少子高齢化に伴い、高齢者対象の介護施設の新設、求人が多くみられます。

また、ニュースや新聞などの報道でも様々な話題を見聞きするようになりました。

介護保険の運用もあり、介護が身近に感じるようになりました。

転職を考えたとき、求人の条件には「未経験者歓迎」「年齢不問」という言葉もみられますが、一方で資格所持者を求めるものも見受けられます。

実際に40代未経験でも就業できるのか、年齢不問の範囲はどれくらいか、解説していきます。

最近の介護業界への転職事情

求人条件に「未経験者可」「年齢不問」とあるものが多いことから、他業界から転職する方が多くみられます。

特に最近は資格取得を促す専門学校や講習会開催会社が「資格を取得して就職を!」と就職を勧めたり斡旋する流れができています。

そのため、転職は比較的容易です。

しかし、容易である反面、事前準備不足であると就業してから様々な壁にぶつかり、思わぬ苦労をすることになります。

容易なだけに事前の下調べをしておくことが求められます。

他業界から介護業界への転職を成功させるための注意点は?

他業界からの転職は「完全な未経験からの出発」ですから、ここでは心構えや下準備について解説します。

「未経験者可」とは、基礎から学ぶことを意味します

誰でも就業可能の意味するところは「基礎から教育される」ということです。

簡単、容易な仕事ではありません。

介護は時に人命に関わるような仕事でもあり、介護方法を誤ると相手の人生に関わる事態になることがあります。

この点を踏まえ、基礎からじっくり学ぶことを意識しましょう。

これまでの経験や常識、自信、プライドを前提に仕事をせず、基礎から真摯に学ぶ姿勢をとります

基礎から学ぶにあたっては、転職者、特に他業界に長く就業された方は、それまでの社会参加に対する自信やプライド、常識をお持ちのことと思います。

しかし、新たな業界で働くことにより、それらを否定またはこれまでと異なった基準で評価され、認めてもらえない場面が多々あります。

特に介護業界は「主体は利用者(お客様)」であり、この考え方の基準は他業界とは異なるものでもあります。

指導者や上司は自分より年下であることもありますが、たとえ自分が年上で人生経験が長くても、それを表に出さず真摯に指導を受けて学ぶ姿勢をとりましょう。

事前に「介護職員初任者研修」を受講しておくことを勧めます

以前「ヘルパー2級」と呼ばれていたこの研修は、多くの企業が講座を開設しており受講しやすい環境があります。

介護の基礎が学べるので、ぜひ受講をお勧めします。

求人によってはこの研修の修了が条件になってるものもあります。

ただし、この研修を修了したことで介護のすべてを学んだことには決してなりません。

介護の仕事は現場で様々な事例に触れて経験を積むものですから、研修は基礎を学ぶ機会として捉えてください。

体調管理に注意しましょう

介護は身体を使う仕事です。

力仕事とまではいきませんが、椅子に座っていることは短く、いつも歩いたりと動いています。

また、利用される方に不安な思いをさせないことが基本ですから、疲れた表情は見せないように、いつも元気で笑顔で接することが求められます。

そして、人間同士のコミュニケーションからの気疲れや悩みもつきものです。

体調管理をしっかり行い、心身ともに元気でいられるよう日常生活も気を付けるようにします。

40歳代以降の方のなかには、就業してしばらくは疲れが取れなかったという方もいらっしゃいます。

初めての業界であることも加え、最初はとても疲れます。

チームワークの仕事です

これまで、おひとりで仕事をされていた方は特に注意していただきたいことです。

高齢者の命を守る仕事でもあることから、情報交換は常に行うようにします。

現場、利用者の状況は日々異なります。

事故や体調の急変を未然に防ぐため、緊急時に万全を期すため、こまめな情報交換を行い、自己判断をせず疑問があれば相談するようにしましょう。

言葉遣いに気をつけましょう

特に40歳代以降からの就業ですと、利用者さんとの年齢が近く「お客様」の意識が薄れ友達感覚で接するような場面があります。

年齢に関係なく、お客様を意識し気を引き締め、敬語、傾聴を心掛けます。

敬称は「〇〇さん」として、決してあだ名や「〇〇ちゃん」などとならないようにしましょう。

他業界から介護業界へ転職する際の流れは?

介護業界へ転職する際に特に必要な事項を中心に、流れを説明します。

例に示す方法がすべてではありませんが、介護業界といっても様々な形態がありますから、ある程度の情報を得てから具体的な活動をされると良いと思います。

1.自分が希望する介護の形は何か考える

介護業界と言ってもいろいろあります。

老人ホーム、デイサービス、ケアマネージャー、ヘルパーなど、場面に応じた様々なサービスがありますから、自分がどのような場面で活躍したいのか考えましょう。

下に施設ごとの特徴を示しますので、指針としてください。

特別養護老人ホーム・グループホーム

利用者が居住する施設での仕事です。

勤務は交代制で夜勤もあります。

介護の範囲は生活の全ての場面となりますので、起床、食事、排せつ、入浴、移動、就寝など、介護全般に関わります。

ご家族の面会は比較的頻繁ではない(ご家族によります)ことと、多くの場合は介護の内容は施設主体となるので、ご家族とのつながりはあまり強くありませんが、意識は必要です。

デイサービス

在宅介護の方(自宅で生活され施設に通っていただく)が日中に利用する施設です。

入浴、食事、排せつ、移動の介助を行います。

宿泊はありませんがベッドを利用する機会がありますので、それに関連する介助もします。

比較的お元気な方が多いので、会話やレクリエーションなどを通したコミュニケーションの場面が多くあります。

在宅の方が対象なのでご家族との連携は必須です。

送迎でご自宅に毎回お伺いをしますので、ご家族とは情報交換を頻繁に行います。

デイサービスの仕事内容は、こちらの記事を参考に!

デイケア・介護老人保健施設

デイサービスを同様に在宅の方が対象ですが、リハビリなど専門的な医療ケアが受けられます。

理学療法士や作業療法士など、専門的な支援を行う職員がいます。

その他はデイサービスと同様です。

2.施設の特徴や規模を考える

施設の規模は様々です。

特別養護老人ホームやデイサービスなど様々なサービスを一か所で行う大規模な施設から、民家を利用した小規模の施設もあります。

大規模施設

一つの法人が多くの介護サービス事業を行っている場合、一つの建物で数種類の事業を行う例があります。

多く見られるのが特別養護老人ホームとショートステイ、デイサービスが一つの施設にまとまっているもので、ショートステイとデイサービスの利用者が共通していたり、それらを利用した方が特別養護老人ホームに入所されることもあります。

同じ法人、職員に最後までサービスを受けられることへの信頼感が得られるとの声を聞きます。

各事業とも、定員が多めに設定されている例がほとんどです。

就業すると、事業間での異動や補助を行う場合があります。

小規模施設

民家や小さな建物を利用してサービスを行う事業者もあります。

定員が少ないことで職員と利用者の距離が近く、大規模施設よりも利用者のニーズにしっかりと応えることができるとされています。

小規模施設の多くは同じ法人で複数の事業を行っていて施設や事業所が離れていることが多く、他の事業との連携を感じることは大規模施設には及ばない面があります。

また、給与は低い傾向にあります。

3.希望する施設のタイプが決まったら、それをもとに求人情報を集め、必ず施設見学を行い資料を手に入れる

見学は必ず行いましょう。

実際に自分が働く施設ですから、働きやすい施設を選びたいものです。

また、給与など待遇面の確認も行いましょう。

待遇面については施設によって異なるので疑問は質問して解決しましょう。

以下に見学のポイントを示します。

職員の雰囲気

職員間のコミュニケーションができている施設は、事故防止、緊急時対応にすぐれています。

良い技術を学べる期待もできます。

職員と利用者の関係

敬語で話しているか、傾聴の姿勢ができているか、利用者のいる場所に職員が見守りとして配置されているか、危険な介護を行っていないかなどを確認します。

これらが不十分な場合は、利用者に対するサービス意識が低いと考えられます。

特に敬語は時間の経過によって慣れにより崩れがちなものです。

これを防止し意識して接しているか確認しましょう。

待遇、給与、勤務形態

求人票の記載と相違が無いか、疑問があれば事前に控えておき質問して解決します。

特に、夜勤の回数や夜勤手当については求人票の記載があいまいな施設が多く、給与の総額にも関わってきますので重要です。

求人票に記載されている給与総額に「夜勤手当〇回含む」とある場合は特に確認が必要です。

4.可能であれば「介護職員初任者研修」を受講します

この研修の修了を条件としている施設もあります。

条件に無い場合でも、優遇されるポイントの一つになります。

また、実際に仕事を始めたときに役立つことでもありますので、受講できれば良いです。

講習会にもよりますが、2週間~4週間くらいで終了できます。

ここまでの準備ののちに希望する施設を決定し、施設の指示に従い受験をしてください。

介護業界へ転職する際にあると役立つ経験やスキル、必要な資格はある?

「未経験者可」と条件を示していない求人もありますが、介護業界での仕事は専門的なものです。

事前に準備したり、これまでの経験で役立てることができるものもあります。

経験・スキル

サービス業、営業職、とりわけ接客業をされていた方は、お客様との会話や取引先との交渉などの経験が役立ちます。

特に、自分ではなく相手を主体として必要なサービスを考えることは介護業界での仕事でしばしば求められます。

レクリエーションでは利用者と一緒に楽しむために説明したり進行する場面がありますが、指導ではなく一緒に楽しむことが趣旨になります。

教員、指導員を経験された方は大勢の人の前で話すことに慣れていらっしゃると思われ、この点は活かすことはできますが、指導ではなく支援や共有の姿勢については気を付けていく必要があります。

そのほか、会話の場面が多くありますので、会話が好きであることや人見知りしない性格ですと、現場に早めに慣れることができるでしょう。

資格

介護の現場で働くなら「介護職員初任者研修」の修了はお勧めです。

就業してからでも仕事と両立して受講できます。

「介護福祉士」は専門学校の卒業や現場経験が必須になるので、就業後に目指すと良いでしょう。

ほかに、看護師などの経験があれば「介護支援専門員」の資格を取得できますので、事前に準備しておくこともできます。

介護業界への転職にあたって必要な心構えとは?

介護業界での仕事は、他の業種とはいくらか異なった特徴がありますから、他業種の経験や培った感覚、常識などの基準がそのまま生かせないことがあります。

それらに触れるたびに戸惑うことと思いますが、初心に戻って基礎から学ぶ姿勢で臨むことが、良い仕事をするうえで大切と思います。

初心に戻り、学びの姿勢に徹する

それまでの地位、社会経験、常識、プライドは一度リセットして、全く何も知らない段階から真摯に指導を受けて学びぶことです。

前職がある方、社会人経験が長い方は、それまでの経験に基づいた思考に沿って行動や判断をします。

これは当然のことですが、介護業界に従事した時、それらが通用しない別の基準が存在することがあります。

その理由は「主体が利用者にある」からです。

仕事では効率や能率を求められる場面は多くありますが、利用者に対してそれを求めてはいけません。

見るもの、学ぶもののほとんどが初体験と思いますので、素直に学びましょう。

指導者が年下で、そのような人から注意されたり指示されたりする場面もあります。

これらに対しても年齢差は関係ありませんから、指導を受け入れるようにしましょう。

自分本位にならない・主体は誰かを忘れない

利用者の前で話したり説明したり、引率したりする場面がありますが、指導や指示ではありません。

また、自分本位で物事を進めてはいけません。

楽しむのは利用者であり職員ではありません(職員も一緒に楽しみますが、利用者が主体であることに変わりありません)。

いつでも利用者主体であることを忘れないことです。

利用者の安全・安心が最優先

サービスの基本は利用者の安全と安心です。

そのために職員はあらゆる努力をします。

介護技術をしっかり覚え、どんな条件の利用者でも対応できる技術を身に付けます。

これは、仕事においての基本的な目標・目的です。

敬語・傾聴をいつも心掛ける

就業当初は緊張から敬語を使っていても、慣れたり親しくなると崩れていきます。

例え相手が敬語でなくて良いと言ったとしても、お客様であり目上の存在であることには変わりありません。

これは、本当に気を付けていかないと守り通せないことです。

他の職員が崩れると、自分も良いと思ってしまいがちです。

強い心構えが必要ですが、最も基本的なことの一つです。

地域・社会に目を向ける

福祉、介護業界は業務が内部で完結してしまうことが多いので、地域とのつながりや、自分の施設を客観的に見直す機会が少なくなります。

これが続くとサービス向上心が低下したり自己満足な思いが強くなります。

いつでも自分や仕事の質を客観的に見ることを忘れず、他施設の良いところを取り入れるなど、いつでもサービス向上と学びの気持ちを持ち続けましょう。

40代で介護業界に転職した人のキャリアアップは?

介護業界は、就業後に資格取得のチャンスが多くあり、キャリアアップを目指せます。

資格取得により仕事の幅が増えていきますので、年齢は関係ありません。

介護職員初任者研修のみで仕事を続けていくこともできますが、年齢を重ねることで現場の仕事が体力的に厳しくなることが心配されます。

特に夜勤は体力に大きな影響を及ぼします。

その時のために早めに資格取得をしておき、デスクワーク中心の仕事に転換していくことができ、結果的に長く就業できます。

社会福祉士、社会福祉主事を取得すれば、相談業務・相談員の仕事ができます。

これは、利用者についての情報交換や家族との連携を他の介護事業者と調整する、リーダー的な役割でもあります。

介護支援専門員(ケアマネージャー)を取得すれば、担当する利用者への最善の介護サービスを紹介、調整する仕事ができます。

これらの要資格の仕事は、全て介護現場で培った技術が役立ちます。

施設によっては積極的に資格取得を支援していますので、面接時に確認すると良いです。

また、同じ法人で様々な事業を行っていれば、異動により他の事業に携われるチャンスがあります。

まとめ

40歳代に限らず、人材不足も相まって門戸が広い介護業界ですが、就業してからが大変です。

覚悟を持って向かっていきましょう。

一から学び成長することで、資格取得を含めた多くの可能性がある仕事です。

このように書くとハードルが高いように思うかもしれませんが、現在の社会で話題になっている介護での仕事であり、日常生活の延長線である会話やコミュニケーション活動に関わることで、自分自身も人間として成長できます。

これまで近くにありながら発見できなかった多くの気づきもあるでしょう。

最初は不安が大きいかもしれませんが、期待を多く持って臨んでいただけたらと思います。


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