歯科受付は、歯科医院の縁の下の力持ち的な存在です。

歯科医師や歯科衛生士が治療に専念できるように、また患者さんが気持ちよく治療を受けられるようにと、日々励んでいます。

「歯科受付」という名称で採用されても、その仕事内容は多岐にわたっているもの。

受付業務のみを行うことは少ないのです。

ここでは、歯科受付の仕事内容について詳しく解説をします。

歯科受付の仕事は大きく3個の役割に分けられる

「歯科受付」という名目で、求人検索をしたことがありますか?

求人サイトなどの「仕事内容」欄を見比べてみると、病院によって違いがあることに気づかれると思います。

「受付業務のみ」「受付・レセプト業務」「助手業務」「受付・助手業務全般」など様々に記されていることが多いです。

これらの言葉は、何を意味しているのでしょうか。

実は、歯科受付や歯科助手の業務内容は、「受付業務」「歯科助手業務」「レセプト業務」の3つに大別されます。

実際の求人募集は、この業務内容を組み合わせて行われることが多いです。

それぞれの仕事内容は以下の通りです。

歯科医院の顔となる受付業務

文字通り「受付」にて患者さんをお迎えする業務です。

歯科医院にかかった際に、一番初めに受付に行き診察券や保険証をだしますよね。

そこで応対するのが受付業務です。

受付業務では、その他にも、電話応対や予約の管理、会計処理などを行います。

また、歯科医師に聞き逃したことを受付で質問される患者さんも多くいらっしゃいます。

分からないことはもちろん医師に確認する必要がありますが、治療のスケジュールや服薬時の注意事項など、ある程度の歯科医療知識があるに越したことはありません。

治療の補助をする歯科助手業務

診察室の中で、歯科医師の治療を補助します。

歯科治療中は、実にたくさんの器具を利用します。

治療がスムーズに行えるように、医師の手に必要な器具を受け渡していくのです。

また、治療箇所が明瞭になるように、ライトの調整を行ったり口腔内をバキュームで吸ったりします。

患者さんを待合室から診察室へ呼び込み、椅子に誘導しエプロンをかけ、うがいの指示をすることも歯科助手の仕事です。

その他、レントゲン撮影を補助したり、印象と言って型取りを行ったりします。

覚えることが膨大で、治療内容によってはハラハラしたりドキドキしたり、緊張が続く業務内容です。

締め日から提出までは大忙しのレセプト業務

歯科医院で行う治療は、自由診療、公費診療、保険診療の3つに分けられます。

自由診療とは、いわゆる「保険が利かない」診療のことで、インプラントやセラミックを使用した詰め物、歯列矯正、歯のホワイトニングなどが挙げられます。

自由診療の場合は、治療にかかるお金は歯科医院独自に設定でき、すべて歯科医院の収入になります。

公費診療は、市町村や組合が治療費を負担した診療のことで、例えば自治体助成の歯科健診、妊産婦の健診などが挙げられます。

公費診療の場合には、患者さんが窓口で支払いをすることはありません。

最後に、保険診療とは、3割を保険者が負担し7割を患者さんが負担する診療のことです。(負担割合は、乳幼児や高齢者の場合は異なります。)

歯科医院では、各保険機関に7割分の治療費を請求しなければなりません。

そのため診療報酬明細書を作成する作業が必要になります。

この診療報酬明細書を作成し、保険者に治療費の請求を行うことをレセプト業務と呼びます。

月末に締めきり翌月10日が提出になるため、この前後は大忙しになり、残業が必要な場合もあります。

受付業務の4個の業務

受付をする

笑顔で患者さんをお迎えしましょう。

基本的に病院では「いらっしゃいませ」とは言いません。(余談ですが、接客業の経験が長い人はつい反射的にいらっしゃいませ!と言ってしまうことが多いです。私もよく間違えてしまい、先生に居酒屋じゃないんだから・・・と注意されていました。)

時間帯に合った挨拶をし、診察券や保険証を出していただけるように誘導します。

診察券を見ながら、患者さんのカルテを探し出し、診察室に引き続きます。

診察室への呼び込みは、受付担当がする歯科医院もあれば、助手担当がする場合もあります。

予約管理をする

歯科医院はほとんどの場合、完全予約制です。

これは、内科などの外来と違って治療時間が長めなため、一人一人の患者さんに丁寧に対応するために行われている制度です。

新規の患者さんは、電話で予約をとられます。

現在の症状や患者さんの予定を確認したうえで、なるべく早く治療を受けられるように調整します。

病院によって違いはありますが、予約は15分刻み1コマで行われ、時間がかかりそうな治療については2~3コマを確保するようです。

治療継続の場合は、お帰りになる前に次回の予約をお取りします。

歯科医院に対して患者さんが抱く不満のひとつとして、治療間隔が空いてしまい治療がなかなか終了しないことがあるそうです。

なるべく早く治療が終われるように、予約を管理するのも歯科助手の腕の見せ所です。

会計を行う

患者さんの治療が終わると、診察室からカルテが戻されます。

そのカルテを見ながら、治療内容に沿って診療点数を記入し会計を行います。

都心の歯科医院では電子カルテが導入されているところもありますが、多くの歯科医院では未だに紙のカルテを使用している場合が多いでしょう。

先生によっては、悪筆のためカルテが読めない!なんてトラブルもあります。

待合室などを整頓する

開院前や病院の休憩時間などを利用して、院内の清掃を行います。

待合室は受付担当、治療室内は助手担当などと手分けをして清掃を行うことが多いです。

複数スタッフがいる病院などは、曜日ごとに担当者を決めている場合もあります。

歯科医院であっても医療機関であることに変わりありません。

清潔感は、患者さんの病院への印象を左右します。

トイレの中なども念入りに清掃を行います。

歯科助手業務の5個の業務

患者さんの誘導や介助

受付から患者さんのカルテが上がってきたら、治療に必要な器具を準備したうえで、患者さんを呼び込みます。

器具は、基本の5点セット(病院によって名称や種類は異なるかもしれませんが、バキュームの先端やスケーラーなどのセット)の他、その日の治療内容によって必要なものが異なりますので、研修期間に治療内容と器具を勉強しておく必要があります。

患者さんを呼び込んだら、診療台まで誘導します。

エプロンをかけ、うがいをしていただくように指示をします。

すぐに治療開始できるようにしておくことで、歯科医師の治療がスムーズになり時間短縮につながります。

お帰りの際も、エプロンを外し、待合室まで誘導します。

バキューム

歯科医院で治療を受けた際、口の中をミニ掃除機のようなもので吸われますよね。

その器具のことをバキュームと呼びます。

治療をしていると、患者さんの口腔内は唾液や血液であふれてきます。

この状態は、患者さんにとって苦しいばかりでなく、歯科医師にとっても治療箇所が見えづらくなり大変危険です。

バキュームをする際には、内頬や舌を吸い込んでしまわないように注意をします。

不慣れなうちは上手く吸えずに、「ズボボ」と大きな音を響かせてしまい、冷や汗をかくことが多いでしょう。

うまくバキュームできると、ほとんど音はならないのです。

器具の受け渡し

治療中は、先生は治療箇所からほとんど顔を上げないことも多いため、歯科助手は必要な器具をタイミングよく手渡ししていきます。

そのためには、器具の名称を正確に覚える必要があります。

歯科治療で使う器具は外見上似ている物も多く、覚えきるまでには時間がかかるでしょう。

私はなかなか、ラジオペンチとニッパーの区別がつかず、よく間違えてしまっていました。

印象を取る

印象とは、技工物をつくるための型取りを行うことを言います。

歯科医院で型取りをしたことがある方はご存知でしょうが、型を取る際にはまず、アルジネートというピンクのぶよぶよした素材を噛んでいただきます。

そのアルジネートは、歯科助手が練っています。

水を適量加え、空気が入らないようにつぶしながら練るのですが、水温や気温、湿度によって仕上がりが異なるため、きれいに練り上げるのは難しかった記憶があります。

アルジネートで型取りができたら、患者さんがお帰りになった後に石膏を流し入れます。

石膏もアルジネートと同様に、空気が入ってはいけません。

バイブレーターで気泡抜きをしながら、丁寧に石膏を流します。

この石膏を使用して、歯科技工士や歯科医師が技工物を作成するのです。

器具の洗浄や消毒

歯科医院では日々たくさんの器具を使用します。

患者さん一人につき、5本以上はザラで、抜歯などの手術の場合には数10本の器具を使用することもあります。

それらの使用済みの器具は、院内で洗浄し、滅菌機にかけて消毒を行います。

器具の洗浄は、中小規模の歯科医院であればほとんどが歯科助手による手洗いです。

器具を分解し洗浄するため、手間がかかります。

先端がとがっている物も多いため、感染事故を防ぐために手袋の着用は必須です。

滅菌が終わったら熱を冷まし、再度組み立ててすぐに使用できるようにセットしなおします。

混雑する歯科医院では、一日のうちに何回もこの洗浄や消毒の処理を行う必要があり、けっこう負担の大きい作業です。

レセプト業務の3個の業務

レセプトの準備

現在は、レセプトコンピュータを使用し、電子上での申請が主流ですが、中には紙ベースでレセプトを行っている歯科医院も残っています。

紙ベースのレセプトは、繰り返しの作業が多く負担が大きいそうです。

明細書を作成する前に、準備が必要です。

当たり前のことですが、保健診療の際には保険証を確認し、保険機関(社会保険なのか国保なのか、社保であればどの組合なのか)を記録しておきます。

レセプトの対象となるのは、当該月に保険診療を受けている患者さんです。

月締めをして保険診療分を算定しておきます。

明細書の作成

明細書に記入する内容は、おおむね以下の通りです。

  • 患者さんの氏名・性別・生年月日
  • 保険証の記号・番号と保険種類・給付割合
  • 診療開始日と実日数(診療を受けた日数)
  • 病名
  • 転帰(治癒・経過観察・死亡など)
  • 各項目の処置と点数(院内処方があれば、薬剤名や投与量)
  • 小計

この診療報酬明細書を患者さんお一人ずつに作成します。

作成は、前述のようにコンピュータを使用する場合がほとんどです。

最初のうちはカルテの読み方に慣れていないと、大変時間がかかる作業です。

しかし、回数を重ねるうちに要領よく行えるようになることでしょう。

月末に締め切り、翌月の10日までに提出する必要があるため、その期間は通常業務に加え、レセプトの作業が忙しくなります。

こういったレセプト業務は、外部に委託している場合もありますし、歯科助手が行う場合もあります。

歯科助手さんの中には、医療事務の経験や資格があるという方もいらっしゃり、大変頼りにされているそうです。

返戻の対応

もし、レセプトに不備があった場合には、審査支払機関からレセプトが戻ってきてしまいます。

これを返戻といいます。

返戻になってしまう理由としては、保険証が変わったにもかかわらず確認できていなかった、病名の記載が間違っていた、記載漏れがあったなどの理由です。

返戻されないように、院内で十分チェックしてから提出することが大切です。

歯科受付のやりがいや面白いポイントとは?

歯科受付のお仕事は、患者さんとダイレクトに関わることができる点が魅力です。

歯科医院に来院する際、ほとんどの患者さんは痛みでブルーになっていたり、治療に不安を感じていたりします。

お子さんなどは、号泣しながら来院することも珍しくありません。

しかし、治療過程がうまくいくにしたがって笑顔が増えていくことに、とてもやりがいを感じます。

痛みが取れた、歯がきれいになってきた、出血しなくなったなど、些細なことであっても患者さんのクオリティオブライフは、確実に向上しているのだと思えるのです。

まとめ

資格がなくても働くことができる歯科受付のお仕事。

仕事内容は専門性が高く難しく感じられるかもしれませんが、経験を積めば大丈夫!

ぜひ一度挑戦していただきたいオススメの仕事です。

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