数多くある老人ホームの中でも、介護老人保健施設はあまり詳しく知られていない印象があります。

しかしながら、少し独特なこの施設、実は様々な用途に合わせて利用することができるのです。

そんな介護老人保健施設とはなにか、詳しく説明していきたいと思います。

介護老人保健施設とはどんな施設?

介護保険施設の一種になります。

公的な施設ですので、収入に応じて減免が効きます。

介護老人保健施設は終身目的の施設ではありません。

原則三か月程度を目安に、リハビリをして在宅に帰りましょうということを目的としています。

他の施設とは違い、医師や看護師の常在、常勤のリハビリ職が人員配置として定められており、介護保険上では医療系サービスに位置付けられます。

そのため、料金的にも同じ介護保険施設である特別養護老人ホームより高い場合が多いです。

介護老人保健施設の仕事の具体的な仕事内容とは?

具体的な業務

食事介助

入所者の食事の介助です。

介護老人保健施設ですので、食事に限らずすべての介助は必要最低限とし、自立支援や残存能力の活用、維持、向上を目的として介助を行わなくてはなりません。

食事の介助は配膳から始まります。

当たり前ですが、配り間違いのないようにしなくてはいけません。

介護老人保健施設は入所者数が多いのと、入退所が頻繁にある施設ですので、入所者の名前を覚えるのも大変です。

配膳の順番等を含め、食事関連の注意事項のある入所者は多いので、きちんと情報を頭に入れておく必要があります。

食事は、自分でできることは自分でする前提のもと、必要最低限の介助しか行いません。

介護老人保健施設はリハビリ目的の施設ですので、自助具も多く用意されていますし、介護職員以外のリハビリ職がいますので、どうすれば自分で食べることができるか常に考えて介助を行います。

食前・食後に必要な方には薬を飲んでもらいますが、看護師が常在する介護老人保健施設の場合、介護職ではなく看護師が必ず配薬すると決まっているところも多いです。

排泄介助

こちらもできるだけリハビリに繋げるように工夫しますので、よほどの状態でなければ、日中に関してはベッド上のおむつ交換をせずにトイレ誘導を行うことが多いです。

人手の多い日中であれば、トイレの介助を2人で行うことも可能だからです。

夜間は良眠する目的もあり、無理にトイレに起こさずにおむつ交換で対応しますが、おむつを使用していなかったり、尿便意があったり、自分でトイレに行くことができる人は夜間でもトイレ誘導をしたり、ベッドサイドにポータブルトイレを置き、そこで排泄してもらったりします。

トイレに行くまでの動作もリハビリの一環ですので、できるだけ歩いたり、車イスを自走してもらったりして、できることはしてもらいます。

入浴介助

ほとんどの施設は入浴は週に2日ですので、介護老人保健施設も基本的には週に2回入浴することになります。

入浴介助は事故の危険や急変も多い大変な業務ですし、介護老人保健施設の場合は入所者の人数も多いので、かなり体力が必要になります。

フロアや居室から浴室まで誘導し、脱衣所で着脱介助、浴室内で洗身、洗髪、浴槽誘導、必要な方は浴後に様々な処置を看護師が行います。

入浴の時は安全面を考慮してそこまでリハビリを重視することはありませんが、着脱はできるところは自分でしてもらいます。

入退所の対応

介護老人保健施設は比較的入所や退所が多い施設です。

入所しているときに病院に入院すると、一旦退所扱いになります。

たとえ、その間が一泊二日で、そのままベッドを残しておいたとしても、記録上は退所してまた改めて入所することになりますので、その都度きちんと入退所書類を作成しなくてはいけません。

また、多くの介護老人保健施設はショートステイも行っています。

そうするとその分の入退所業務もあるわけですので、なかなか大変です。

掃除やその他の雑務

施設内の掃除に関しては専門の職員がいる場合がありますが、居室のベッド周りの環境整備や、定期的なシーツ交換、汚物の処理や足りない物品の補充や注文など、介護に関する業務以外にもたくさんのこまごまとした雑務があります。

どこまでの雑務を職員がするかは施設ごとに違いはありますが、全く何もしないことはまずありません。

委員会活動や行事などの企画を行うことも多いです。

また、定期的に研修を行っている施設も多いですので、その場合は出勤ではなくても出席しなくてはならないことがほとんどです。

仕事の流れ

早出の仕事の流れ

ほとんどの介護老人保健施設の介護職員は、早出遅出日勤夜勤の交代制勤務となっています。

人手の必要な時間帯に人員を確保できるように組まれています。

まずは早出の場合、朝食前に出勤します。

起床介助が終わっていないようであれば夜勤者を手伝い、朝食介助を行います。

その後、日勤者が来てから日勤業務を手伝いますが、入浴があるようでしたらそちらを手伝ったりします。

昼食介助ののち、午後業務に入ります。

もちろんここでも入浴があれば手伝います。

定時のトイレ誘導なども行います。

15時におやつの時間がありますので、その時間を過ぎてから勤務終了となります。

日勤の仕事の流れ

だいたい9時から18時ごろの勤務時間が多いです。

夜勤者から申し送りを受け、日勤時に気を付けることや行うべきことを責任をもって把握します。

フロアごとに日勤リーダーを決めることが多いです。

申し送り後はバイタルの測定や管理、介護記録の記載を行いながら、フロアの管理や入所者の様子を常に気にかけておきます。

昼食介助やおやつ介助は日勤者ももちろん行います。

夜勤者が来たら、日勤時の様子を申し送りし、時間になれば業務は終了です。

遅出の仕事の流れ

昼食前に出勤します。

ほとんどが、昼食に合わせて臥床している入所者を起こしたり、食堂に誘導したり、食堂の準備を行う所から業務は始まります。

その後昼食介助を行い、日勤者の手伝いや入浴の介助、トイレ誘導などを行い、おやつ介助をします。

夕方になると夜勤者が来ますので、一緒に夕食の誘導や準備、介助を行います。

夕食後は順次入所者の口腔ケアや更衣、就寝介助に入ります。

時間が来れば退勤します。

夜勤の仕事の流れ

16時頃から翌10時頃までの勤務が多いです。

時間は長いですが、2時間の休憩(仮眠)を取ることとされており、さらに一回出勤すれば二日出勤した計算になりますし、夜勤明けの翌日は休みになることが多いので、思っているほどつらい業務でもなく、人によっては夜勤を好まれる方もいます。

16時に出勤し、日勤者からの申し送りを受けます。

その後遅出とともに夕食介助を行い、トイレ誘導や口腔ケア、起床介助などをして就寝介助に入ります。

その後の時間で、日勤帯の情報を介護日誌に移したり、昼間入所者が起きているとできないような雑務をこなします。

定時におむつ交換や巡回に回りますが、この時間の間隔は施設ごとに異なります。

私が働いていた施設は、巡回が一時間ごとのところから三時間ごとまで開きがありました。

朝になれば順に入所者を起こして回り、必要な方の更衣介助やトイレ誘導を行います。

夜勤者が一番忙しい時間がこの時間かと思います。

その後早出が出勤し、朝食介助、日勤者が来れば申し送りをし、長い業務は終了します。

介護老人保健施設の仕事の役割とは?

介護老人保健施設は、何度も申し上げました通り、リハビリ目的の医療系施設です。

ですから、常在している職員も多職種揃っています。

その各職種が役割を持って仕事をしていますので、一つずつご説明させていただきます。

介護職員

介護老人保健施設を支える要の職種です。

介護職員の仕事の役割や流れについては前述したとおりです。

他の施設で働くよりもリハビリの意図を組み、どうすればより自立支援や残存能力の向上に努めることができるか、多職種と連携を図りながら仕事をする必要があります。

他の介護施設での仕事との違いは大きくはないのですが、上記のように介護老人保健施設の目的をしっかりと理解し、生活すべてがリハビリにつながるように考えて介護を行わなくてはいけません。

もちろん、リハビリ目的であるとはいえ、介護職の基本は介護です。

職員の中で最も人数が多く、入所者の生活を支える重要な役割を担っています。

介護老人保健施設に入所して来られる方は、急な病気やケガで体の状態が急変し、病院を退院しても家に帰ることができないという理由が少なくありません。

身体的にも精神的にも不安定な状態で入所して来られた方をいろいろな面で支える、そういった大切な仕事であるということを知っていただければと思います。

支援相談員

他の施設では生活相談員などと呼ぶことも多いのですが、介護老人保健施設の相談員は「支援相談員」と呼ばれます。

入所者の受付や面談、家族を含めて相談に乗ったり、施設外のケアマネージャーや病院などとも関りを持ち、様々な業務を行っています。

入所の相談は基本的にこの支援相談員を通して行います。

介護老人保健施設に限らず、入所者の調整や受け入れ等、相談員の仕事は非常に重要でたくさんの知識を持っておかなければなりません。

ケアマネージャー

介護老人保健施設にもケアマネージャーは常在していますが、在宅で生活する要介護者を担当する居宅ケアマネとは仕事内容は全く違います。

施設ケアマネと呼ばれるこの仕事の役割は、前述した支援相談員とともに入所者や家族の相談に乗ったり入所の判定に関わったり、介護保険上の手続きを受け持ったりします。

そして、入所者の施設ケアプランを作成し、どのように施設生活を送るのか目標を定め、定期的にモニタリングやケアプランの見直しを行います。

施設ケアマネの場合は他にも送迎等現場の仕事を手伝うことも多いです。

リハビリ職

PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)等のセラピストの他、柔道整復師等が働いている場合もありますが、これらリハビリ職は介護老人保健施設の要となる役割を担っています。

原則はリハビリをして体の状態が回復すれば自宅に帰ることを目的としている施設ですので、ケアマネの作るケアプランを基にしてリハビリ計画書を作成し、入所者にあったリハビリを考え、行います。

PTは身体機能を高めるための歩行訓練や筋力トレーニング、マッサージ等を専門としています。

OTは、例えばお箸の使い方であるとか、自助具を工夫し日常生活に必要な動作を向上させるリハビリを行います。

STは、口腔機能の向上や言語訓練を行います。

嚥下が難しい方の嚥下訓練を行ったり、失語症等で言葉が出にくい方のリハビリをします。

柔道整復師はマッサージを主に行いますが、必要に応じて歩行訓練等も受け持ちます。

これらのリハビリ専門職が何職種いるのかは施設によって違いますが、すべての職種が常在している介護老人保健施設もあります。

看護師

これも介護老人保健施設の特色の一つですが、24時間看護師が勤務しています。

ですので、他の施設に比べて医療処置の必要な方が入所しやすいのも介護老人保健施設の特徴です。

看護師の役割は、日々の入所者のバイタル測定や医療処置、体調を確認し必要であれば介護職やリハビリ職に注意事項を伝達、食事の際の服薬介助や医師の診察の際の同行、救急搬送時の付き添い等、たくさんの役割があります。

もちろん入所施設の看護師ですので、看護業務のない時には介護業務も手伝いますし、夜勤も医療行為がなければ他の介護職と同じように仕事を行います。

役割はたくさんありますが、やりがいのある仕事です。

その他の職種

介護老人保健施設は、医師や薬剤師も勤務することとされていますし、食事の献立を考える管理栄養士や、清掃職員なども働いています。

ショートステイや入退所の送迎のための送迎職員がいる施設もあります。

資格をを持つ専門職もそうでない方も、しっかりとした役割を持ち、連携を図りながら働いています。

介護老人保健施設の給料事情は?

介護職の給料は保持資格や経験にもよりますが、大体正職員で年収300万円~400万円程度が相場かと思います。

他にたくさんの施設がある中で、介護老人保健施設の介護職の給料は少し安い場合が多いです。

どうしても給料の高い医療職、リハビリ職が多くいますので、その分が流れてしまい、介護職の給料設定が低くなってしまうのではないかなと思います。

その代わり、病院等母体が医療系であることが多いので、福利厚生や賞与に関してはしっかりしているところが多いです。

介護老人保健施設の仕事の探し方とは

介護職が働く施設の求人はたくさんありますので、介護老人保健施設で働きたいと思った場合、仕事を探すのはそう難しいことではありません。

ただ、母体がしっかりしていて安定感がある分人気があり、他の施設に比べると少し求人は少なめの印象を受けます。

仕事の探し方はいくつかの方法がありますので、順番に見ていきましょう。

ハローワーク

いわゆる職安ですね。

直接訪れて相談したり検索してもいいですし、インターネットサービスのほうで検索しても仕事は見つかるでしょう。

ハローワークは施設側が求人を出す際お金がかからないので、比較的新しい求人が揃っていますし、新着かどうかや求人の出た日もわかりやすく紹介されています。

平均的な残業時間も書いていますし、社会保険情報や賞与の有無、ある場合は何か月分かも書かれています。

前職で雇用保険に加入していた方でしたら、まずはハローワークでの仕事探しをお勧めします。

フリーペーパー、折込チラシ

街中においてある求人のフリーペーパーや、新聞の折り込み広告でも介護老人保健施設の仕事を探すことができます。

紙面に載っている分読みやすいですし、ネットでの求人検索が苦手な方には、やはり一番王道の仕事の探し方ではないでしょうか。

介護老人保健施設に限らず、医療・福祉系の求人はたくさん載っていますので探しやすいですよ。

求人サイト

スマホやパソコン、タブレットなどを使用することに抵抗のない方は、ここから仕事を探すとかなりの数の求人を見つけることができます。

今は介護に特化した求人サイトは非常に多く、そういったサイトであれば「介護老人保健施設」という検索ワードがありますので、ピンポイントで仕事を見つけられます。

求人サイトによってはコーディネーターが間に入ってくれるところもありますので、そういうサイトを選んでいただくとより自分に合った条件の仕事を探してもらうことも可能です。

派遣会社

施設は人手不足なことが多く、派遣会社から職員を集めているところもたくさんあります。

こちらの派遣会社も、介護専門の派遣求人サイトがたくさんあり、ほとんどのところで無料登録が可能です。

派遣の場合は必ず間に派遣会社が入ってくれますので、条件交渉も強気に行いやすいです。

雇用は派遣会社と結びますので、長期での仕事が難しい場合もありますが、介護のフルタイムの場合ですと紹介予定派遣の形を取っている求人も多いですし、実際に働き始めて施設側と意向が合えば、直接雇用になることもそう少ない話ではありません。

介護の業界がよくわからない、合わないところで働くのが不安といった方には、契約を更新しなければ円満に仕事を辞めることができる派遣の仕事が向いているかもしれません。

直接訪問して探す

ほとんどの介護老人保健施設は、クリニックや病院などが併設していたり経営母体になっています。

私の近くのそういった介護老人保健施設を抱える病院では、張り紙で求人募集を出しているところがいくつかあります。

もし気になる施設があるようでしたら、一度母体の病院を覗いてみたら求人があるかもしれません。

介護老人保健施設の仕事に就くためにはどうしたらいい?

では実際に介護老人保健施設で働くためにはどうすればいいのか考えてみましょう。

介護老人保健施設の仕事に就職するために

まずは今までに書いた介護老人保健施設の仕事内容やその目的をしっかりと理解してください。

前述しましたが、母体がしっかりしていることから、たくさんある施設の求人の中で介護老人保健施設の求人は少し少なめですし、人気があります。

面接となった場合、介護老人保健施設についてしっかりと理解ができていれば有利になるかと思いますが、逆に他の施設との違いをうまく答えられなければ不採用となることも考えられます。

リハビリの為の入所施設であるという前提をしっかり頭に入れておいてくださいね。

資格・スキルは必要?

医療職やリハビリ職の場合はもちろん専門の資格は必要ですが、介護職として働く場合は特に資格は必要ではありません。

もちろん施設によっては無資格者は応募できないこともありますし、無資格よりは初任者研修やヘルパー2級など、基本的な資格があるほうが有利かと思います。

先々ずっと介護の仕事を続けていくつもりであれば、こういった基礎資格があるといいでしょう。

また、介護福祉士の資格があれば相当有利です。

介護の現場資格の中で最高峰ですし、何より立派な国家資格ですので。

ただ、介護福祉士に関しては取得したいからと言ってすぐに取れるものではないので、必ずしも必要ではありません。

必要な経験は?

介護老人保健施設ではなくても、どこかの施設で働いた経験があればそれは有利になります。

ほとんどの施設は同じような業務内容で交代制ですので、リハビリを重視しているとか入退所が多いという特色はあるにせよ、施設経験があると仕事の流れが理解しやすいでしょう。

他の介護職の経験もあるに越したことはないですが、訪問介護等であれば少し勝手が違うのであまり役立たないかもしれません。

とはいえ、勉強する意欲ややる気があればもちろん未経験でも支障はありませんので、ご安心ください。

私自身もまったくの未経験で介護老人保健施設に就職しましたが、特別困ることはありませんでしたし、たくさんの知識と技術を得ることができました。

まとめ

以上、介護老人保健施設の仕事内容や役割、その仕事の探し方などをご説明させていただきました。

いくつかの施設で働いてきた私の経験上、入退所の多い介護老人保健施設は、非常に忙しい仕事場ではありました。

また、多職種が入り混じって働く施設でもありますので、他の職種の人たちとの関係作りも大変な一面はあります。

ただ、その分学ぶことは多く、働いてよかった介護職のナンバーワンです。

しっかりとリハビリをして在宅復帰をする姿を見ることができる施設は他にはありません。

そういった意味も含めて、ぜひ働いてみてほしい仕事です。


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