「働き方改革」という言葉のもと、様々な業界で従業員の働き方の見直しが進められている昨今ですが、その流れは飲食業界にもきています。

一昔前には「飲食=ブラック」「低賃金、長時間労働、サービス残業」というマイナスなイメージが強かった飲食業界ですが、現在はどうなっているのでしょうか?

ここではそんな飲食業界のいまをリアルに切り取ってご説明していきたいと思います。

筆者である私は飲食業界に携わり15年、自身で多数の飲食店での勤務経験をもちその後独立。

現在は飲食に関わる様々なことに対して仕事を行う飲食の総合会社を経営しております。

長年の知識と経験で、飲食業が一昔前から現在に至るまでどういった流れになっているかを分かりやすく実際の例を交えて解説していきます。

現場の生の声が分かる貴重な情報を包み隠さずお伝えしていきますので、参考にしてもらえればと思います。

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飲食はブラックといわれている?

一昔前まで飲食業界は全体的にブラック企業が多かった印象にあります。

それはやはり、料理人の世界というのは地道で長い下積み時代を過ごすのが当たり前とされていて、その頃の名残が現在でいうところの「サービス残業」などに繋がっていった結果だと思います。

「苦労して得た経験こそが活きる」というのはどこの業界も一緒かと思いますが、飲食業界の場合たとえば寿司職人で一人前になろうとしたら10年かかるとされていました。

実際の企業で10年というと大卒で新卒採用なら32歳です。

32歳にならないとプロジェクトを任せられない、営業を行えないなんていう業界は他にはないでしょう。

そういったところから飲食=ブラックというイメージがつく歴史が始まっていたのかもしれません。

しかし、現在はそんなところは少ないです。

逆にいうと10年も人を育てている余裕がないからともいえますね。

実際、チェーン展開を活発に行う大手飲食企業などでは働き始めて何年かで店長、10年もすればエリアマネージャーとなり管理職として努力しだいでは高待遇な環境を用意してくれます。

職人の世界においても修行期間は長くても5年といったところでしょうか、2~3年ほど真面目に経験を積めばひとりの戦力として認められるようにはなってきているのが現状です。

飲食でブラックな職場の特徴とは?

それでもいわゆるブラックな職場というのはどこの業界にも存在します。

飲食業界も例外ではなく、ブラック飲食店が存在するのは事実です。

そういったところで勤める失敗をしないように具体的な例を挙げて説明していきましょう。

見習い期間や研修が長い

「正社員登用あり」を謳い文句に、安定した職を求める人たちを囲い込んでいいように使うところもあります。

これは正社員という魅力に飛び込んできた人に対して実際は「しばらくの間は研修期間」など色々な理由をつけて勤務開始から1年から2年もの間非正規雇用として扱い、正社員登用してくれないようなところです。

こういったところはブラック飲食店といっていいでしょう。

その後正社員になったとしてもデメリットのほうが多く感じられると思いますので敬遠するべき職場ですね。

勤務時間が長い

飲食店は365日24時間どこかで必ず稼動しています。

もちろん定休日があるところなどもありますが、だいたいの飲食店は毎日営業しているのが当たり前です。

会社規模が大きくなればなるほど、それが常識としてまかり通っています。

そういった中ですと必然的に勤務時間は多くなり、残業や家に持ち帰る仕事も増えてきますね。

勤務時間はタイムカードを押して給料が発生している時間のことだけをいうのではなく、仕事のことを考え自宅でもやらざるを得ない作業をやっているとしたらその分の時間も勤務時間として考慮しなくてはいけません。

24時間営業の店舗でしたら急なアルバイトの欠員に対して社員がカバーをしなくてはなりません。

そうなると休日でもうかうか出来ません、心の底から休みを満喫できる環境ではなくなってしまうのです。

そういった部分からも飲食店というのは勤務時間や拘束時間が長いといえるでしょう。

しかし、これも人手が足りていない一握りのブラック飲食企業での話です。

大半の飲食店ではしっかりと休日を与えられていますし、休みの日まで出勤しろという無茶な命令をされることは稀だといえるでしょう。

給与が安い

飲食業界は働きに対して賃金が安いというイメージもよくもたれています。

実際のところはどうなのかといいますと、たしかにそういったところも見受けられるのは事実です。

これは勤務時間に対しての報酬という点では高くはなく、もう少し貰えてもいいのではないか?

と疑問に思う方も多いようです。

しかし、勤務内容においては特別な資格や経歴が必要なく、就職などにおける採用のされやすさからいえば妥当とも取れる金額なのでそこまで問題にはならないかと個人的には思っています。

もちろん努力しだいで収入は上がりますので飲食業界に興味を持っている方はご安心してください。

残業代が出ない

こちらにつきましては飲食業界は特殊かもしれません。

まず、アルバイトやパートタイマーであったとしたら残業代は出ます。

時間単位で支払わされますので、たまに聞く「タイムカードで退勤を押してそのあとまた働け」というのは現在はほとんどないといっていいでしょう。

しかし社員の場合は違います。

まず残業という概念があまりないのが飲食業界の特徴です。

1日の営業時間や業務内容が終わって初めてその日の勤務が終了となりますので、あまり1日の勤務時間に定まりがあるとはいえません。

極端な話ですが、1日12時間以上働いていても「1日分の給料」しか出ないことはざらにあります。

その1日分の給料が高いか安いかは自己判断になりますので、そういった点ではブラックといえる部分はまだあるのかもしれません。

休みが少ない

休みが少ないというイメージも飲食業界は強いかもしれませんが、厳密にいうと「希望の休みが取りづらい」ということです。

自分の好きな日に休みが取れることはあまりなく、基本的にはアルバイトなどが多く人員が余剰している日に休みを取るといった形が多いかと思います。

しかし、逆にいえば平日などの休みが取れるので行楽地などに行く際には空いているというささやかなメリットでもありますね。

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ブラックなお店の見分け方は?

さて、ここまで説明してきたブラックな飲食店の条件や内容ですが、どうやったら見分けることが出来るのでしょうか。

出来れば履歴書を書いて面接に応募する前に知っておきたいですよね。

ここではそんなブラック飲食店の見分け方についてご説明していきたいと思います。

社員やスタッフが明らかに少ない

まず人材が常に足りていないところは「ブラック率高め」といえるでしょう。

これは離職率が高いことを如実に表していますから、どこの求人情報誌を見てもいつまでも求人情報が載っているところは避けたほうがいいかもしれません。

そういったブラック飲食店の求人情報を見るとたいていのところが「一挙大量募集」や「リニューアル・新店舗開店のため合同募集」などのフレーズが書かれています。

これはつまり「店舗数に対して人材が明らかに不足していて、離職率も高いから多めに採用しておこう」という人材ストックの意味合いが強いわけです。

これがどういったことを表しているかといいますと、「雇った人材を大事にしない」ということなのです。

雇用した人間を教育し育成させるシステムが出来ていないので人材が安定することなく入れ替わりを繰り返していて、結果としてまともな指導者がいなく離職率が高いということに繋がるわけです。

そもそもが普通に考えて常に求人情報誌に掲載しているところは慢性的な人材不足なので仕事も効率化されていません。

そうなれば必然的に残業も多くなり、賃金が上がる前にみな辞めていくわけですね。

あとは前述したことをループしていくだけなので質のいい職場とはいえません。

これがいわゆるブラック飲食企業における負のスパイラルです。

募集内容と実際の契約内容が違う

あってはならないことですが、募集内容と実際の契約内容が違うというケースもあります。

こういったところはブラック飲食店確定ですので採用されたとしてもお断りするのが得策です。

その時点で雇用する側とされる側の信頼関係が成り立ちませんので、ブラック飲食店かどうかを見分ける分かりやすい指標かもしれません。

採用条件のハードルが低すぎる

採用条件が高すぎても応募できませんが、低すぎるというのも実は考えものです。

それはつまり「誰でもいいから働いてくれ!」という相手側からのメッセージに他なりません。

作業内容は単純で特に向上心のない飲食店の特徴ですね。

そういったところはマニュアル化された仕事をただこなすだけの日々が続くだけでキャリアアップも望めないので、転職にも特に有利に働かず時間がもったいないという印象が強いところです。

応募条件にある程度のハードルを設定するのは、経営者が真剣に現場を見ている証拠です。

それがないようなところは企業体質からして問題なのでおススメできませんのでご注意下さい。

ワンマン経営

経営者が常に現場を把握して指導するというのは良い面でもありますがデメリットもあります。

それはトップダウン式の経営の問題点でもあり、現場の声がお店の運営に活かされないということです。

まともな飲食店というのは、実際に現場で働くスタッフが常に試行錯誤していいお店にしようと努力しています。

それをトップの一声で意見が覆ってしまうということが続くとスタッフのモチベーションは下がり、結果的に良い人材ほど辞めていきます。

そうするとトップに対してのイエスマンしかいなくなり、向上心のないお店が出来上がってしまいます。

そうしたところは業務内容もしっかりとしていないところが大半なので勤務していても不満しか出てきませんので選ぶのを止めたほうがいいでしょう。

ネットの口コミの内容

一概には言えませんが、ネットの口コミ情報も大事だと思います。

心無い一部のユーザーがなにかしら気に食わないことがあって書き込んでいる可能性も否定できませんが、火のないところに煙はたちません。

さらに良い口コミというのは正直自演しているところや、はたまたそういったサクラ的な企業にお願いしているケースがあります。

情けないことにネット社会となった現在はそういった工作を行う企業が少なくありません。

何度かニュースでも取り上げられていましたが、それが事実ではあります。

働きたい飲食店があった際には、面接や応募の前に一度こっそり行ってみるのもひとつの手。

基本的にネットの情報を鵜呑みにせず、自分の体感やフィーリングに合った飲食店を探しましょう。

もちろんブラックな職場ばかりではない

ブラック飲食店について様々なご説明をしてきましたが、実際はそういったところが少なくなってきているのが現状です。

筆者も某国内大手飲料メーカーが出資・運営する会社の飲食店で働いていたことが過去にありますが、待遇はよく素晴らしい環境で勉強をさせてもらいました。

やはり企業の歴史が古く、体制がしっかりしているところは原資に余裕がある分しっかり社員教育をしてくれます。

そうしたところは給料や休みの取り方などの面でも不満が少なく、そうすると良いスタッフが辞めませんので店内が正常な状態を保っています。

快適な職場といえますし、なによりキャリアアップにも繋がります。

そういった飲食企業も多数存在しますので、これから飲食業界に進もうという方は安心してください。

ホワイトな職場を探すには、こちらの記事を参考に!

飲食で働くメリットは?

飲食業界における表と裏を解説してきましたが、飲食店で働くメリットとはどういったところでしょうか。

働き方のタイプを3つに分けて説明していきましょう。

パート・アルバイトの場合

子供がいたりしてフルタイム働くことが出来ない主婦の方なども活躍するのが飲食の現場です。

比較的に時間に融通が利き、それでいてある程度しっかりとした時給で働けますので人気のアルバイト先といえるでしょう。

また、学生時代に飲食店で働くことにより目上の方とのコミュニケーションを学んで社会へと進んでいく大学生アルバイトも多く、そこで培われた接客スキルや対人関係の構築の仕方などは学んでおいて損がありません。

筆者も学生時代に大手飲食チェーンで働き、そこで学んだ経験がその後の飲食人生に大きく貢献してくれています。

派遣社員の場合

大きなホテルの宴会場やキッチンでは、配膳や調理補助として多くの派遣社員の方が働いています。

派遣社員はアルバイトよりも給料の面でも優遇されますし、派遣先で気に入ってもらえればそのまま正社員として就職することも可能です。

いきなり正社員になるよりじっくりと職場を見ることが出来るので、慎重に就職先を決めたい方はまずここから始めるのもいいかもしれません。

社員の場合

他の業界よりも圧倒的に正社員として就職することが容易であり、基本的に学歴や経験を重要視しないところが最大の魅力です。

福利厚生がしっかりしている会社なら飲食企業といえども他の業界と変わらない保障が受けられますので安定した仕事に就きたいという考えの方には正社員がおススメです。

さらに1年を通して募集しているため中途採用率も高く、真面目でやる気さえあれば誰にでも門戸が開いているいわば就職の窓口が広いところが飲食業界なのです。

正社員として真面目に働いていると資格取得やスキルアップを支援してくれるところやその先の独立支援までしてくれるところもありますので向上心がある方にも適した業界といえるでしょう。

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自分に合った飲食店を探そう!

飲食業界に興味があるというあなたにはぜひ自分に合った飲食店で働いて欲しいと思います。

その中でどういった基準で飲食店を選んだらいいかを目的などのパターン別に説明していきたいと思います。

スキルアップやキャリアアップを視野に入れたお店選びをしよう

向上心があり、将来的には独立を考えている方や収入を今より上げるためのキャリアアップとして考えているのであれば歴史のある飲食店や企業を選びましょう。

新規参入の飲食店というのはいくら人気があったとしても社会的な信用がまだまだ低く、そこで働いていたとしても履歴書上の職歴に対してあまり加点ポイントにはなりません。

それに対して経営実績の長い企業や飲食店はおなじ業界内での信用も厚く、転職する際にも有利に働きます。

また、長年の経営環境の中で培われたノウハウというのは簡単に勉強できるものではなく、新規参入業者より多くの情報や知識をストックしています。

そうした中から接客であったり、調理であったりのスキルを確実に成長させてくれる面でもおススメできるといえるでしょう。

募集内容や実際の契約内容をきちんと確認しよう

前述しましたが募集内容と契約内容は必ずよく確認してから働き始めて下さい。

たとえば正社員になりたいと思って勤めだすとして、最初の募集内容において「研修期間3ヶ月~」などと記載されていたら研修期間の上限は何ヶ月なのかを最初に聞いておくことも重要です。

3ヶ月を越えてそのままだらだらとアルバイトや契約社員の扱いを受けるとすれば、それはあなたが望んだ労働環境とはいえません。

最初にしっかりと取り決めを交わしておくことが不満なくモチベーションを保ったまま働く秘訣です。

また、賞与などについても同様にいえます。

「賞与年2回」と記載されていたとしたら、いつにもらえるのか?

給料の何%に相当するのかなども事前に確認しておきましょう。

実際にボーナスが出るからと働いて、貰えたのが数万円の寸志だけといったケースもありますので。

事前に客としてお店に足を運んでみよう

飲食店で働くことに興味を覚えたらまずは色々な飲食店にお客さんとして行ってみてください。

そうすると「ここの接客が素敵だな」とか「ここの料理の味を勉強してみたい」などの明確な目標が出来ます。

やはり人間ははっきりとして目標が出来るとそれに向かって頑張れるものです。

飲食店であればどこでもいい、という軽い気持ちではなかなか長続きがしませんので事前のリサーチは大変重要です。

そしてこの事前のリサーチで一番感じてもらいたいのが「職場の雰囲気を知る」という部分です。

接客スタッフの顔が活き活きとしていれば、もちろんそこは素晴らしい職場環境なのでしょう。

また厨房との連携や料理の出てくるスピード、料理に対しての知識が深いところはいいお店です。

その一つの確認方法が、頼みたい料理がどんな料理なのかを聞いてみたとして接客スタッフがスラスラと説明できるお店はなかなかのレベルです。

これは接客スタッフが向上心を持ち、出される料理に対して勉強をしっかりしている証拠であり、なおかつ厨房スタッフに気軽に聞けるくらいの人間関係がしっかりと構築できていることの証明でもあります。

得てして接客スタッフと厨房スタッフの仲が悪いお店というのもあります。

料理も接客も素晴らしいのに、人間関係が上手くいっていないというケースは多々見受けられますがそういったところに勤務をするとやはりストレスフルな状態となり長期的には勤められず結果としてすぐに辞めてしまうという人も実際います。

こういった観点から、働きたいお店が見つかったら事前リサーチをしてそのお店の特徴やフィーリングが自分に合うか、働いている人間たちの関係性は良好なのかなどを確認するのが得策と思われます。

まとめ

飲食業界の現実を解説してきましたが、あなたはどう捉えましたでしょうか?

基本的に楽で給料が高いなどの好条件な仕事はありません。

必ずどこかに負担が掛かります。

しかしその掛かり方がいびつな形の職場をブラック企業と呼ぶのでしょう。

説明してきたとおり、飲食店はたしかに勤務時間が長く希望の休みが取れない職場ではあるかもしれません。

しかし、向上心があれば将来のための勉強の時間と割り切りスキルアップのためと思えば特に他よりも厳しい環境だとは思いません。

むしろ正社員になれるチャンスが広く、他の業界よりもキャリアアップが狙いやすい業界ともいえます。

普通であれば部長クラスになるには40代半ばが目安ですが、飲食業界では30代半ばでそれくらいの役職に就くことも可能です。

働き始めたばかりのときに辛いと思うのはどこの業界も同じなので、その分キャリアアップのスピード感が早い飲食業という仕事は魅力的な仕事のひとつだと思います。

飲食店を辞めたいと言う人の理由も、こちらの記事を参考に!

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