こそ素敵な看護師として活躍してほしいので確認の意味も込めてぜひご覧ください。
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不規則な生活がNGな人は病院の外来、クリニックがおすすめ
不規則な生活が続く病棟で働いて体を壊してしまった人は、次は外来かクリニックで働くことをおすすめします。
よく「病棟で働いた経験があってもクリニックや外来は別世界だから」と聞きますが、これもまた誰が決めたのでしょう?
確かに業務内容は違うかもしれませんが、外来で働いている人たちも全員が最初から外来勤務だったわけではないはずです。
最初は慣れないかもしれませんが、それはどこに就職しても同じですので、安心して外来やクリニックで働いてみましょう。
休みも固定で残業も入院棟ほどではないはずですし、日勤だけなので規則正しい生活が送れるでしょう。
人間関係に悩んで辞めてしまった人は訪問看護ステーションなどがおすすめ
人間関係で悩んでしまった人には、看護師同士の関わりが必要最低限で済む訪問看護ステーションなどをおすすめします。
訪問看護ステーションの場合在籍人数も少ないため、お互いをよく知っている者同士で働いているところが多いです。
また、同じような境遇で病棟看護師を辞めた人もいます。
更にほとんどのステーションの看護師がベテランなので、人間関係のゴタゴタが面倒くさいことを知っています。
もう一つ加えるのであれば、訪問看護では看護師同士よりも利用者と関わることが多いです。
ステーションに戻ってくることも少ないので、人間関係も良い意味でさっぱりしていますよ。
身体的に厳しい人は治験コーディネーターなどがおすすめ
患者さんや在宅の利用者を看護することが身体的に厳しい人には、治験コーディネーターなどがおすすめです。
この仕事は「治験」という臨床試験が滞りなく行われているかどうか、看護師の目線で見て報告書を提出したり、管理について治験所の担当者と調整をすることがメインの仕事です。
働く場所は主に医療機関になりますが、移乗の補助や清潔ケアなどはありません。
特に資格等がなくても働けますが、治験の薬剤への理解やそれを各所に説明することが必要になるので、今まで身につけてきた医学的知識が役に立つ職業です。
入職してみないと分からないこともある
ここまでおすすめの職場を紹介してきましたが、これら全てがどの職場にも当てはまるとは限りません。
また同じような悩みを抱えてしまうことも0%ではないということだけは覚えておいてほしいです。
もし同じ過ちを繰り返したくない人は、面接でしっかりと退職した経緯と就職後の希望を伝えましょう。
そして気になることはしっかりと訊きましょう。
また看護師として戻る場所を決めるのは他でもない自分です(急に突き放すような言葉を述べましたが、事実です)。
しっかりと見定めて新しい看護師人生を歩んでくださいね。
退職を申し出てから後悔しないためにしておきたいこと
退職を申し出てから、または実際に退職してから後悔することが多いかもしれません。
「何故あの時我慢できなかったのか…」「今ならできるのに」なんて思いがちになってしまいますが、正直に言うと辞めてからでは「後の祭り」です。
そうならないためにも、退職を申し出る前行うべきことも紹介しておきますね。
金銭的な後悔をしないために次の就職先を決めておこう
退職を申し出てから次の仕事を探すなんてことはしないように!
退職してからかかるお金は意外と多いです。
そして退職してから入職するまでの期間に空白ができると税金が絡んできます。
今まで会社に任せていたことを、全て自分でやらないといけなくなることも。
フリーランスとして働くことを選ばないのであれば、絶対に次の就職先を見つけてから退職を申し出ましょう。
感謝すべき人にはしっかりと挨拶をする
これは私自身が感じたことです。
私は休職の後に退職をしたので、最後の最後までお世話になった先輩に感謝を伝えることができませんでした。
後日その先輩が心配していたということを知り、「きちんと感謝の気持ちを伝えれば良かった」と今でも後悔しています。
私と同じような想いを抱えないように、感謝の気持ちはしっかり伝えておきましょう。
まとめ
以上、看護師を辞めて良かったと思う5個の理由の紹介と、また看護師として働き始める時におすすめの職場をご紹介しました。
冒頭でも述べましたが、本記事は決して看護師を辞めることを勧める記事ではありません。
本当に辛いなら違う選択肢もあるのだ、ということを再確認してほしいという想いで書かせていただきました。
これを読んだあなたが新しい道で沢山輝けますように応援しています。