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皆さんは水産仲卸ときいてどのような仕事を思い浮かべますか?
イメージするのは市場や漁港で働く海の男、という感じでしょうか?
実は水産仲卸という職種の仕事は非常に幅広く、1次産業から3次産業まで世間の多くの面に携わっています。
今回は普段は何気なく目にしている部分から、一般の人では目にすることができない部分まで水産仲卸の仕事を一日の仕事の流れを交えながらご紹介いたします。
ざっくりと説明すると水産仲卸とは「市場で魚を買い、小売店に売る」という仕事です。
卸売業(市場内で水産物を販売する業者)と小売業者(飲食店など)を仲介する性質を持つことから「仲卸」と呼ばれています。
水産仲卸の仕事は大きく分けて、「セリに参加し水産物を購入する」「自社に持ち帰り加工する」「顧客の元へ配達する」という3段階に分かれています。
ここではその3項目を軸に、水産仲卸会社の仕事を実際の時系列順に解説いたします。
仲卸業者に限らず水産関係の業者の仕事はとても朝が早いです。
セリの開始時間は各地域で異なりますが、筆者が働いていた地域では朝5時からセリが開始されていました。
しかし実際に市場に行くのはそれよりもはるかに早く、朝3時には市場に到着していました。
これには理由があり、セリが始まるずっと前の時間から市場にはすでにたくさんの水産物が並んでいます。
その日その時によって水揚げ量というのはバラバラなので、自分が必要とするような水産物が市場に並んでいるのかをまず確認しなければならないのです。
もしも数が足りなそうであれば、顧客に連絡をし「今日は〇〇が入っていないので手に入らないかもしれません」というような連絡をするのです。
また魚の状態というのは一匹一匹で違うものなので、その日に自分が目当てにしている水産物の状態を確認し、最も質の良いものに狙いを定めるのです。
これを目利きと言います。
市場での業務は人間関係が非常に重要になり、目利きができなくても市場の人と仲良くなれば、その日の質の良い魚を代わりに選んでくれたり、水揚げ量の少ない魚はセリに出るまえにこっそり取り置きをしてくれたりという恩恵を受けることができます。
悪く言えば癒着ですし、正規の仕入れ方ではないのですが、よく言えば人情がものをいう仕事なのです。
みなさんはテレビなどでセリの様子を見たことはあるでしょうか?
筆者が初めて市場で見たセリの光景は、「拡声器でよくわからないことを叫ぶ人と、その周りでこれまたよくわからない札に数字を書いて掲げる人達」でした。
早口で何を言っているかわからないうちにどんどんと魚が売れていく様子にはただただ圧倒されていました。
しかしこれにはれっきとした理由があり、非常に理にかなったやり方だと働いているうちに実感しました。
水揚げされた水産物は時間とともに品質がどんどんと低下してしまうので、一刻も速くセリを終了させなければならないためです。
そのためにあの独特の口調と早口が生まれ、息もつかせぬうちに魚が売れていくというシステムが出来上がったのです。
水産仲卸で働くためにはセリのスピード感についていけるだけの瞬発力は不可欠と言えるでしょう。
セリで購入した魚は一旦自社に持ち帰り、顧客に納品するための下処理を行います。
下処理の方法は主に、腹だし(魚の内臓を取り除く作業)、うろこ取り、頭落とし、3枚卸し、小骨取り、一口サイズに切り身、などです。
どのような状態まで下処理を施すかは顧客によって好みがありますが、腹だしはどの顧客相手でも必須の作業になります。
魚の内臓というのは特に劣化が早い部位で、急いで取り除かなければそこからどんどんと臭みが出てしまい、さらにはその臭みが身にまで浸透してしまうのです。
そのため市場から持ち帰った魚はなにはともあれまずは腹だしを行うことになります。
会社によっては加工専門のスタッフがいる場合もあり、セリはセリ担当、加工は加工担当と完全分業制になっている企業も多いです。
しかし地場の零細企業などは少ない人数で運営していることがほとんどなので、セリ担当と加工担当が線引きされておらず、自分で競り落とした魚は自分で加工しなければならない場合もあります。
そういった会社で働くときは、ある程度の包丁技術も身につけておかなければなりません。
筆者が働いていた会社は自分で競り落とした魚を自分で加工し、さらには顧客の元へ自分で配達するというシステムでした。
すべて自分でやらねばならないので大変ではありましたが、その分商品に自信と責任を持つことができ、自分の担当する顧客には堂々と「これはいい商品です」と言えていました。
自社で下処理をした魚はそれぞれの顧客のもとへ配達します。
主な顧客はお寿司屋さん、魚屋さん、その他飲食店などです。
中には病院や学校給食用の給食センターなども顧客に含まれることがあります。
そういった顧客の場合はすぐに調理ができるように、一口サイズに切り分けて納品することになります。
顧客によっては非常に頑固な職人肌の人もいて、そういった顧客に対しては細心の注意を払いながら下処理と配達を行わなければ、商品自体を突き返されてしまうようなこともあります。
顧客への配達が終了したら、自社に戻り作業場と配送車の清掃を行います。
腹だしやうろこ取りなどで床や壁は想像以上に汚れており、また配送車も魚の地や破片が付着したりしているので念入りに清掃する必要があります。
特に夏場は清掃を怠るとすぐに悪臭が発生したり、最悪の場合、食中毒の原因になってしまうこともあります。
清掃が終了したら翌日の準備です。
だいたい15時ごろから各顧客より翌日の納品注文が届くので、翌日にセリで購入すべき魚の種類や数量をまとめていきます。
この作業がおわれば一段落となり、イレギュラーな仕事が発生しなければ帰宅ということになります。
水産仲卸会社で働く上で、最も重要なのはこれではないでしょうか?
とにかく朝が早いので、起きるのが苦手な人はかなり厳しいと言えるでしょう。
地域や各企業でまちまちでしょうが、筆者は毎日午前2時に起きていました。
元々朝が強いほうではなく、本当に毎日起きるのがつらかった記憶があります。
人付き合いにおいてバランス感覚というのは重要です。
特に仲卸の仕事は市場のたちと小売店の人達の両方と接します。
市場の人たちはざっくばらんで他人との距離が近い人が多いです。
そういった人たちと接するには自分も壁を取り払い相手との距離を縮めていく必要があります。
まじめで丁寧な人はともすると「堅苦しい」「ノリが悪い」などと評されてしまうことがあるので注意が必要です。
逆に小売店の人たちは自分にとってお客さんであるので、節度をもって丁寧に接する必要があります。
またそういった小売店の人たちは接客業の人たちなので、やはり礼儀やマナーには敏感です。
市場の人達と接するような感覚では「失礼なやつ」ととられかねません。
このように、接する業界の違いによって、同じ対応をしたとしても良くない印象を抱かれてしまうこともあるのでバランス感覚が重要になります。
市場での目利きや、水産物の加工などのように職人的な仕事内容もあります。
このような仕事では専門的な知識や技術を習得する必要があるので、日々の業務が「修行」的な意味合いを持ってきます。
そのような業務を「日々精進」の精神でこなしていける人はこの仕事に向いているといえるでしょう。
顧客への配達のために配送車を運転することが多いですが、配達の時間というのはトータルすると比較的長いです。
運転が嫌いな人にはそういった時間は苦痛となるでしょうが、反対に運転が好きな人には楽しい時間となるでしょう。
水産仲卸会社で働いていれば必然的にたくさんの種類の水産物に触れることになり、それぞれの特徴や情報などを自然と覚えていきます。
また市場に出入りしていることにより、その魚の一番おいしい季節を知ることができるようになります。
また目利きの仕方などを覚えればスーパーや魚屋さんで魚を買う時に非常に役に立ちます。
一般のお店などには出回らない、それこそ高級料亭にまわっていくような高級魚でも、水産仲卸会社で働いていれば食べる機会があります。
市場の人から余りものと言ってもらったり、加工のための調整で端材が出たりして従業員みんなで食べるという機会があるからです。
そういった際には一般の家庭ではなかなか食べることができない非常に高級な魚なども出てくることがあるので、それは完全なる役得と言えるでしょう
水産仲卸での仕事は専門的な知識や技術を得られることから他の職種でも大いに役に立ちます。
市場で培った魚の知識や価格の情報、本当にいい商品の選び方などは飲食店のコンサルタント業務に活かすことができます。
自分が体験して培った生の情報をもとにすれば、飲食店へのにコンサルタント業務にもいっそうの説得力を持たせられます。
水産会社で培った包丁技術がそのまますぐに板前さんなどの技術として通用するわけではないですが、本格的に食の道を目指そうとする人にとってはプラスに働くと言えるでしょう。
また自分でお店を開くときには旬の魚の知識があることでお店のメニューに活かすこともできますし、水産物の仕入れ相場を知っていることで適正価格で仕入れが出来たり、卸業者と値段交渉ができたりと大いに役に立つでしょう。
水産仲卸会社を選ぶ上で雇用形態は非常に重要です。
比較的大きな会社であれば正社員、契約社員、アルバイトと雇用形態がしっかりと分けられています。
そのような会社では、仕事内容によって分業制が敷かれていることが推測されます。
また反対にあまり大きくない会社であると、全員が正社員という雇用形態で、自分の仕事を一から十まで全て自分でしなければならないという会社もあります。
ただ、そのような会社では仕事の流れを自分で決められるというメリットもあるため、どちらが良いとは一概には言えません。
どのような取引先を抱えているかというのも会社の業態を図る上で重要なポイントになります。
例えばファミリー向けの飲食店を多く抱える会社では、求められるのは「比較的安価で数量の安定した水産物」となります。
逆に高級料亭やお寿司屋さんを顧客として抱えている会社では「料金は高くても質の良い水産物」が求められることになります。
これだけで市場での立ち回り方も随分変わってきます。
会社の収益形態を推測すると前者は薄利多売型、後者は高利益型となるでしょう。
残念ながら早朝から勤務していることを考えると、一般的には水産仲卸会社の給与相場は高いとは言えません。
しかし業務内容や勤務形態によって、給与と比較して「悪くない」と思える会社もあるかもしれません。
例えば分業制が敷かれているような会社では、「覚えることも多くなく、何回毎日やることも同じだので楽だ」と思える人もいるでしょう。
どこを重要視して会社を選ぶかは人それぞれですので、様々な観点から会社を判断してみましょう。
水産業界の人達は良くも悪家族のような付き合い方を望む人達が多く、会社一つが大きな家族のような絆を持つことがあります。
そのためにサービス残業や長時間労働が容認されがちになるのは、今のご時世ではあまり好ましいことではないでしょうが、 職場での人間関係が希薄になりがちな現代において温かな絆を得ることができるのは、お金には代えがたい経験ではないでしょうか。
またこの業界の人達は世話好きな人が多く、その日に余った魚を加工してお土産にしてくれたり、事務員さんがおにぎりを持ってきてくれたりということもよくあります。
筆者が働いていた会社では毎日事務員さんがご飯を炊いてくれて、従業員がその日余った魚でまかないを作っていました。
一時期は毎日お昼にお寿司が出るというようなこともあり、とても贅沢な 日々を過ごさせていただきました。
通常スーパーで買うと何千円もするような高級魚をお土産に持って帰らせてくれたりといったこともあり、この業界で働かなければ味わえないような喜びを得ることが出来ました。
そういったお金に換算することができない社風や社長さんの人柄なども会社を選ぶ上で参考にしてみるのもいいでしょう。
水産仲卸業は1次産業(生産者)と3次産業(小売店)をつなぐ大切な職種です。
労働条件や給与など厳しい面もありますが、その分だけお金では換算できない経験や専門的な知識を得ることができます。
少しでも興味がある人はまずはアルバイトから始めてみてはいかがでしょうか?
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