パソコンインストラクターというと、大抵の人はパソコンを教える人というイメージを抱くでしょう。

それは間違ってはいませんが、不足している情報が多々あります。

パソコンインストラクターは人にパソコンスキルを教えるだけが仕事ではありません。

他の仕事についても知っておかないと、仕事を始めてから「こんなはずじゃなかった!」となってしまいます。

今回はパソコンインストラクターの仕事についてや、パソコンインストラクターになるために必要な資格、スキルなどについて解説します。

パソコンインストラクターってどんな仕事?

パソコンインストラクターは、PC(パーソナルコンピューター)の使い方や、専門的な各種ソフトウエアの使い方を教えるのが主な仕事です。

しかしそれ以外にも、たくさんの仕事があります。

生徒さんとコミュニケーションを取ったり、パソコンスクールにかかってくる電話に応対したり、スクール見学をする人に説明するなどの接客業も、仕事のひとつです。

また、生徒さん用の補助教材や講義内容を作成したり、テストの採点や掃除など、パソコン教室の運営に関するさまざまな事務的な仕事や庶務雑務も、パソコンインストラクターの仕事となります。

パソコンインストラクターになるには?

パソコンインストラクターになるにあたり、学歴や資格が直接問われることはほとんどありません。

パソコン教室やパソコンスクールが主な活躍の場所となるため、それらの求人に応募して就職するというのが一般的です。

ただ、パソコンインストラクターは「パソコンの使い方を人に教える」という仕事がメインである以上、一定レベルのパソコン操作スキルを身につけている必要はあります。

パソコンインストラクターにはどんな資格が必要?

パソコンインストラクターになるために、絶対に必要な資格というものはありませんが、持っていれば有利になるという資格はいくつか存在します。

それらについて以下に解説します。

「パソコン技能検定2種試験」の資格

パソコン技能検定は、文部科学省後援の全情協(財団法人 全日本情報学習振興協会)が主催する検定試験です。

前身である「日情検」から数えると20年以上の歴史がある試験で、累計受験者数は120万人を超えています。

1級から6級まであり、マイクロソフト製アプリケーションソフトMicrosoft OfficeのWord、Excelを用いたビジネス文書作成能力を測定します。

試験は実技のみで、パソコン上で行われます。

また、2018年には1級の更に上位級として、「インストラクター資格認定」クラスを追加することが発表されました。

「パソコン技能検定2種試験」の資格取得ルート

まずは3級か2級にチャレンジして、合格したら1級ないしはインストラクター資格認定を受験するのがよいでしょう。

3級~1級は受験資格は特にはありません。

インストラクター資格認定のみ、申込時に満20歳以上という年齢制限があり、それに加えて次のような受験資格があります。

  • パソコン技能検定2級以上の合格者
  • MCAS・MOSスペシャリスト以上の合格者
  • パソコン指導実務経験3年以上で、かつ指導実務時間が年間100時間以上

合格率はどれくらい?

3級以降は中学生や高校生でも合格できるレベル、2級はビジネス中級、1級はビジネス上級レベルとなっています。

2級の合格率は73.2%です。

「パソコンインストラクター資格認定試験」の資格

パソコンインストラクター資格認定試験は、教える能力や生徒さんに接する態度、教材作成スキルやインストラクション能力など、パソコンの高度な指導技能を持っていることをチェックする検定試験で、1級と2級があります。

2002年からスタートしましたが、特にシニア世代の生徒さんの特性を理解し、シニア世代とITという情報技術の橋渡しができる人材育成に力を入れており、シニア世代に優しいパソコンインストラクター養成を目指しています。

受験資格

申込時に満20歳以上で、パソコン技能検定2種試験2級以上の合格者、MCAS・MOSスペシャリスト以上の合格者であること。

また2級受験者は、パソコン指導実務経験1年以上で、かつ指導実務時間が年間100時間以上であること。

更に1級受験者は、パソコン指導実務経験3年以上で、かつ指導実務時間が年間100時間以上であること。

「パソコンインストラクター資格認定試験」の資格取得ルート

まずは2級にチャレンジして、合格したら1級を受験するのがよいでしょう。

合格率はどれくらい?

合格率は未公表となっていますが、試験自体の難易度はそれほど高度ではありません。

むしろパソコン指導実務経験や指導実務時間など、受験資格を得ることに力を注ぎましょう。

「MOS/MCAS(Microsoft Office Specialist)」の資格

MOSは、マイクロソフトが認定するMicrosoft Officeに関する国際資格です。

Microsoft Officeの基本操作ならびに応用的な操作を実践的に行う資格で、Officeの各バージョンならびに各アプリケーションごとに試験が分かれています。

なおMOS、MCAS、MOUSともに同じ試験で、名前の違いはバージョンの違いにすぎません。

合格者は一律にマイクロソフト オフィス スペシャリスト(Microsoft Office Specialist)の称号が与えられます。

レベルはWordとExcelのみスペシャリストレベル(旧一般コース)とエキスパートレベル(旧上級コース)の2つに分かれています。

国籍や年齢を問わず、誰でもチャレンジできます。

「MOS/MCAS」の資格取得ルート

まずはスペシャリストレベルに挑戦して、合格したらエキスパートレベルを受験するのがよいでしょう。

合格率はどれくらい?

合格率は公式としては発表されていませんが、スペシャリストの合格率は約80%、エキスパートの合格率は約60%といわれています。

いずれにしろ、合格基準点は700点以上といわれています。

「アドビ認定アソシエイト(ACA)」の資格

アドビ認定アソシエイト(ACA)は、アドビシステムズ社が公認する国際認定資格で、デザイン系のアプリケーションの認定試験です。

試験はアドビのアプリケーションごとに独立していて、資格は科目ごとに認定されます。

国籍や年齢を問わず、誰でもチャレンジできます。

「ACA」の資格取得ルート

PhotoshopとIllustratorは別の資格試験となりますので、2つとも取得したい人はそれぞれを受験する必要があります。

合格率はどれくらい?

合格率は未公表となっています。

合格がそのまま就職に有利となるわけではなく、あくまでもアプリケーションが分かり、ひと通り使えるという第三者視点での認定にすぎませんので、バリバリ実務でデザイン系ソフトを使っているグラフィックデザイナーさんからすると、あまり役には立たない資格といえるかもしれません。

パソコンインストラクターになるために勉強しておくべきことは?

パソコンインストラクターになるためには、資格試験に合格する以外に必要なものはあるのでしょうか。

パソコンインストラクターになるのに必要な勉強について、解説します。

パソコンに関連した知識や情報のチェック

パソコンインストラクターならば知っているだろうと、生徒さんは今買うべきパソコンやパソコン絡みの最新トピック、パソコン関連ニュースなどをパソコンインストラクターに尋ねてきます。

そのため、パソコンインストラクターはパソコンの動作環境や販売価格など、電気屋のパソコンコーナーにこまめに通ったりネットを見たりして、あらかじめチェックしておかなければなりません。

せっかく尋ねられても的確な返答ができなかった場合、パソコンインストラクターとしての信頼度が下がってしまうので、パソコンインストラクターは最新知識や情報をブラッシュアップして、パソコンに関しての知識を蓄積しておく必要があります。

教材内容や予備知識の把握

講義が終わると、生徒さんは活発に質問をしてきます。

どの生徒さんもスキルアップを目指してパソコンスクールに通ってきているので、とても研究熱心です。

そのため、パソコンインストラクターは教材やテキストの記載内容だけではなく、それに関連した周辺知識や予備知識を事前に把握しておきましょう。

もしその場で即答できない質問があった時には、あやふやな回答をせずに次に会う時までの宿題にして、自分できちんと調べて正確な返答ができるようにしておきましょう。

そうすることで、生徒さんにも正しい知識を教えられるだけではなく、自分自身にとっても良い勉強になります。

忍耐力と丁寧な対応

同じ講義をしても、飲みこみが早い生徒さんもいれば、なかなか理解できない生徒さんもおり、生徒さんの理解力や理解速度は千差万別です。

また年配の生徒さんになればなるほど、すぐに理解することが難しくなり、たとえ一度は理解できたとしても翌日には忘れてしまうというケースも多くあります。

パソコンインストラクターは、生徒さんひとりひとり異なる目的を持っており、上達速度も違うと十分認識しておかなければなりません。

また、理解速度が遅い生徒さんに対しても常に笑顔で接し、生徒さんが理解できるようになるまで、何度でも繰り返し同じことを伝えるだけの忍耐力を身につける必要があります。

途中でイライラした態度を取ってしまったり、理解できない生徒さんを見捨ててしまうようでは、パソコンインストラクターに向いているとは言えません。

常に生徒さんの立場になって物事を考え、生徒さんから感謝されるようなパソコンインストラクターを目指しましょう。

パソコンインストラクターの就職先や募集状況は?

パソコンインストラクターは、どのような就職先があるのでしょうか。

また募集状況はどうなっているのでしょうか。

主な就職先や募集状況について解説します。

パソコンインストラクターの主な就職先

パソコンインストラクターの主な就職先には、以下のようなものがあります。

民間のパソコンスクール

パソコンインストラクターの主な就職先は、民間のパソコンスクールです。

スクールを運営する上での責任者候補として入社し、生徒さんに対して指導をしながら、スクールの運営やマネジメントに関するスキルを高めていくのが一般的です。

全国にたくさんのパソコンスクールがありますが、その規模や生徒数はさまざまで、大企業から個人経営のスクールまであります。

企業向けの研修インストラクター

企業向けの研修で、中小企業や個人事業主を相手に、企業経営に役立つパソコンの使い方やスキルを教えます。

WordやExcel、PowerPointの実用的な使い方だけではなく、インターネット上で商品を販売するサービスの方法やECサイトの開設の仕方、出品のやり方などについても講義して欲しいというニーズもあります。

教育機関の職員

専門学校や大学のIT関連部門に籍を置き、学生相手に構内でのパソコンの利用方法を教えることもあります。

具体的には、研究発表のためのプレゼンテーション資料の作り方やレポート作成方法など、学生生活に必要なソフトの使い方を教えます。

また構内のネットワークを利用するためのネットリテラシーの講習をすることもあります。

パソコンインストラクターの働き口はどの程度あるの?

パソコンインストラクターの就職先は、パソコン教室やパソコンスクールが主ですが、全国各地にパソコンスクールはありますので働き口としては多いといえるでしょう。

ただ、パソコン教室やパソコンスクールは規模や生徒数も千差万別で、大手から個人経営まで幅広いです。

またパソコンスクールによってもカラーや得意分野が異なるため、自分にフィットしたパソコンスクールはどこなのかを綿密に検討する必要があります。

それらに加え、通勤時間や通勤圏内、業務時間や残業の程度、給料面や福利厚生の点をよく比較検討して、就職先を探すようにしましょう。

パソコンインストラクターの転職事情

パソコンインストラクターとしてのさまざまなスキルを身につけ、転職したい場合には、同じ業界であれば独立してフリーで仕事を請け負うという可能性があります。

独立する時は、自身でパソコン教室を開校するケースと、教室を持たずに営業をし、相手のところに出向いて講義を行うケースがあります。

教室を持つ場合は、固定資産を持つということが強みである一方で、生徒さんをある程度集めなければならないというノルマも発生します。

また雇われ先で講習会を開いたり、企業や学校のパソコンインストラクターとして特定の時間を受け持つ場合には、教室を持たないことで固定資産を有しないことが強みとなりますが、その分自分を売り込んで雇ってもらわなければならないという営業スキルが必要になります。

パソコンインストラクターの仕事に興味がある方へ

今回はパソコンインストラクターの仕事や、パソコンインストラクターになるために必要な資格、スキルについて解説しました。

どの仕事にもいえることですが、最初から全てを上手にこなせる人などいません。

生徒さんに教えながら、自身も日々学習し成長していくことで、立派なパソコンインストラクターになっていくのです。

生徒さんから笑顔で感謝されると、パソコンインストラクターになって良かったと思えるため、生徒さんに愛され尊敬されるようなパソコンインストラクターになれるよう、頑張ってくださいね。