映画やドラマ、舞台では欠かすことの出来ない「脚本」はどういう役割を持った人が書いているのでしょうか。

俳優陣や監督とは違い、なかなか陽の目を浴びる事のない脚本家という職業ではありますが、そこにはどんな「やりがい」「面白さ」があるのでしょうか。

実際に脚本家として活動していた経験者が脚本家の仕事内容のいくつかをご紹介します。

「脚本の仕事」が自分に向いているか診断するにはこちら →

脚本家の大まかな仕事内容

脚本家は読んで字のごとく作品に於ける「脚本」を書く職業です。

映画、ドラマ、舞台、ゲーム、アニメに留まらず近年では「YouTube」上での動画にも脚本が求められています。

クライアント(依頼主)と打ち合わせをし、作品のテイスト、カラー、内容、方向性を決め、脚本家はひたすらにパソコンに脚本を書き込んでいきます。

脚本を書き終えて、クライアントに提出した時点で脚本家の大部分の仕事は終了となります。

その後、脚本を基に製作された作品を観ると他の職業ではなかなか味わうことの出来ない「感動」に包まれます。

脚本家の仕事は大きく5個の役割に分けられる

プロット作成

プロットは実際にセリフやト書きを書く前に行われるストーリーの「起承転結」を記したものです。

所謂「あらすじ」や「ネーム」と呼ばれるものです。

物語の骨格を作るのでとても大事な作業です。

セリフやト書き作成

プロットを基にセリフやト書きを書いていきます。

ストーリーの骨格である「プロット」に肉付けを行う作業です。

セリフはある程度経験を積めば掛けるようになりますが実は一番難しくセンスが必要なのはト書きを書くところにあります。

売れている(人気のある)脚本家は総じてこのト書きを書くのが上手いです。

所謂「行間を描く」というものです。

校正

脚本は現場に於いて設計図の様なもので、スタッフや出演者など作品に携わる全ての人が目にするものなので誤字脱字はもちろん、脚本のルールに沿って書かれている必要があります。

脚本が作品としてお客さんに届く前に関係者を納得させる必要があるので最低限の校正作業は必要不可欠となります。

固定概念に囚われずに文章を読む能力が必要となります。

マネージメント

脚本を書き続けていても人に読んでもらわないと意味がありません。

脚本を書き、作品として世に出て、報酬をもらって初めて脚本家はプロとして認められます。

自分の脚本を世に出すためには「売り込み」が重要です。

売れるまでは自分で賞レースに出場したり、自費で作品を発信したり、制作会社に持ち込みをしなければなりません。

取材

脚本にリアリティを持たせるために取材は必要不可欠な仕事です。

時には泊りがけで地方や海外に取材に行くこともあります。

取材では新しく正しい情報をキャッチする必要があります。

その情報を基に脚本が作られていくので、とても大切な仕事です。

「脚本の仕事」が自分に向いているか診断するにはこちら →

プロット作成の3個の業務

原作がある場合は何度も読み込む

小説など原作がある場合にはその作品をしっかりと読み込んで世界観やストーリーを理解しなければなりません。

漫画の実写化や小説の実写化は近年増え続けています。

紙媒体の作品をどうしたら映像作品、舞台作品として成立させる事が出来るのか、観客に効果的に伝える事が出来るのかを考えなければなりません。

そのためにはまず、その作品を深く知る必要があります。

何度も読み込み、飲み込んで吐き出さなければなりません。

プロット案を出す

プロットはいくつかのパターンを作っておかなければなりません。

所謂「ストックを持っておく」という事です。

いくつかのパターンをクライアント(依頼主)に提供する事で仕事はスムーズに運ぶことが出来ます。

ダメ出しを喰らって「明日までには直してきます」ではいけません「それでしたら、こんな案はいかがですか」と別の案を瞬時に出さなければなりません。

プロットは脚本の骨格を作る作業で、とても重要な役割です。

また、仕事に於いてレスポンスの早さは重要な要素のひとつです。

プロットを作り続ける

アマチュアや学生はとにかくプロットを作り続ける事が大切と言われています。

仕事が無い時も常にプロットを書き続けて、センスを磨いておかなければなりません、また、映画やドラマを見た際にはプロットを分析し、身に付ける事も大事な作業となります。

セリフやト書きの作成の3個の業務

セリフを書く

脚本のルールに沿ってキャラクターのセリフを書いていきます。

脚本家それぞれに技法はありますが、セリフやト書きの書き方には決まったルールが存在しています。

駆け出しの脚本家志望の人はまずはルールを覚えるようにします。

セリフは実際に出演者か声に出すものです。

作中でそのキャラクターがしっかりと生きるように心掛けて書きます。

また、言い回しひとつにもこだわりを持って書くようにします。

作品に於ける所謂「名言」を生み出すのもこのセリフを書く業務にあります。

ト書きを書く

ト書きを上手く書くことが出来る脚本家は「上手な脚本家」です。

例えば主人公が「好きだ」というセリフを使わずに如何に「好きだ」という気持ちを表現する事が出来るかなどがあります。

ト書きには場所や背景、状況、キャラクターの仕草など作品に於いて重要な情報を書き込みます。

ト書きは映像の作品になると「見えなくなるもの」なので、ト書きの書き方を学ぶためには実際に脚本(台本)を読む必要があります。

推敲

セリフの一行、ト書きの一行で作品の印象は大きく変わります。

そのセリフは必要なのか、そのト書きは効果的に観客にメッセージを伝えられるのかと客観的な視点を持って脚本と向き合います。

どの業界にも共通している事ですが、直しが上手い人は仕事が出来る人だと言えます。

映画やドラマを見ている時も「自分だったらこうする」「この部分はこうした方が面白い」と言う眼を持つ事も大事です。

校正の2個の業務

ルールに沿って書かれているか確認

作品の内容では無く、その脚本がルールに沿って書かれているかを確認する作業です。

場所や時間は書かれているか、不必要な情報や無駄な改行がなされていないかを確認します。

先程も述べましたが脚本は作品の設計図なので、だれが見ても同じ状況を把握できるようにルールに沿って書かれている必要があります。

脚本家を目指している人はまず、脚本のルールを身に付けるように勉強をする事をおすすめします。

誤字脱字の修正

脚本は全ての関係者に渡され読まれるものなので、誤字脱字が無いのは最低限のマナーです。

誤字脱字の確認は固定概念に囚われてしまい、意外と大変な作業です。

「どこかに必ず間違いがある」という意識を持って対応をします。

マネージメントの3個の業務

売り込み

今までの作品や宣材(プロフィール)を持って製作会社やテレビ局に売り込みに行きます。

自分で書いた「企画書」や新しいアイディアの詰まった「脚本」を持っていくと効果的です。

もちろん最初はなかなか話が通る事はありませんが、少しづつ顔を売るようにしましょう。

仕事の調整

マネージャーやアシスタントが付くまでは自分で仕事の調整を行う必要があります。

締め切りの管理や打ち合わせの日程調整など、ミスの許されない業務です。

脚本を締め切りまでに入稿出来るように取材の日程、他の仕事との調整をしていかなければなりません。

打ち上げに参加

映画や舞台では必ず打ち上げがあります。

舞台の場合、初日打ち上げ、中日打ち上げ、千秋楽(最終日)の打ち上げなど、細かく設定されている場合もあります。

関係者で食事をする場ではありますが、ただの飲み会ではありません。

業界の人間が集まる「ビジネス、社交の場」でもあります。

そこで仕事を繋げたり、人脈を拡げながら、仕事を得ていきます。

取材の3個の業務

関係者への取材

医療の作品を書く場合には現役の医療関係者に取材したり、学園ものなら学校関係者、現役の学生に取材をします。

アポを取るのが難しい業種の場合もありますが、そんな時に役に立つのが「人脈」です。

普段から、様々な職業の人と交流を持っておくことをおすすめします。

現役の人間にこだわれば新しく生きた情報を得る事が出来ます。

実際に施設に立ち入る

話を聞いただけでは、その情報を脚本に活かすのは難しいので、実際に施設に取材に行くこともあります。

手術室、学校、時には刑務所に取材に行くこともあります。

もちろん無断で立ち入る事は出来ないので、必ずアポを取って趣旨を説明し、取材をします。

多くの写真を撮り、イメージが湧きやすいようにします。

作品の舞台となる所へ行く

沖縄が舞台の作品なら沖縄に行ったり、北海道が舞台の作品なら北海道に取材に行きます。

実際にその場所に行き空気感を感じる必要があるためです。

このように取材は脚本に空気感を持たせ、血を通わせるようなリアリティを持たせるために行われる大事な仕事です。

「脚本の仕事」が自分に向いているか診断するにはこちら →

脚本家の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

脚本家はクリエイティブな仕事なので単純作業は少ないです。

時には批判の対象となる事もありますが、ここでは脚本家ならではのやりがいを感じるところを紹介します。

作品が世の中に残る

まず脚本は印刷され「本」になって関係者に配られます。

その後、宣伝用の「チラシ」が生まれたり宣伝用の「動画」が生まれます。

作品が完成すると「パンフレット」が刷られて、上映、上演され、「スチール(写真)」が生まれます。

その後「DVD」になる事もあります。

一つの作品を生み出すと様々な「形」として作品が残ります。

その「形」として残った作品を手にすると大変だった製作期間の疲れも全て吹っ飛ぶような「やりがい」を感じる事が出来ます。

お客さんが感動をしてくれる

自分の作品を見てお客さんが笑ってくれたり、涙を流してくれたり、人の心を動かす事が出来ます。

自分のメッセージを発信して共感してくれる人が現れたり、そんな力を持っている作品を生み出す事も出来ます。

時にはインターネット上で酷評をされる事ももちろんありますが、人の心に残る作品を生み出せた「実感」を感じる事が出来ると「やりがい」を感じる事が出来ます。

面白いポイント

脚本家という仕事をしていると普段の生活からネタを探すのが癖になり、世の中に対する見方が変わっていきます。

その目を持つ事が脚本家の面白みでもあります。

常にアンテナを張り巡らせ、たくさんの情報をキャッチ出来るようにしましょう。

普通だったら見逃してしまうような出来事も持ち前の感受性というフィルターを通してドラマを生み出していきます。

つまり脚本家は脚本を書くだけが仕事ではありません。

その日常も含めて脚本家なのです。

脚本家という職業に就き特に面白いと感じる事、感じる瞬間を2つご紹介します。

作品の見方が変わる

映画やドラマ、舞台を見ていると「脚本家としての目線」を持って作品を視聴するようになります。

セリフの言い回し、構成の組み立て方など人の作品を見て勉強になる事がたくさんあります。

と、同時にただストーリーの世界に浸るだけでなく、撮影方法を想像したり、ト書きの書き方を想像したりしながら見る事が出来ます。

一種の職業病でもありますが、脚本家ならではの面白い作品の見方が出来ます。

ライターズハイ

脚本家や小説家の世界でよく耳にする「ライターズハイ」という状態があります。

マラソン選手が走行している際にある一定のキツイ瞬間を乗り越えると突然に疲れが無くなり「いつまでも、どこまでも走って行ける」という「ランナーズハイ」の「ライター」版です。

脚本をパソコンで打ち込んでいたら、突然頭の中で映像が流れ始めて、ただ自分はその映像をパソコンに打ち込んでいる状態になる事があります。

想像が爆発しタイピングが間に合わない状態になる事もあります。

「ライターズハイ」は「降りてきた。」とも言います。

この状態を一度経験してしまうと脚本家という職業に間違いなく憑り付かれます。

「ライターズハイ」の経験も脚本家をやっていて面白いと思えるポイントのひとつです。

まとめ

脚本家になり、脚本家として生活をし、脚本家を続けていくという事はとても大変な事です。

脚本家は人気のある職業です。

そして才能と努力と運と人脈全てが必要であり不安定な仕事です。

ですが、他の職業では経験、体験する事の出来ない事がたくさんあります。

不安な事や大変な事が大きな割合が占めますが、経験者の視点から脚本家という仕事はとても楽しい職業であると言えます。


関連キーワード

脚本家仕事