看護師を続けているといずれ回ってくる学生の実習指導。

この人を臨床指導者といいます。

看護実習の学生指導は、学生が新たな気づきや学びを得られたときに自分自身も達成感を味わうことができます。

また、学生からの純粋な質問や意見によって普段忙しさで忘れがちな看護の心のようなものを気づかされたり、学びにもなります。

自分も9年の看護師経験を持ち、5年目から臨床指導者として病院で看護学生を指導していました。

そこで今回の記事は臨床指導者にはこんな人が向いている、向いていない。

必要なスキルは?

学生指導をやるにあたりどんな所に気をつけていたかなど経験上のお話となります。

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臨床指導者とはどんな仕事?

看護学生の先生と連携をして、看護学生の指導をしたり、スタッフの指導・教育を行うリーダーを行います。

臨床指導者の大まかな仕事内容

実習前の主な仕事内容としては、看護学校の教員と打ち合わせをしたり、受け持ち患者の選出、患者へ看護学生が受け持たせてもらえるような交渉、事前学習課題の提示、物品置き場や着替え場所の確保などです。

実習中は、事前学習のチエックとアドバイスや修正、1日の行動記録のチェックと把握、看護学生の技術指導、記録指導、カンファレンス参加、患者受け持ち看護師との調整、スタッフ指導などです。

実習後は指導者カンファレンス、記録評価、指導内容評価などかなり忙しいです。

加えて、患者を受け持つ場合は本当に忙しくなります。

臨床指導者が向いている人の2個の特徴とは?

ここでは臨床指導者が向いている特徴を紹介とします。

向いている人というか「是非こういう人には、臨床指導者をやってもらいたい」という思いのが強いかもしれません。

優しく人に接することができる人

皆さんも学生の時に経験はあると思います。

「あそこの病棟は怖い人がいて行きたくないな」「話しかけても無視するし、指導する気があるのかな」など学生の時に自分も思ったことが多々ありました。

確かに通常業務で忙しく、いらいらしてしまう気持ちもわからなくないですが、何も学生に当たらなくてもと思うのです。

学生は勉強はしているものの、臨床の場では素人です。

そんな人につらく当たっても傷つけてしまうだけなのにと思ったりします。

自分の経験上では、つらい実習先で行った実習と、和やかにやった実習の方が色々と学んで帰ってくれるような気がします。

「看護師は命を預かっているから、笑って仕事できない、厳しくやらなきゃだめだ」こんな考えは古いと思います。

学生の主張を受け止められる人

主張すれば「エビデンスは?」「アセスメントは?」なんて言われた記憶もあります。

これでは、何のために実習に来ているかわからないですね。

確かに学生は、看護計画などを立案したときに優先順位などがよくわかっていないためか「こっちの計画を実践していきたいです」など自分が思っていることとずれた考えをしてくることもあります。

「それは違うんじゃない」と否定から入らず、どうしてそう思ったのか、具体的なケアプランの内容を聞いてみるとか学生の主張をまず受け止めてほしいです。

最近の学生は、自分が主張したものを覆されるとやる気が出なくなってしまう学生や学校の先生も一律に方向性を決めてしまっていることを多く見ます。

自分が情報を得て、考えてたてた看護計画なのだから、まずは学生の主張を聞き入れて、それに対して指導や修正をおこなっていくやり方でもいいのではないかと思ってしまうのです。

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臨床指導者が向いていない人の4個の特徴とは?

教えることに対してムラが出る

今日言ったことと昨日言っていたことが違う、人によって言うことが違うだと学生も困ってしまいます。

ある程度一貫性を持って学生に指導をしないといけません。

昨日がいいとされていたことが、今日はダメと言われた。

自分でも経験がありますが、こういう指導をされてしまうと本当にどれが正しいのか、どれが間違っているのかわからなくなるだけではなく、ここから前に進めないんですよね。

学生は、情報収集から看護計画実施まで短い期間でやっていかなければいけないのに、これじゃ間に合わないと思います。

少なくとも、気分でこれがいい、これがダメだといっている看護師には、臨床指導者として働いてほしくないです。

時間を確保する余裕がない

病院によってまちまちですが、学生担当を選任させてくれて、患者の受け持ちはしないような指導体制が整っている所もありますが、中には通常勤務と掛け持ちで指導を行っている病院もあると思います。

通常業務との兼務であると、学生をしっかりと指導する時間が取れず「ちょっと待っててね」と言ったまま、そのまま放置となってしまいます。

そうなると学生は何もできないまま時間を過ごすことになってしまうため、学生の時間がもったいないです。

仮に兼務だったとしても、自分の仕事を他のスタッフに頼んで仕事をやってもらって時間を作る、学校の先生に指導を行ってもらうなどの配慮を考えましょう。

できることならば、看護師長などにお願いして専務させてもらうといいですよね。

一方的に話をして終わってしまう

学生が間違っていることに一方的に話をしても、実習が終わったらすべて忘れてしまっていると思います。

学生が間違っていることを指摘する場合は「どうしてそう考えたのか」「どこが間違っているのか」など学生に問いかけて修正をしていかないと身にならないのではと私は考えます。

実習では、知識・技術を習得する場所ではなく、「どうしてそうなるのか」「どうしてこういうことが起こるのか」などエビデンスをしっかり習得する場だと私は考えています。

時には学生が考えていることが的を得ている場合もあります。

その時は、学生の主張を尊重した実習のやり方を考えていきます。

個人的ですが、学生が実習があまり役にたっていないと主張するのは、こういう人たちが多いからなのかなと思っています。

威圧的である

学生は、実習に来るだけで相当緊張しています。

そこに威圧的な態度を取ってしまうと余計に委縮してしまいます。

学生なりに勉強してきていることもあるのに、そういう態度で接してしまうとすべて緊張で忘れてしまうこともあるはずです。

自分に余裕がないときからどうしても威圧的になってしまうといったこともありうると思いますが、その場合は、時間を確保する余裕がないで説明したように、自分に余裕を持たせる仕事の仕方を考えましょう。

これから臨床指導者の仕事をはじめるには、どうしたらいい?

経験年数はその病棟でだいたい3年以上で任されることが多いかと思います。

特に資格等は必要ありませんが、実習指導者講習会なるものが存在しています。

以下でその内容について説明していきます。

資格は必要?

学生にとって実習指導は今後どんな新人看護師が誕生するかにおいて重要な役割を果たすため、より質の高い実習指導者を育てる目的で実習指導者研修というものが存在しています。

ここでは、指導者としての役割や学生が効果的に実習を進められるように知識や技術を学んだりします。

研修先に関しては、各都道府県の看護協会で座学を中心とした研修を行い、大学病院や総合病院などに実習にいくこととなります。

この研修を受けるには、経験年数が必要で、3年ないし5年以上と規定されています。

講習時間は240時間と定められており、40日まとめている所もあれば、クールごとに分かれていたり、週末のみ開催など様々です。

費用も無料のものもありますし、費用がかかるものなど開催場所によって様々です。

もし、臨床指導に興味がある方は受けてみるのもありかもしれません。

臨床指導者のやりがいについて

指導者自身も1から振り返りが行える

日々の業務の中で、知識や技術を完全に理解したわけではない中で行っているケアなどもいくつかあるのは事実です。

学生は純粋な質問をしてきたり、基礎的な質問をしてきます。

それに答えられるように事前に知っておく、質問されて後調べてみるなどをやっているうちに自分の実にもなっていきます。

長く看護師をやっていると気づけなかった点などもあり、学生から教えられることもたくさんあるので、そんなときは指導者をやっていてよかったなと思います。

人の成長を見られるのがうれしい

実習初日などは、まだまだ勉強不足だなとか実習についていけるのかなとか思ったりする学生がいたとします。

優しく指導しようと指導しても泣きだしたりしてしまい、どうすればいいのかなんて悩んでいた学生が最終日の発表で素晴らしい発表をしてくれると「あー指導してよかったな」なんて思ったりもします。

加えて、数年後に新人看護師として同じ病院に入職してくれたりすると喜びもひとしおです。

やはり尊敬してくれる後輩がいるってことは、仕事のやりがいにもつながります。

自分もどちらかというと、先輩や上司に好かれるよりは、後輩に好かれた方が気分的にうれしいです。

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経験者が教える臨床指導者としての関わり方

学生さんではなく、名前で呼んでくれる

これは自分が学生自体から思っていたことで、「学生さん」と呼ばれるよりも「○○さんとか○○くん」と呼ばれた方が病棟の一員になった気がしてうれしかったんですよね。

なので、自分が臨床指導者になったときは、まず実習に来た時にその学生の名前を覚えておいて必ず名前で呼ぶように心がけています。

名前で呼んであげると、学生たちの表情も変わるんですよね。

生き生きと実習をやってくれるようにもなってくれるので、必ず自分は学生さんとひとくくりにしないことを心がけています。

自分もそうで、学生から看護師さんと言われるより「○○さん」と呼ばれるとやっぱりうれしいですし、やる気もますます出てきます。

皆さんも一度試してみてください。

実習を楽しいものとしてあげる

現在は仕事にも経済的面より楽しさや自由さを求めてくる時代ですから、実習だって楽しくしてあげなきゃと思うのです。

学生なんだから、厳しく泣くくらいに指導しなきゃだめだと考えている方もいると思いますが、自分は違います。

何より、つらいとか怖いちかそういう気持ちで実習をしていても、緊張感だけが勝ってしまい、いくら事前に勉強をしてきていても思考力なんて役にたちません。

なので、学生さんを緊張状態においてもいいことなど一つもないと思うのです。

いかに楽しく、リラックスして短い期間で学んでいけるか、そっちの方が教えるほうとしては十分大変です。

自分がしていることとしては、学生の緊張をほぐすために、時には実習に関係ない話をしてみたり、他のスタッフも巻き込んで、冗談を言い合ったりしています。

また、カンファレンスの時間も話し合いばかりしても楽しくないと思うので、何回かは、受け持ち患者の状況を設定して、ケアの方法を追求するために、笑いあいながら和気あいあいと楽しく演習を行ったりしています。

自分の体験談を話してあげる

学生は疾患のことや技術のことを短い1週間や2週間で叩き込んでもあまり後に残らないことが多くありますが、自分が臨床指導者としてやってきて思ったことは、学生は体験談を聞くのがとても好きみたいです。

やっぱり教科書にも載っていない生きた情報が学生にとって勉強になるんだと思います。

自分が行ったケアでの失敗談や新人だった頃の失敗話、家族との関わりで苦労したことなどなんでも話すと食いつきが半端なく、よくメモ帳にもメモしているのを見かけます。

そのため、よくカンファレンスなどで経験談を話したりします。

学生もきちんと聞いてくれて、のちのちのレポートなどを目にしたときに、自分が話した経験談が学んだこととして記載されています。

まとめ

臨床指導者になるにあたり何よりも必要なのは、看護教育への熱意と愛情かと思います。

自分の看護感も明確にしておくことも大切ですし、未来の看護師を育てるという責任感を持つことが大切です。

臨床指導者になると、自分の仕事にプラスして行わなければならないため、正直大変かと思います。

しかし、看護師となられているみなさんがあるのは、指導をしてくれた臨床指導者のおかげでもあります。

人を指導するということはとても難しいと思いますが、そこから得られるものもとても大きいです。

是非ともチャレンジしてください。